ドル/円、108円台で振幅=外為どっとコム総研 神田卓也
ドル/円、108円台で振幅
昨日のドル/円は終値ベースでほぼ横ばい。米中通商問題関連の報道で悲観材料と楽観材料が伝わり市場心理が揺れ動く中、結果的に108円台で方向感なくもみ合った。朝方に米議会が香港反政府デモの支援に繋がる「香港人権法案」を可決した事が伝わると、中国がこれに強く反発。一方、NYタイムには米中通商合意が12月15日までにまとまらなくても、米国が対中関税の発動を延期する可能性があると報じられた。
米国の「香港人権法案」は、今後トランプ大統領の署名を経て成立する見通し。中国は成立すれば「必ず報復する」と表明しており、対立激化が懸念される。しかし、中国は米中通商協議については今後も継続する姿勢を示しており、昨日は劉中国副首相が米国の代表団に11月中の訪中を招請した事も伝わった。「香港人権法案」の成立が必ずしも米中協議の決裂に繋がるものではないとすれば、ドル/円相場への影響も限られそうだ。いずれにせよ、市場の関心は米中問題に集中しており、ドル/円は本日もニュースヘッドラインに留意しながらの神経質な相場展開となろう。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。