米中問題に一喜一憂=外為どっとコム総研 神田卓也
米中問題に一喜一憂
昨日のドル/円は、1週間ぶりに107.60円台へと上昇。中国が米国との「部分的な通商合意」を依然として受け入れる用意があると報じられた事で市場心理が改善した。しかし、今朝方には香港紙が「米中次官級通商協議は進展がなかった」と報じた事で107.00円台まで反落しており、米中通商問題に絡む報道に一喜一憂する展開が続いている。なお、香港紙は中国代表団が閣僚級協議を本日1日のみで切り上げて帰国する予定とも報じている。一方で、トランプ米大統領は昨日「米中が通商合意に至る公算は大きい」との見方を示している。一連の香港紙の報道は中国側が米国に一定の譲歩を迫るための「揺さぶり」と見る事もできる。そうした中、一方的に円が買い進まれる展開も想定しにくい。いずれにしても協議の行方は五里霧中であり、市場は次第に様子見モードへと移行せざるを得なくなるだろう。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。