為替市場:お盆休みは目を離せない展開も。その理由は?
IMMの日本円のポジションはとうとう1年ぶりに買いポジションに移行
■いつもお世話になり有難うございます。
■トランプ大統領による第四弾追加関税が
発動したことをきっかけに、
中国は米国産農産物の輸入停止による報復を
表明したことで再度、貿易戦争がはじまりました。
また、米財務省は中国に対して「為替操作国」に
認定したことも相場にとって重しになり、
105円台に突入することとなりました。
■さて、今週は日本ではお盆休みに入るわけですが、
このドル円に関しては正直、目を離せない展開に
突入しつつあります。
というのも今年年初の薄商いを狙った
フラッシュクラッシュも記憶にあります。
少なくてもリスクシナリオの材料としては
以下のことが挙げられます。
・米中貿易戦争が拡大
・米中通貨安戦争が勃発
■先週末のトランプ大統領から中国との
貿易協議は協議するが
「当面の合意はない」との
考えを明らかにしたことは、
逆に考えれば第五弾追加関税も
辞さない構えでもあります。
更にファーウェイとの取引もしないことや
9月の会合キャンセルの可能性まで
匂わせていることは、
米国としても中国と徹底的にやりあう構えで
あることは分かった気がします。
となれば中途半端な合意もないし、
貿易戦争としては
日増しに強くなる恐れがあります。
その意味ではリスク回避の円買いが
更に強まる恐れがあるので警戒したいです。
■上記の影響は少なくても年末に向けて
徐々に出ることは必至です。
その意味では今後の経済指標の下振れにも
注目したいです。
今週の注目どころとしてはやはり、
「小売売上高」「消費者物価指数」になります。
7月の小売売上高は前月比+0.3%と前月の+0.4%から
下方修正予想になっており、
消費者物価指数(CPI)も前月比+2.1%と先月と
同等水準を予想しています。
もし、結果的にネガティブサプライズになると
8月の追加利下げの論拠をさらに
強める恐れもあるのでこちらも警戒したいです。
■いずれにしても米国と中国の争いの行く先は
「覇権争い」があります。
中途半端な合意もありそうにないとなれば、
平行線をたどることになり、
その影響がとうとうワイルドカードを出す
可能性にまで発展する恐れがありそうです。
特に以下の二つには警戒したいです。
・ドル売り介入
・FRB議長を交代
■世界的にも緩和政策が強まる中、
米国だけが予防的利下げといった状況に
なっているだけに、
これを見たトランプ大統領もいつも以上に
FRBに対して不満を爆発させています。
9月の利下げは確実となっている中で、
その利下げ幅に関してもトランプ大統領は
言及しだしています。
もし大統領が言うように1.0%の利下げとなると
いよいよ、通貨安戦争に突入する恐れがあります。
先週の中国に対する「為替操作国」に
認定したことは
通貨安に対するただの牽制でなく、
ドル売り介入の準備でもあるとみています。
一方中国側も米国債の売却準備を進めている
可能性もあるのでその点でも注意したいです。
いずれにしてもこれだけのリスクシナリオが
ある中で、
FRBの政策スタンスの間違いがもし正せないとなれば、
これこそFRB議長も交代させる
可能性もあるので、
こちらに関しての材料も要警戒です。
■最後にドル円のテクニカルです。
IMM通貨先物の日本円のポジションですが、
とうとう1年ぶりに買いポジションに移行しました。
買い持ち高は2016年9月来で最大となっています。
これは米大統領選前の水準となります。
一方、日足チャートに関しては先週の火曜日で一旦、
目先戻りは107円が戻りいっぱいと
なりそうです。
そして3日連続の陰線になったことで、
先週末の安値105.27円は今週中に割り込む
可能性があるので、
一気にフラッシュクラッシュにつけた安値104.97円を
狙ってくることも視野に入れておいた方が
良いかと思っています。
このような相場のときに戻りを待ちすぎて
売り遅れることもあるので、
リスクと思ってもその流れに積極的に
乗ることも大事です。
年末にかけてのターゲットは、節目の100円が
みえてもおかしくない状況です。
トレードタイム 平野朋之 ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナー講師、独自手法での資金運用業務を行う