振幅経てドル全面安へ
振幅経てドル全面安へ
ドル円はナバロ発言で東京市場で107円台回復も
その後一気に値を落とし106円00銭台まで
ユーロドル1.1350近くまでと、ドルは全面安
【東京市場】ナバロ発言巡る振幅
ナバロ大統領補佐官発言で荒っぽい振幅を見せる展開となった。補佐官はFOXニュースのインタビューで中国との通商交渉に対して「OVER」(終わった)と発言したと報じられ、また従来から主張している中国が新型コロナの感染を隠して世界中に蔓延させたなどの主張を行った。これを受けて、一気にリスク警戒の動きが広がり、日経平均、ダウ平均株価先物時間外取引が急落、円高、ドル円を除くドル高など為替市場でもリスク警戒の動きに。
ドル円は106円90銭台から106円70銭台に値を落とす展開。ドル高と円高の値幅は小さいものの、いったんは円高が勝る格好に。クロス円の下げは厳しく、ユーロ円が120円台半ばから119円90銭近辺まで値を落とし、豪ドル円が74円ちょうど前後から73円20銭前後まで値を落とす大きな下げとなった。
しかし、同発言をその後補佐官が否定。さらにクドローNEC(国家経済会議)委員長も通商交渉は継続と発言。さらにトランプ大統領自身がツイッターで交渉が継続していると発言し、一気に値を戻す展開に。元の水準にとどまらずさらに円売りが入る展開で、ドル円は直近重くなっていた107円ちょうど前後を超えて107円20銭前後へ。ユーロ円などクロス円も軒並み発言前の水準よりも円安が進行した。
午後に入ると動きは落ち着き高値圏中心の動きに。ロンドン勢の参加を前に少し調整が入るも、ドル円は107円10銭前後と、これまでのもみ合いからややドル高円安圏での推移に。
【ロンドン市場】やや上値重い
午後に入ってNY勢が入りだしてからはドル売りがやや優勢に。
それまではもみ合いの中、若干ドル売りが入る展開。
東京市場で振幅を経てドル円は107円台に戻してきたが、上値が重い。
【NY市場】一気にドル売りが進む展開に
朝から一気にドル売りが進む展開となった。株高、NY原油高などの動きからリスク選好の動きに。
円安よりもこれまでのドル買いに対する調整が一気に広がりドルは全面安。
ドル円は106円00銭台まで大きく値を落とし、ユーロドルも1.1350近くまで上昇した。
東京市場の振幅の中で下値を支えた106円70銭前後の水準を割り込んだことで
ドル円はストップ注文を巻き込んで売りが出た面も。
ドル円は大台を何とか維持したことでその後調整が入り106円台半ばに。
【本日の見通し】不安定な展開
ドル売りが一気に広がる展開となった。
ドル円は106円台を何とか維持したことで、下値しっかり感が出るかどうか。
107円台にいったん乗せてから、重さを確認して落ちてきたことで、
106円70銭前後が今度は重くなる可能性も。
その場合ドル円、クロス円は下方向の動きを強く意識。
106円ちょうどが大きなポイントとなりそう。
NZ中銀金融政策理事会は現状維持見込みで波乱なく通過か。
今年中のマイナス金利導入の可能性が指摘される中で、
会見などでの姿勢に変化があるかがポイントとなりそう。
【本日の戦略】下値リスク意識
ドル安の流れが強まる展開に。
株高などの動きが広がり、リスク選好の動きの中で、円売りよりもドル売りが広がっている。
ユーロや英国のPMIがかなり強く、ユーロドル、ポンドドルの買いが出やすいことも
ドル全面安基調に寄与。
新興国通貨売りの動きも週明けから一服してきており、
どこまでこの流れが強まるか。
ドル円は106円台でのレンジ取引を意識も、売りからの流れ。
デイトレは回転を意識も、スウィングは少し下を期待する動き。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《6/23 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.91 1.1261 120.38
高値 107.22 1.1349 121.10
安値 106.07 1.1233 119.91
終値 106.52 1.1308 120.46
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《6/23 火曜日の主要株式指数》
日経 22549.05 +111.78
DOW 26156.10 +131.14
S&P 3131.29 +13.43
Nasdaq 10131.37 +74.90
FTSE 6320.12 +75.50
DAX 12523.76 +260.79
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《6/23 火曜日の商品市場》
NY原油先物8月限(WTI)(終値)
1バレル=40.37(-0.36 -0.88%)
NY金先物8 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1782.00(+15.60 +0.88%)
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《6/23 火曜日に発表された主な経済指標》
【シンガポール】
消費者物価指数(5月)14:00
結果 0.5%
予想 0.4% 前回 -0.9%(前月比)
結果 -0.8%
予想 -0.9% 前回 -0.7%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI・速報値(6月)16:30
結果 44.6
予想 42.5 前回 36.6
ドイツ非製造業PMI・速報値(6月)16:30
結果 45.8
予想 42.3 前回 32.6
ユーロ圏製造業PMI・速報値(6月)17:00
結果 46.9
予想 45.0 前回 39.4
ユーロ圏非製造業PMI・速報値(6月)17:00
結果 47.3
予想 41.5 前回 30.5
【英国】
製造業PMI・速報値(6月)17;30
結果 50.1
予想 45.0 前回 40.7
非製造業PMI・速報値(6月)17:30
結果 47.0
予想 40.0 前回 29.0
【南アフリカ】
雇用統計(第1四半期)18:30
結果 30.1%
予想 29.7% 前回 29.1%(失業率)
【アメリカ】
新築住宅販売件数(5月)23:00
結果 67.6万件
予想 64.0万件 前回 58.0万件(62.3万件から修正)
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《6/23 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*トランプ米大統領
中国との貿易合意は全く損なわれていない
*ムニューシン米財務長官
救済法案は時間かけてしっかり考えたい。
米経済は年内にリセッションを脱する可能性も。
新たな景気対策法案が7月可決の可能性も。
FRBは目を見張るような仕事をした。
トランプ大統領もFRBの仕事を歓迎している。
中国が貿易合意を遵守することを期待。
*ナバロ米大統領補佐官
中国に関するコメント(中国との通商合意は終わり)は文脈から大きく外れて捉えられた
*ブラード・セントルイス連銀総裁
FEDは新型コロナに対処するための多くの手段を配備している
FEDは素晴らしいフォワードガイダンスを提供している
資産バブルのリスクを注視し続けている
イールドカーブ・コントロールに関しては答えよりも疑問のほうが多い
2%インフレ目標に対する信頼性を維持している
恐れていたほどパンデミックは悪化が見られていない。
生産は通常の90%で稼働している模様。
経済の大部分は以前のレベルに戻る。
市場はいまのところ、最悪のケースは回避されることを反映。
*米2年債入札結果
最高落札利回り 0.193%(WI:0.197%)
応札倍率 2.46倍(前回:2.68倍)
*クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
支援金給付第2弾が検討議案に入っている。
場合によっては税還付も選択肢にある。
*デーリー・サンフランシスコ連銀総裁
FRBの市場支援は不均衡を悪化させない。
FRBの仕事は経済的な可動性を支援すること。
ウイルスが復活した場合、さらなる対応が必要。
【ユーロ圏】
*独経済諮問委員会
新型コロナで今年のドイツ経済は6.5%縮小する見込み(季調済では6.9%縮小)
新型コロナの世界経済に対するインパクトは従来の予想以上に深刻
ドイツ経済は今年下半期に緩やかに回復、来年の成長は4.9%に
新型コロナの感染急拡大が再燃した場合、経済の停滞は長引くだろう
ドイツ経済は第2四半期に最大11%まで縮小する可能性
*欧州委報道官
次回のEU首脳会議は7月17日に開催、復興計画や長期予算で
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《本日予定されている主な経済指標》
【ニュージーランド】
NZ中銀政策金利 11:00
予想 0.25% 現行 0.25%
【日本】
景気動向指数・確報値(4月)14:00
予想 前回 76.2(景気先行指数)
予想 前回 81.5(景気一致指数)
【南アフリカ】
消費者物価指数(4月)17:00
予想 -0.5% 前回 0.3%(前月比)
予想 3.0% 前回 4.1%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツIfo景況感指数(6月)17:00
予想 85.0 前回 79.5
【南アフリカ】
小売売上高(3月)20:00
予想 1.9% 前回 2.0%(前年比)
【アメリカ】
MBA住宅ローン申請指数(6/13-6/19)20:00
予想 前回 8.0%(前週比)
住宅価格指数(4月)22:00
予想 0.3% 前回 0.1%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員