トルコリラの焦点「リラの下落ペースが明らかに鈍化 中銀は決意を態度で示せるか 24日に追加利上げへ」FX予想
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
8月は下落ペースが明確に鈍化 対円では反発
8月に入り、明らかにリラ安のペースが鈍っている。リラの対ドル相場は6月に月間19.9%の破壊的な下落を記録し、7月も下落率は5.0%に達した。ところが、8月16日終了時点の月初来下落率は0.7%にとどまっている。対円では円安の進行で1.6%上昇して8月前半を折り返した。リラに下げ止まりの兆しが見られる最大の理由はトルコ中銀の金融政策が正常化に向かっている点だろう。5月の総選挙後に就任したエルカン新総裁の下で、政策金利は8.50%から17.50%へと合計900bp(9.00%ポイント)引き上げられた。
トルコ中銀は引締めの決意を態度で示せるか 24日に金融政策決定会合
現在の政策金利は依然として同国のインフレ率(7月:47.83%)を大幅に下回っているためリラ買いには繋がりにくい。それでも、中銀が「必要なだけ引き締めを強化する」としてインフレ抑制に向けて利上げを続ける姿勢を示していることから、リラ売りには一定の歯止めが掛かっていると考えられる。8月24日に行われる次回金融政策決定会合でも追加利上げ自体は確定的だ。問題は引き締めに向けた強い姿勢を、口先(声明)だけでなく態度(利上げ幅)で示せるかどうかであろう。エルカン総裁は6月に650bpの利上げを行なった後、7月は250bpに利上げ幅を縮小した。仮に今回の利上げ幅が7月を下回るようなら、トルコ中銀およびトルコリラは戻りかけた市場の信頼を再び失うことになりかねない。エルカン総裁にとって3度目となる24日の金融政策決定会合は、これまでよりも重要な意味を持ちそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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