【訂正】香港からオフィスを退去する外国企業が増加、空室は15年ぶり高水準
グローバル不動産総合サービスの米クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うパンデミック(大流行)やそれに伴う経済悪化の中で、香港の空室率は15年ぶりの高水準となった。外国企業の多くが、香港のオフィススペースを減らしたことが背景。
クッシュマンのレポートによると、第2四半期に空室となったうちの61%は外国企業が占め、前四半期の47%から増加した。なお、クッシュマンでは企業名は挙げていないが、コスト削減と人員削減の結果と分析している。
2020年の最初の6カ月(1~6月)で、床面積にして合計94万9000平方フィート(8万8165平方メートル)が空室となった。第2四半期(4~6月)は第1四半期(1~3月)から55%増加しており、57万7000平方フィートの空室が生まれた。
今回の国家安全法制の導入は、国際的な金融ハブとしての香港の地位を脅かすと懸念されている。政府は6日、所有者が国家安全を脅かしている犯罪に関係している疑いがある場合、新法の下で不動産資産を凍結および差し押さえることができると発表している。
クッシュマンでは、多くの企業が景気悪化に伴って雇用を削減しているため、オフィス需要に慎重になっていると分析。どの企業もオフィス拡張計画は延期されるかキャンセルされており、むしろダウンサイジングを進めていると指摘した。需要減少の結果として、2020年にセントラルのオフィス賃料が20%減少すると予想している。
香港ドル円はドル円の強含みも相まって、6月5日に14.164円前後まで上昇したが、香港情勢の悪化を背景に6月23日には13.676円近辺まで下落。足もとは13.90円レベルでもみ合いとなっている。他のアジアの国や地域と比べると新型コロナウイルスの封じ込めには成功しているとみられるが、政治リスクは高まりつつある。また、富裕層らが香港から逃げ出しているといったニュースが連日で伝えられており、経済の見通しは芳しくない。香港ドルには下落リスクがあるといえる。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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