【直前まとめ】非農業部門雇用者数は15万人増 =米雇用統計
この後日本時間21時半に9月の米雇用統計が発表される。前回8月は非農業部門雇用者数の伸びが予想をし珠wら鵜など、厳しい結果となり、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ実施の背景ともなった。
パウエル議長は今週の講演で利下げを急がない姿勢を示し、次回11月のFOMCについて市場は0.25%に留まるとの見通しを強めている。ただ、先週の0.25%利下げと0.5%利下げが拮抗している状況から0.25%がやや優勢となっただけで、短期金利市場の織り込みは65%が0.25%、35%が0.5%と、0.5%利下げ見通しもそれなりの水準で維持されている。今後についてはデータ次第という見方が強く、主要指標動向をにらみながらの展開が続く。中でも本日の雇用統計を含めた雇用関連指標は金融政策に直接影響するものとして注目を集めている。
まずは前回8月分を振り返ってみる。
8月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想の+16.4万人に対して+14.2万人に留まった。7月の数字が+11.4万人から8.9万人に、6月の数字が+17.9万人から+11.8万人に、それぞれ大きく下方修正されており、その修正後の数字から比べても予想よりも低い伸びということで、数字以上に弱かったという印象、またそもそも14.2万にという水準自体がコロナ前10年間の平均である18.9万人と比べて小さいものであり、厳しい印象を与えた。
内訳を確認すると、財部門は建設業が+3.4万人と好結果も、製造業は-2.4万人と厳しい数字となった。混戦が続く米大統領選を前に、政策変更リスクから事業活動拡大を忌避する動きが広がっている。サービス部門は小売業が-1.1万人と3カ月連続でのマイナス圏。景気に敏感で雇用の流動性も高い同部門の厳しい結果は、米雇用市場の厳しさを印象付けた。一部企業で厳しさが見られるIT/ ハイテクを含む情報業は-0.7万人と2カ月連続で雇用減。介護部門などを擁し堅調さが続く教育・医療部門は+4.7万人と堅調さを維持。ただ、増加幅としては2022年12月以来の低い水準となっている。娯楽接客部門も+4.6万人と好調。中でも部門単体で1233万人と各部門の中で最も雇用者数の多い飲食部門が昨年夏以来の高水準となる+2.99万人となった。こちら模型機には敏感な部門であり、この結果は好印象。
失業率は7月の4.3%から4.2%に低下した。ただ、下二けたで見ると4.25%から4.22%へ003%の低下にすぎない。7月はハリケーンベリルの影響で一時解雇者が出ており、その反動を考えると状況が改善したとはいいがたい。また、非自発的なパートタイム労働者(正社員の職を欲しているが、職がなくパートタイム労働に従事している人)などを加えた広義の失業率であるU-6失業率(一般的な失業率はU-3失業率)は7.9%まで上昇。2021年11月以降で最悪の水準となった。
続いてこれまで発表された関連指標を確認する。
まずは週間ベースの新規失業保険申請件数。雇用統計と調査期間のかぶる12日を含む週の結果は、8月が23.3万件、9月が22.2万件と9月が若干ながら好結果。24日に発表された9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は98.7と予想及び前回値を大きく下回るかなり弱い結果。内訳のうち、雇用部門の数字が厳しく、職が十分にあるとの回答から就職困難との回答を引いた労働市場格差は12.6と前月の15.9から悪化している。1日に発表された9月の米ISM製造業景気指数は、市場予想を下回る47.2と8月と同水準となった。特に雇用部門が弱く8月の46.0から9月は43.9へ悪化している。ISM製造業と同時の発表となった8月米JOLTS求人件数は804万件と市場予想の769.3万件を大きく上回り、800万件台を回復。7月の結果も速報時の767.3万件から771.1万件に小幅ながら上方修正された。2日の9月ADP雇用者数は前月比+14.3万人と、市場予想の+12.5万人、8月の10.3万人を上回った。昨日の9月ISM非製造業景気指数は54.9と市場予想の51.7を大きく上回り2023年2月以来の高水準。中でも新規受注が53.0から59.4に大きく伸びた。
総じて好悪まちまちという印象。JOLTS求人件数、ISM非製造業の好結果から、まずまずな水準に留まるとの期待も、出てみないとわからないという印象。
こうした状況を踏まえた今回の予想は、非農業部門雇用者数が+15.0万人と前回から小幅伸びが改善も、水準的にはそれほど高くないというもの、失業率は前回同様4.2%の予想。こちらも4.0%超えの状況維持はそれほど好印象ではない。予想前後となった場合、悪化していないという状況をどう見るか。一気の上昇は難しくても下値を支えてくる可能性がある。予想から大きく乖離した場合、どちらへの乖離でも動きが期待される。リスクはやや下方向と見ており、失業率が悪化した場合にはかなり注意が必要か。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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