ポンド急落、ハードブレグジット警戒
ポンド急落、ハードブレグジット警戒
米株大幅続落でリスク警戒感も
【東京市場】ドル円小動き
ドル円は106円30銭ばさみでの小動き。
ユーロドルは一時1.18割れを付けるなど、ややドル買いの動きに。
木曜日のECB理事会を前にやや警戒感が出ている。
【ロンドン市場】ポンド急落
週末にジョンソン首相がEUとの通商交渉のデッドラインを10月15日と前倒ししたことが懸念を誘った。
EU側からはシュルツ財務相がブレグジット交渉合意期待を引き上げずと発言。
また、ジョンソン首相の方針に反対して英法務省高官の辞任などが報じられた。
ポンドドルは1.31台半ばから1.3022近辺まで大きく値を落とした。
ポンド円は139円台後半から138円台半ば前後まで。
ドル円はやや頭の重い展開に。ユーロドルは一時1.1778近辺まで、ポンド売りに押される格好。
【NY市場】ポンド売り続く
月曜日がレイバーデーの祝日で休場となり、連休明けとなった今日のNY市場。木曜日から続く大幅な株安の流れが継続する中で、リスク警戒の動きが広がる展開となった。ドル高円高の動きが広がる中、円高の動きが一時優勢に。ドル円はNY朝方に106円30銭台から105円台に値を落とす場面が見られた。もっとも105円86銭までの下げにとどまるなど、下値しっかり感が継続、NY午後には買い戻しが入る展開で、106円台を回復している。
ユーロドルではドル高の勢いが勝り、NY午前に1.18台から1.1766を付ける動き。もっともNY午後にかけてドル円の買い戻しもあって1.18台を一時回復。ただ、午後に米株は売りが目立ち、リスク回避のドル買いからユーロドルもやや頭が重くなって1.17台後半推移。
ロンドン市場で大きく値を落としたポンドはNY市場でも軟調な地合いに。ロンドン市場で1.3150台から1.3000台まで下落。その後1.3050台まで買い戻しが入ったものの、午後に入っても米株安を受けてのリスク警戒のドル買いが止まらず1.3000の大台を割り込んで1.2980台まで。対円ではロンドン市場朝の139円70銭台から、137円60銭近辺まで値を落としている。
基本的には株安を受けてのリスク選好の流れが大きい。新型コロナウイルスなどによる先行き不透明感が主要因に。また、レイバーデーを経て大統領選が本格化する中で、法人税の増税やキャピタルゲイン課税などを主張するバイデン候補が世論調査で優位に立っていることなども米株の下げにつながっている。
【本日の見通し】リスク警戒感継続
リスク警戒の動きが継続とみられる。
米株の下げがきつく、マーケットの警戒感につながっている。
ドル円に関しては、リスク警戒のドル買い円買いの綱引きでやりにくさも、
やや円買いが強いか。
105円台半ばに向けた動きも可能性として意識。
ただ、それ以上にクロス円の下げなどがきつそう。
特にポンドの下げに要注意。ハードブレグジット懸念が一気に広がっており、
大きく下げた後とは言え、まだ十分な下げ余地がありそう。
ポンド円は今月の高値からすでに5円以上落ちているが、
戻りは鈍く、目先のポイント135円に向けた動きも。
【本日の戦略】戻り売り
ドル円は戻り売り、クロス円も突っ込んだ動きは避けたい。
ドル円は106円10銭台から30銭にかけてが一つのポイント。106円60銭超えでいったんストップという印象。
ユーロ円などは突っ込んだ売りを避けたいが戻りは鈍いか。
125円をしっかり超えて125円10銭を付けるようだとストップ。
それまでは売り場探し。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《9/8 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.27 1.1817 125.58
高値 106.38 1.1827 125.65
安値 105.86 1.1766 124.70
終値 106.03 1.1778 124.86
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《9/8 火曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23274.13 ▲184.18
DOW 27500.89 -632.42
S&P 3331.84 -95.12
Nasdaq 10847.69 -465.44
FTSE 5930.30 -7.10
DAX 12968.33 -131.95
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《9/8 火曜日の商品市場》
NY原油先物10月限(WTI)(終値)
1バレル=36.76(-3.01 -7.57%)
ブレント先物NOV月限(ICE)(終値)
1バレル=39.78(-2.23 -5.31%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1943.20(+8.90 +0.46%)
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《9/8 火曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
GDP2次速報値(2020年第2四半期)08:50
結果 -7.9%
予想 -8.0% 前回 -7.8%(前期比)
結果 -28.1%
予想 -28.5% 前回 -27.8%(前期比年率)
結果 1.3%
予想 1.5% 前回 1.5%(GDPデフレータ・前年比)
国際収支(7月)08:50
結果 14683.0億円
予想 19014.0億円 前回 1675.0億円(経常収支)
結果 9642.0億円
予想 14401.0億円 前回 10492.0億円(経常収支(季調済))
結果 1373.0億円
予想 1821.0億円 前回 -773.0億円(貿易収支)
【ユーロ圏】
ドイツ貿易収支(7月)15:00
結果 192.0億ユーロ
予想 159.0億ユーロ 前回 155.0億ユーロ(156.0億ユーロから修正)
ドイツ経常収支(7月)15:00
結果 200.0億ユーロ
予想 173.0億ユーロ 前回 204.0億ユーロ(224.0億ユーロから修正)
ユーロ圏GDP・確報値(第2四半期)18:00
結果 -11.8%
予想 -12.1% 前回 -12.1%(前期比)
結果 -14.7%
予想 -15.0% 前回 -15.0%(前年比)
【南アフリカ】
GDP(第2四半期)18:30
結果 -51.0%
予想 -47.2% 前回 -2.0%(前期比年率)
結果 -17.1%
予想 -16.0% 前回 -0.1%(前年比)
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《9/8 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*トランプ米大統領
米国内で生産し「メイド・イン・アメリカ」税控除を導入し、中国などで雇用を創出する企業には関税を課す。
中国とデカップリング(分断)であろうと、大規模関税導入であろうと、中国への依存を終わらせるつもりだ
新型コロナウイルスのワクチン供給、11月1日よりも前に実現するかもしれない。10月中に準備が整う可能性がある。
11月3日の大統領選前にワクチンが実用化された場合、自身が接種を受けるかどうか科学者の意見を聞きたい。
*NYタイムズ紙
トランプ米政権が人権侵害を巡り、新疆ウイグル自治区からの綿製品の一部輸入禁止を検討している。
8日にも輸入禁止について発表する可能性。
【その他】
*中国軍
中印国境地帯でインド軍が威嚇射撃を行った。
インド軍に対し危険な行為を即時に停止するよう要請した。
【英国】
*ジェンリック英住宅相
仮にEUが柔軟でなければ、「オーストラリア型」の合意となろう。
しかし、我々は「カナダ型」の合意を目指しており、これは可能だ。
【ユーロ圏】
*ショルツ独財務相
ロンドンからの最新のシグナルはブレグジット交渉合意の期待を引き上げず。
ドイツ、来年に多額の政府債務が必要に。
2022年には財政ルールに沿った予算に戻る見込み。
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
失業率(8月)8:00
予想 4.2% 前回 4.2%
【日本】
マネーストックM2(8月)8:50
予想 8.1% 前回 7.9%(前年比)
【豪州】
Westpac消費者信頼感指数(9月)9:30
予想 N/A 前回 -9.5%(前月比)
【中国】
消費者物価指数(8月)10:30
予想 2.4% 前回 2.7%(前年比)
生産者物価指数(8月)10:30
予想 -1.9% 前回 -2.4%(前年比)
【スイス】
失業率(8月)14:45
予想 3.3% 前回 3.2%(季調前)
予想 3.4% 前回 3.3%(季調済)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(4日までの週)20:00
予想 N/A 前回 -2.0%(前週比)
【カナダ】
住宅着工件数(8月)21:15
予想 22.2万件 前回 24.56万件
カナダ中銀政策金利 23:00
予想 0.25% 現行 0.25%
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員