欧州通貨高ドル売りの流れ、米追加経済対策へ期待感
欧州通貨高ドル売りの流れ、米追加経済対策へ期待感
ドル円はレンジ取引が続く
【東京市場】週明け様子見ムード強い展開に
ドル円は105円台前半推移。値幅も落ち着いており、上下ともに動きにくい。
米追加経済対策協議についてペロシ米下院議長が20日いっぱいが大統領選前の実施を行う際の合意の期限と表明。
今後の民主党と米政府との協議に注目が集まる展開に。
英国とEUとの自由貿易協定については、協議の継続が決定。
ハードブレグジット警戒も見られるが、いったんは協議の行方を見たいという意識が広がった。
ドル円は朝方若干ドル売り円買いの場面も、105円30銭前後までと押し目は限定的。
その後の上昇も105円台半ばまでと狭いレンジでの取引が続いた。
【ロンドン市場】ユーロドル、ポンドドルなどでのドル売り優勢に
ユーロドルが1.1700台から1.1780台、ポンドドルが1.2920台から1.3010台など
欧州通貨高ドル売りの動きが一気に強まった。
週末の米ペロシ下院議長の発言で米追加経済対策への期待感が広がり
リスク選好でのドル売りが強まる展開に。
リスク要因となっている英・EUの通商協議については協議延長となっていることで
いったん懸念が後退し、調整が入りやすくなっていた面も。
ドル円は振幅。朝多105円48銭を付ける場面も、105円台半ばに届かず
その後はリスク選好のドル売りに押されて105円30銭前後まで。
もっとも、リスク選好が円売りにも作用した分、下げは限定的。
【NY市場】午前中にもう一段のドル売りも、その後調整
午前はロンドン市場でのドル売りの流れが強まり、ユーロドルが1.1790台、ポンドドルが1.3020台まで上昇する展開が見られた。
しかし、その後リスク選好の動きが後退。
リスク選好につながっていた米追加経済対策について、民主党関係者が合意しないという言葉も残っているとの発言があり
市場の警戒感を誘った見込み。
ペロシ下院議長とムニューシン財務長官が電話教護を継続しているものの
ペロシ下院議長が示した20日いっぱいという期限での合意に至るかどうかは不透明という状況。
米株が終盤にかけて大きく売られる中で、
ユーロドルが1.1760台まで調整が入るなど、ドル売りの調整。もっともロンドン市場でのドル売りの値幅に比べると
比較的落ち着いた動きに。
【本日の見通し】米追加経済対策協議にらむ
米下院民主党トップのペロシ下院議長とムニューシン財務長官との協議が続いている。
ペロシ議長は大統領選及び両院議会選挙が行われる11月3日までの合意について
本日20日いっぱい(日本時間では21日午後1時)が目途としており、協議の行方が注目される。
民主党は2.2兆ドルの追加対策を主張。米政府は当初の1兆ドルから1.8兆ドルまで拡大してきているが、
まだ溝は大きい。また共和党自体はより小さい対策を示している。
昨日のNY市場では民主党関係者の発言で相場が動いていた。
協議そのものに加えて、米有力議員の発言などにも要注意。
なお、リスク選好・警戒がドル売り円売り、ドル買い円買いに作用しており
ドル円は105円台でのレンジ取引が中心か。
【本日の戦略】協議の結果待ち
本日も実施されるペロシ下院議長とムニューシン財務長官の協議の結果待ち。
それまでは動きにくいデイトレはレンジ取引を意識しての動きも、ストップを確実に。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《10/19 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 105.41 1.1720 123.49
高値 105.50 1.1794 124.34
安値 105.30 1.1703 123.37
終値 105.43 1.1769 124.10
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《10/19 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23671.13 +260.50
DOW 28195.42 -410.89
S&P 3426.92 -56.89
Nasdaq 11478.88 -192.68
FTSE 5884.65 -34.93
DAX 12854.66 -54.33
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《10/19 月曜日の商品市場》
NY原油先物11月限(WTI)(終値)
1バレル=40.83(-0.05 -0.12%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1911.70(+5.30 +0.28%)
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《10/19 月曜日に発表された主な経済指標》
【英国】
ライトムーブ住宅価格(10月)08:01
結果 1.1%
予想 前回 0.2%(前月比)
結果 5.5%
予想 前回 5.0%(前年比
【日本】
通関ベース貿易収支(9月)08:50
結果 6750.0億円
予想 9756.0億円 前回 2486.0億円(2483.0億円から修正)(通関ベース貿易収支)
結果 4758.0億円
予想 8543.0億円 前回 3506.0億円(通関ベース貿易収支(季調済))
【中国】
実質GDP(2020年第3四半期)11:00
結果 4.9%
予想 5.5% 前回 3.2%(前年比)
結果 2.7%
予想 3.3% 前回 11.5%(前期比)
鉱工業生産指数(9月)11:00
結果 6.9%
予想 5.8% 前回 5.6%(前年比)
結果 1.2%
予想 1.0% 前回 0.4%(年初来・前年比)
小売売上高(9月)11:00
結果 3.3%
予想 1.6% 前回 0.5%(前年比)
結果 -7.2%
予想 -7.4% 前回 -8.6%(年初来・前年比)
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《10/19 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*菅首相
サプライチェーン強靱化進め、ASEANとさらに協力深める。
南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対。
(訪問先のベトナムの大学で講演)
【ユーロ圏】
*ラガルドECB総裁
ECBの政策手段の選択肢は尽きていない。
必要であればECBは追加措置を行う。
新たな経済行動制限措置で回復の勢いが失われる。
ユーロは不可逆のものだ。
(仏ルモンド紙)
*デギンドスECB副総裁
最近のデータは回復モメンタムが失われていること示している。
*マレシュ・シェフチョビチEU副委員長
コストを払ってまでブレグジット合意にサインするつもりはない。
良い合意を達成することが焦点。
双方とも、良い合意のために最後の瞬間まで作業する用意。
どのような合意であっても双方にとって公平であるべき。
【英国】
*ジェンリック英住宅・地域社会・自治相
EUはブレグジットに関して柔軟性を見せる必要。
ドアはまだ少し開いている。
EUが再び交渉に戻らなければ、合意なき離脱となろう。
合意なき離脱は望まないが、前に進まなければならない。
合意なき離脱に対して全国的に備える必要。
*英政府
交渉責任者間の協議は建設的だった。
しかし、交渉を再開する根拠は依然ないと。
【米国】
*トランプ大統領
2、3週間前には自身の再選については言及していなかった。
2、3週間前には再選は厳しい情勢だった。
メドウ首席補佐官を解任したとの報道は間違い。
ファウチ米感染研所長からの発言に国民は飽き飽きしている。
ファウチ所長がテレビに出演するときはいつでも、爆弾発言がある。
*クラリダFRB副議長
全体的に経済は回復軌道にあるものの、道のりは長い。
見通しは異例に不確実で、ウイルス次第。
追加の金融政策と財政政策の支援が必要と再言及。
FRBはすべての手段を使用すると再言及。
*米民主党
合意しないという言葉も残っている。
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《本日予定されている主な経済指標》
【ユーロ圏】
ドイツ生産者物価指数(9月)15:00
予想 -0.1% 前回 0.0%(前月比)
予想 -1.4% 前回 -1.2%(前年比)
ユーロ圏経常収支(8月)17:00
予想 N/A 前回 166億ユーロ(季調済)
【香港】
失業率(9月)17:30
予想 6.2% 前回 6.1%
【米国】
住宅着工件数(9月)21:30
予想 145.5万件 前回 141.6万件
住宅建築許可件数(9月)21:30
予想 150.6万件 前回 147.6万件(147.0万件から修正)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員