米株反発でリスク警戒後退、ユーロは理事会にらみ
米株反発でリスク警戒後退
ユーロは理事会を前に神経質、成長見通し引き上げ期待などが支えに
【東京市場】ドル円もみ合い
ドル円が前日安値圏でもみ合う展開。
株安の動きがリスク警戒を誘ったほか、ECB理事会を前にした警戒感も。
【ロンドン市場】円売りドル売りユーロ買い
じりじりと円売りドル売りユーロ買いの流れが強まった。米株先物時間外取引や欧州株市場で
株の買い戻しが強まる中で、リスク警戒の動きに対する調整が広がっている。
ポンドは対ドル、対ユーロ含め一時軟調。
ジョンソン首相がブレグジット交渉について昨年合意した協定の一部を変更する方針を示しており
交渉決裂の可能性が意識されている。
【NY市場】朝方に円安ドル安
9日のNY市場では、朝方ドル安円安の動きが強まった。
木曜日から祝日を経て火曜日まで米株式市場が大幅安となり、リスク警戒からのドル高円高の動きが広がっていた。
しかし、昨日は利益確定の動きもあって米株が反発。これまでの調整もあってドル安円安の動きに。
ドル円はロンドン市場での105円台後半から106円台を付ける動き。NY市場で株高の動きが午後まで続いたこともあり、
一時106円27銭まで上値を伸ばした。
ユーロドルは1.1750台から1.1834まで大きく上値を伸ばした。ドル安の動きに加え、ユーロ自体にも買いが入っていた。
10日のECB理事会で経済成長見通しが引き上げられ、年内緩和期待が後退するとの思惑が背景に。
レーンECB専務理事が、直近の物価鈍化を懸念する発言を繰り返しており、市場では比較的早い段階での追加緩和の可能性が意識されていた。
ユーロ円はユーロ高と円安双方向から持ち上げられ、ロンドン市場の124円60銭台から125円60銭台へ1円強の上昇へ。
ポンドは対EU通商交渉への警戒感もありロンドン市場で値を落としたが、NY市場ではドル安の動きもあって、上値を伸ばし、1.2880台から1.3020台まで。
23時に金融政策会合の結果が発表されたカナダ。事前見通し通り政策金利、量的緩和の現状維持を決めた。今後の付いて少し前向き姿勢が見えたこともあり、その後はややカナダ買い。
ドルカナダは1.32台から1.3150割れに。
【本日の見通し】ECB理事会にらむ
ユーロはECB理事会次第か。
経済成長見通しの引き上げ期待がある一方、物価鈍化への警戒感やユーロ高警戒を示すとの懸念があり
売り買い材料が交錯。
これまでのユーロ高ドル安の大きな流れに変化が生まれるかどうかが注目されるところに。
ドル円は106円ばさみでの推移が見込まれる。ユーロ円動向などによっては大きな動きも有りうるが、基本はレンジ取引となりそう。
ポンドはブレグジット問題がここにきて大きな懸念材料に。やや下方向のリスクを意識。
【本日の戦略】様子見
ECB理事会、その結果というよりもその後のラガルド総裁会見待ちの流れ
それまでは無理をせず。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品に
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《9/9 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.03 1.1777 124.87
高値 106.27 1.1834 125.64
安値 105.80 1.1753 124.43
終値 106.18 1.1803 125.33
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《9/9 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23032.54 -241.59
DOW 27940.47 +439.58
S&P 3398.96 +67.12
Nasdaq 11141.56 +293.87
FTSE 6012.84 +82.54
DAX 13237.21 +268.88
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《9/9 水曜日の商品市場》
NY原油先物10月限(WTI)(終値)
1バレル=38.05(+1.29 +3.51%)
ブレント先物NOV月限(ICE)(終値)
1バレル=40.79(+1.01 +2.54%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1954.90(+11.70 +0.60%)
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《9/9 水曜日に発表された主な経済指標》
【韓国】
雇用統計(8月)08:00
結果 3.2%
予想 4.2% 前回 4.2%(失業率)
【日本】
マネーストックM2(8月)08:50
結果 8.6%
予想 8.1% 前回 7.9%(前年比)
【豪州】
Westpac消費者信頼感指数(9月)09:30
結果 18.0%
予想 前回 -9.5%(前月比)
【中国】
消費者物価指数(8月)10:30
結果 2.4%
予想 2.4% 前回 2.7%(前年比)
生産者物価指数(8月)10:30
結果 -2.0%
予想 -1.9% 前回 -2.4%(前年比)
【スイス】
失業率(8月)14:45
結果 3.3%
予想 3.3% 前回 3.2%(失業率(季調前))
結果 3.4%
予想 3.4% 前回 3.4%(3.3%から修正)(失業率(季調済))
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(08/29 – 09/04)20:00
結果 2.9%
予想 N/A 前回 -2.0%(前週比)
【カナダ】
住宅着工件数(8月)21:15
結果 26.24万件
予想 21.75万件 前回 24.54万件(24.56万件から修正)(住宅着工件数)
カナダ中銀政策金利 23:00
結果 0.25%
予想 0.25% 前回 0.25%(カナダ中銀政策金利)
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《9/9 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【ユーロ圏】
*クノット・オランダ中銀総裁
欧州の危機対応基金は、イタリアを含めたEU加盟国における生産性ギャップの解消に寄与する改革と投資に使われる必要がある。
(伊紙コリエレ・デラ・セラ)
*ミューラー・エストニア中銀総裁
時宜を得た緊急措置からの脱却が重要だ。
一時的措置が長く続けば構造変化をもたらし、政策が意図せぬ結果となることある。
(ユーロフィナンシャル・マガジン)
*EU
ブレグジット合意の再交渉に応じられないこと明白。
*フォンデアライエンEU委員長
英国がブレグジット合意に違反する意図もつこと極めて遺憾。
*当局者
ECB最新予測、経済見通しへの自信深めていること示唆へ。
*EU英国がブレグジット交渉を早期に終わらせるのは違法
【英国】
*ジョンソン英首相
アイリッシュ海の国境設定は英国の利益を損なう。
*アストラゼネカ 新型コロナワクチン臨床試験一時中断、英紙は来週にも再開の可能性と報じる。
アストラゼネカは、オックスフォード大学とともに開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、
安全性チェックのために臨床試験の一時停止を発表。
その後英紙FTが、来週にも試験を再開する可能性があると報じている。
【カナダ】
*カナダ中銀金融政策会合声明
経済の再開にめどがつくまで量的緩和を継続。
経済の療養期はゆっくりと不安定に
米国の景気回復は予想以上に強い。
主要な信用市場はよく機能している。
今後の経済の再開はパンデミックの動向に強く依存
以前の悲観的な見通しよりも第3四半期の景気回復は強い。
第2四半期の景気鈍化はおおむね以前の想定内。
家計消費や企業の設備投資を金融政策が支える
【スイス】
*スイス政府
景気回復は以前の予想以上。
今年の経済成長率は-5%程度の見込み
【米国】
*クオモNY州知事
レストランの屋内営業30日から開始、当面は25%までのキャパシティに
*スウェーデン議会議員団
トランプ大統領をノーベル平和賞候補に
*バイトダンス社
TIKTOKの米国事業について、売却を回避する方策を米国政府と協議
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《本日予定されている主な経済指標》
【英国】
RICS住宅価格指数(8月)8:01
予想 25% 前回 12%
【日本】
機械受注(7月)8:50
予想 2.0% 前回 -7.6%(前月比)
予想 -18.1% 前回 -22.5%(前年比)
【トルコ】
失業率(6月)16:00
予想 N/A 前回 12.9%
【南アフリカ】
製造業生産高(7月)20:00
予想 3.8% 前回 16.8%(前月比)
【ユーロ圏】
ECB政策金利 20:45
予想 0.00% 現行 0.00%
【ブラジル】
小売売上高(7月)21:00
予想 2.3% 前回 0.5%(前年比)
【米国】
新規失業保険申請件数(5日までの週)21:30
予想 85.0万件 前回 88.1万件
生産者物価指数(8月)21:30
予想 0.2% 前回 0.6%(前月比)
予想 -0.3% 前回 -0.4%(前年比)
予想 0.2% 前回 0.5%(食品エネルギー除くコア・前月比)
予想 0.3% 前回 0.3% (食品エネルギー除くコア・前年比)
卸売売上高(7月)23:00
予想 N/A 前回 8.8%(前月比)
卸売在庫・確報値(7月)23:00
予想 -0.1% 前回 -0.1%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員