ファイザーの発表を受けて一気にドル円上昇
ファイザーの発表を受けて一気にドル円上昇
ダウは寄り付き後に一時1600ドル超の上昇、終値でも834ドル高
ナスダックはマイナス圏、ネットフリックスやアマゾンなど巣ごもり銘柄が重石
【東京市場】朝方ドル安もしっかり
ドル円はバイデン前副大統領の週末の勝利宣言などを受けて、週明けの市場でリスク選好の動きが広がり、一時ドル売りの動きが強まった。朝方103円20銭を割り込む動きが見られ、前週末海外市場の安値近辺まで値を落とす展開に。
もっとも、103円ちょうど手前にはドル買い注文がまだ残っていることもあり、そこからの売りには慎重姿勢が見られた。少し値を戻してもみ合うと、ユーロ円の買いもあって103円40銭前後まで値を戻し、その後は103円30銭台を中心とした動きに。
午後ももみ合いが続く中、ドル買い円売りの動きがやや優勢に。103円台半ばを付ける動きが見られた。
ユーロドルもドル安基調の中で1.1890台まで上昇。1.1900手前の売りもあり上値進行を抑えられたが、下値はしっかりで1.1890ばさみでの推移が続いている。ユーロは対円でも買いが優勢。前週末に123円ちょうど前後の売りに上値を抑えられ122円60銭台まで値を落として週の取引を終えたユーロ円は、少し上昇して始まった後、朝方にドル円が値を落とす中で122円60銭台とNY市場夕方の水準まで値を落とす場面が見られたが、その後は買いが優勢に。午後に入って123円ちょうどの売りをこなしてさらに上値を試す展開となり、123円10銭前後まで。
土曜日にウイサル・トルコ中銀総裁を大統領令で解任したトルコ。8日にはアルバイラク財務相が辞任するなど、通貨当局がともに後退する状態に。この展開を受けて週明けはリラが急騰。対ドルでのリラの史上最安値更新が止まらない中で、今回の事態が状況の変化につながるとの期待が見られた。先週末の12円07銭前後から12円31銭を間で上昇して朝の取引がスタート。その後12円20銭前後まで調整が入ったが、その後リラ買いが再び強まり、昼前には12円36銭を付ける動きとなっている。
【ロンドン市場】バイデン勝利を好感
バイデン氏が大統領選に勝利したことを受けて株高ドル高の動きがやや優勢に。
ドル円は103円台後半を付ける動きとなっている。
ドル全般に買いが目立ち、朝方1.19に近づいたユーロドルは1.1865近辺まで押されている。
【NY市場】ファイザーの発表を受けて一気のドル高株高
米薬品大手ファイザーがドイツのビオンテックと共同開発していたワクチンが臨床試験中間結果で90%以上の感染防止効果と発表し、一気に期待が広がった。
ディズニー、ボーイングなど、これまで新型コロナウイルスの影響を強く受けていた銘柄に大きく買い戻しが入りダウが急騰。
一方ネットフリックスなど巣ごもり銘柄が売られてナスダックがマイナス圏での推移。
ドルも一気に買いが入った。これまでリスク選好局面ではドル売り円売りが目立ったが
米国での新型コロナウイルスの感染拡大が抑えられるとの期待もあり、ドル買い円売りの動きに。
ドル円は103円台から105円台後半までの急騰を見せている。
【本日の見通し】リスク選好の動き強まる
昨日のファイザーの発表を受けて世界的にリスク選好の動きが広がっている。
米国・欧州でここにきて新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、
ロックダウン再開の動きが広がる中で、かなり明るい材料となっている。
アミューズメント、航空などこれまで新型コロナウイルスの影響を深刻に受けていた銘柄に買いが集まり
米ダウ平均は大きく上昇した。
一方で巣ごもり銘柄と呼ばれるネットフリックスやアマゾンなどの銘柄が売られ、ナスダックは売りが目立つ展開に。
この後の東京・アジア市場でも基本的には株高の動きが期待されるところだが、銘柄による違いには気を付けたいところ。
リスク選好の動きがこれまでドル売り円売りに作用していたが、今回は米国での新型コロナウイルスの感染拡大抑制期待もあって
ドル買い円売りの勢いが目立っている。
ドル円はかなり大きく上昇した後になるが、下がったところでは買いが出る流れとみられる。
【本日の戦略】押し目買い
流れは押し目買いに。
ドル円は105円台維持を意識したいところで105円台前半での買い下がりか。
クロス円も買いからになるが、ドル買い円売りの流れになっているだけに、ドル円よりもやや不安定。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《11/9 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 103.35 1.1882 122.78
高値 105.65 1.1920 125.13
安値 103.19 1.1795 122.69
終値 105.38 1.1813 124.47
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《11/9 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 24839.84 +514.61
DOW 29157.97 +834.57
S&P 3550.50 +41.06
Nasdaq 11713.78 -181.45
FTSE 6186.29 +276.27
DAX 13095.97 +615.95
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《11/9 月曜日の商品市場》
NY原油先物12月限(WTI)(終値)
1バレル=40.29(+3.15 +8.48%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1854.40(-97.30 -4.99%)
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《11/9 月曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
景気動向指数(速報値)(9月)14:00
結果 92.9
予想 92.6 前回 88.5(88.4から修正)(景気先行指数)
結果 80.8
予想 80.6 前回 79.4(79.2から修正)(景気一致指数)
【スイス】
雇用統計(10月)15:45
結果 3.2%
予想 3.3% 前回 3.2%(失業率(季調前))
結果 3.3%
予想 3.4% 前回 3.4%(3.3%から修正)(失業率(季調済))
【ユーロ圏】
ドイツ経常収支(9月)16:00
結果 263.0億ユーロ
予想 190.0億ユーロ 前回 166.0億ユーロ(165.0億ユーロから修正)
ドイツ貿易収支(9月)16:00
結果 208.0億ユーロ
予想 160.0億ユーロ 前回 119.0億ユーロ(128.0億ユーロから修正)
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《11/9 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【ユーロ圏】
*アルトマイヤー独経済相
バイデン政権が発足すればより強い多国間主義に戻るだろう。
米国との関係の詳細は来年春までは明らかにはならないだろう。
より広範な関税合意が必要となろう。
*仏中銀
新たなロックダウン措置で仏経済は通常時から12%減と予測。
4月のロックダウンでは通常時から31%減。
10月の仏経済は通常時から4%減。
卸売、小売、運輸、ホテル・レストランなどの経済活動は4割減の深刻な打撃。
一方、製造業は通常時から7%減、建設業は8%にとどまる。
(仏中銀、10月28日から11月4日に実施した企業調査)
【トルコ】
*アーバル・トルコ中銀新総裁
金融政策決定会合は予定通り実施する。
必要とされる決定を行う。
(アーバル新総裁が就任後初の声明発表)
【米国】
*ファイザーの新型コロナワクチン、大規模試験で90%の感染防ぐ
(ブルームバーグ)
*米3年債入札結果
最高落札利回り 0.250%(WI:0.253%)
応札倍率 2.40倍(前回2.44倍)
*バイデン氏
ワクチン接種は広く可能になるまで何カ月もかかる。
マスク着用の政治問題化を終わらせる時が来た。
目標は通常生活の復帰。マスクは重要。
*ファウチ所長
ファイザーのワクチン候補は異例に高い有効性がある。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
国際収支(9月)8:50
予想 20251億円 前回 21028億円(経常収支)
予想 17937億円 前回 16475億円(経常収支・季調済)
予想 8027億円 前回 4132億円(貿易収支)
【中国】
消費者物価指数(10月)10:30
予想 0.8% 前回 1.7%(前年比)
生産者物価指数(10月)10:30
予想 -1.9% 前回 -2.1%(前年比)
【英国】
ILO失業率(9月)16:00
予想 4.8% 前回 4.5%(3カ月)
失業率(10月)16:00
予想 N/A 前回 7.6%
【トルコ】
失業率(8月)16:00
予想 N/A 前回 13.4%
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(11月)19:00
予想 44.0 前回 56.1
【南アフリカ】
製造業生産高(9月)20:00
予想 1.4% 前回 3.6%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員