【中銀チェック】節目の10.00を付けるところまでリラ安が進む中、さらなる利下げへ~トルコ中銀
対ドルを中心にトルコリラの売りが止まりません。ドルリラは13日海外市場で史上初となる10.00超えを付けるところまでドル高リラ安が進行しています。
トルコ中銀は9月23日の中銀理事会で政策金利を19%から18%に引き下げるサプライズな利下げを実施。10月21日理事会での利下げは予想されていましたが、利下げ幅が市場の予想を超える2%となる18%から16%への利下げとなり、市場の見込んでいるよりも緩和姿勢を強化しています。
一方でトルコの物価は上昇傾向を続けています。今月3日に発表された10月のトルコ消費者物価指数は前年比19.89%となりました。事前予想は20%を超えるものとなっていましたので、それよりは低いですが、9月の19.58%からは上昇しています。これで5か月連続の物価上昇となります。政策金利と比べてはるかに高い状況である、実質金利はマイナス幅を広げる形となっています。9月の利下げの前にカブジュオール総裁が、物価については食品とエネルギーを除いたコアで見ていくべきという発言をしていました。9月時点では利下げをしてもコアインフレ率よりも高い水準で、発言との整合性が撮れていましたが、先月の2%もの利下げで、コアインフレ率も政策金利より高い水準にあります。もっとも10月のコアインフレは16.82%と9月の16.98%から若干低下しています。なお、食料品のインフレは27.41%、エネルギー価格のインフレは25.76%とかなり高くなっています。
これらのインフレの加速さらにはリラ安という流れから、通常であれば今回の理事会での追加利下げというのは考えにくいところです。しかし、先進国の指導者と比べてかなり強い権力を持ち、中銀の総裁をここ数年何度も挿げ替えている同国のエルドアン大統領が、非常に強い低金利志向をもっていること、またその根拠として低金利が物価を抑えるという主張を以前からしていることなどから、今回の理事会でも追加利下げが見込まれています。
市場の予想は1.0%の利下げで15.00%に。消費者物価指数全体及びコア物価との乖離が大きく、実質金利(名目上の金利から物価分を調整したもの、一般的には政策金利を消費者物価指数などその国の政策対象となる金利で引いたものとして計算される)のマイナス幅が大きくなります。
こうした動きは止まらないリラ安をもう一段進める可能性。直近2回のように、事前の予想を超える緩和を示してきた場合や、今後について追加利下げ姿勢を強く示してきた場合は、リラ売りの動きが加速する可能性もありそうです。

執筆者 : MINKABU PRESS
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