【来週の注目材料】東京都区部消費者物価指数
日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)の二つの金融政策会合をこなし、24日からの週は目立った指標発表もなく、やや材料不足感があります。そうした中、市場の注目を集めているのが28日金曜日の日米両国の物価統計です。
まずは8時半に発表される3月の東京都区部消費者物価指数(CPI)です。今月21日に2月分が発表された全国消費者物価指数(CPI)の先行指標となります。2月の全国CPIは前年比+3.7%、変動の激しい生鮮食品を除いたコア前年比が+3.0%となりました。1月の+4.0%、+3.2%から伸びが鈍化も、市場予想の+3.5%、+2.9%ほどの鈍化とはなりませんでした。注目度の高いコア前年比は3カ月連続での+3%台です。政府による電気・ガス価格支援が再開されたことで、エネルギー価格の伸び率が鈍化しましたが、補助金が縮小したガソリン価格が上昇してある程度相殺されています。また、政府備蓄米放出を受けても上昇が止まらないコメ価格の影響もあり、生鮮を除く食料品が前年比+5.6%と7カ月連続で伸びが加速して、全体を押し上げました。コメの価格は前年比+80.9%と驚異的な上昇率となり、1971年1月以降で最大の上昇率となっています。
2月の東京CPIも全国同様に1月から鈍化しており、前年比は1月の+3.4%から+2.9%(その後2.8%に下方修正)、生鮮除くコア前年比は+2.5%から+2.2%となっていました。今回は前年比+2.8%、コア前年比+2.2%と横ばいが見込まれています。3月19日に発表された2月の業者間コメの相対価格は前年比+73%となり6カ月連続での最高値を更新。消費価格にも転嫁される見込みです。また今月17日に発表された全国スーパーでのコメの平均販売価格は3月3日から9日までの週で4077円と前週比+125円で最高値を更新。前年比では+99.3%となっています。このあたりの状況を考えると、2月から横ばいという市場予想前後の数字が出てきそうです。
先週の日銀会合では市場予想通りとはいえこれまでと同様の「オントラック(展望レポートに沿った経済・物価の見通し)が実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という姿勢を示しました。この姿勢に沿って市場では6月もしくは7月の利上げを見込む動きとなっています。市場予想を下回る物価の伸びにとどまると、早利上げのハードルとなり、6月の利上げ期待が後退する可能性があります。また海外勢を中心に5月利上げという見方が23%程度見込まれていますが、この見通しも後退する可能性があります。6月までに利上げを実施出来なければ、年内2回の利上げ見通しが抑えられ、円高につながる可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。