リスク警戒強まり、ドル円は107円台まで
リスク警戒強まり、ドル円は107円台まで
カナダ緊急利下げ、量的緩和示し、瞬間売りも、その後カナダ買いが強まる
南ア、ムーディーズが格下げ、ジャンク級に
【東京市場】ドル円108円台前半へ
前日海外市場でのドル安円高の流れが継続し、ドル円は108円台前半まで。
新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がる中で、
リスク警戒の動きから週末越えのドル買いポジション維持に警戒感が出た面も。
【ロンドン市場】ユーロ安
この時間帯はユーロ安が目立つ展開となった。イタリア、スペインで新型コロナウイルスの感染拡大被害が広がり
死亡者数が急激に増加する状況を懸念した動きに。
欧州株が昨日までの上昇から一転して値を落とし、ユーロの重石となった面も。
ドル円は揉み合い。東京午後の下げから、朝方は軟調も、
その後ユーロドルでのユーロ売りドル買いの動きもあって下げ渋ri,
109円台を回復する場面などが見られた。
【NY市場】ドル全面安に
ドル全面安の動きとなった。ドル円はロンドン市場で109円台を回復する場面が見られたが、その後は頭の重い展開に。
朝方ロンドン市場の流れを受けて売りが出ていたユーロドルが反転したことなどをきっかけに、ドル売りが加速。
米債利回りの低下なども加わってドル売りが強まり、ドル円は東京市場の安値を割り込み、108円の大台を割り込んでの推移に。
ユーロドルも一気に上昇し、ロンドン市場での下げ分を解消してさらに上をトライ。NY朝の安値から200ポイント近く一気に上昇する格好に。
米株の4営業日ぶりの大幅な下げがドル売りに。また、米国内での新型コロナウイルスの感染拡大が予想を超えて広がり、中国を抜いて感染者数世界最多になったことなどもドル売りにつながったとみられる。
投資資金の質への逃避が見られ、米10年国債の利回りは0.67%台まで低下。こちらもドル売りにつながった。
米下院は25日の上院に続いて2兆ドル規模の大規模経済対策を可決。すぐに大統領の下に送付され、トランプ大統領も直ちに署名して、法案が成立した。こちらに対する期待感がかなり強いが、週末を前にした調整ムードに押された。
カナダ中銀は今月3度目となる緊急利下げを発表。政策金利は0.25%となった。量的緩和の実施方針も示すなど、積極的な緩和対応に。またカナダ政府も歩調を合わせて緊急経済対策を発表している。原油安で厳しい状況にある石油関連産業への信用保証などの方針も示され、カナダ買いの動きに。
ドルカナダは利下げ発表直後のカナダ売りに1.4154を付けたが、その後1.3922までと200ポイントを超える大幅なドル売りカナダ高に。
ジョンソン首相と新型コロナウイルスの担当であるハンコック保健相が相次いで新型コロナウイルスの陽性反応を示した英国はジョンソン首相陽性の発表直後に売りが出る場面も、その後は対ドルで買いが一気に広がった。ドル全面安の動き受けたもの。ポンドドルはロンドン市場で1.21台半ばから1.23近くまで上昇。首相の陽性反応発表に1.22割れを付けたが、その後は一転してのポンド高に1.2486までの急騰となった。
【本日の見通し】リスク警戒継続で神経質な展開続く
新型コロナウイルスの感染拡大被害が収まるところを見せない。
ここ数週間がピークではとの見通しも、警戒感が広がる格好に。
スペインで外出禁止ではなく経済活動の禁止が指示されるなど
経済の鈍化を覚悟しても感染被害を食い止めようという意識が強まっており、
リスク警戒からのドル売り円買いの動きに。
これまでの流れではリスク警戒からのドルキャッシュ化が強まる中での
ドル買いも意識されるが、中国、イタリアを超えて米国が感染者数では
ダントツの世界一となった状況ではドル買いには慎重な姿勢が見られる。
ドル円は107円台を中心に頭の重い展開が見込まれるところ。
106円台への下落も意識される。
もっとも新興国通貨売りドル買いの動きが再び強まるようだと下げは限定的か。
相当神経質な展開が今週も続くと予想され、
不安定な振幅が見込まれるところ。
なお、先週末に格下げを受けた南アランドは
資金の海外逃避が一段と進むとみられる。下方向の意識が強まりそう。
【本日の戦略】戻り売り
どちらからを見越すかが難しいが
意識的には戻り売りか。
世界の金融センターであるNYが事実上の封鎖要請を受けた(結局は断念)ことは
かなりのインパクト。
ただ、振幅はある程度覚悟。
スウィングならばドル円は108円台での売りを意識か。
デイトレは数を増やす。損が出る局面はある程度織り込み。
これだけ動けばチャンスも多い、損を常に限定的に抑えて
数をこなす意識。持ちすぎは厳禁という流れ。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/27 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 109.58 1.1032 120.91
高値 109.69 1.1147 120.99
安値 107.76 1.0954 118.81
終値 107.94 1.1141 120.29
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《3/27 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 19389.43 +724.83
DOW 21636.78 -915.39
S&P 2541.47 -88.60
Nasdaq 7502.38 -295.16
FTSE 5510.33 -305.40
DAX 9632.52 -368.44
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《3/27 金曜日の商品市場》
NY原油先物5 20月限(WTI)(終値)
1バレル=21.51(-1.09 -4.82%)
ブレント先物5 20月限(ICE)(終値)
1バレル=24.93(-1.41 -5.35%)
ブレント-WTI(6月) -0.22
NY金先物6 20月限(COMEX)(終値)
1オンス=1654.10(-6.20 -0.37%)
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《3/27 金曜日に発表された主な経済指標》
【インド】
インド中銀政策金利(3月)13:44
結果 4.40%
予想 前回 5.15%
【米国】
個人所得・支出(2月)21:30
結果 0.6%
予想 0.4% 前回 0.6%(個人所得)
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.2%(個人支出)
PCEデフレータ(2月)21:30
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.2%(0.1%から修正)(PCEコアデフレータ・前月比)
結果 1.8%
予想 1.7% 前回 1.8%(1.7%から修正)(PCEデフレータ・前年比)
結果 1.8%
予想 1.7% 前回 1.7%(1.6%から修正)(PCEコアデフレータ・前年比)
ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(3月)23:00
結果 89.1
予想 90.0 前回 95.9
同現況指数
結果 103.7
予想 106.0 前回 112.5
同先行指数
結果 79.7
予想 77.0 前回 85.3
1年期待インフレ
結果 2.2% 前回 2.%
5-10年期待インフレ
結果 2.3% 前回 2.3%
【カナダ】
中銀政策金利(3月)22:02
結果 0.25%
予想 N/A 前回 0.75%(カナダ中銀政策金利)
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《3/27 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*安倍首相
仮に都市封鎖のような事態を招けば、日本経済に甚大な影響を及ぼす
【米国】
*トランプ米大統領
共和党大会を中止することは決してない
*格付け会社フィッチ
米国の格付けを「AAA」に据え置いた。見通しは「安定的」
*カプラン・ダラス連銀総裁
原油は劇的な供給過剰に見舞われている。
原油生産は部分的に縮小を余儀なくされている。
*ムニューシン米財務長官
トランプ米大統領は労働者および企業を守るため何でも行う。
最近の統計データは正常な経済状況を示していない。
*ボステック・アトランタ連銀総裁
米経済は力強く回復する見込みだが、予想は困難。
第1四半期は横ばい、第2四半期はマイナス成長に。
第3四半期およびそれ以降についての予想は困難。
感染拡大をいかに食い止めるかどうかにかかっている。
大恐慌に起きたことを繰り返さないよう望む。
(ブルームバーグ)
*トランプ大統領
国防生産法の下、米自動車大手GMに人工呼吸器の生産を命じる
2兆ドル規模の大規模経済対策にサイン
トランプ大統領とメルケル独首相 新型コロナウイルス調査を約束
*米下院
2兆ドル規模の大型経済対策を可決
【ユーロ圏】
*格付け会社S&P
BMWを従来の「A+」から「A」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」
ダイムラーを従来の「A-」から「BBB+」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」
VWの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更
*ECB報道官
銀行は配当について決定する際は慎重を期するべき。
リスクに関しフォワードルッキングな視点を。
資本調達が必要になる事態を避けるべき。
【中国】
*中国習近平国家主席
世界的リセッションを阻止するために経済政策における協調を改善するよう、各国に呼び掛け。
強力かつ効果的な財政金融政策を実施し為替相場を安定させる必要がある。
中国はWHOのリーダーシップを支持する
*中国外務省国際経済局局長
計3440億ドル規模の経済対策を実施しているとG20首脳に説明した。
中国は既に約1兆2000億元を拠出、流動性供給と狙いを定めたツールにも同額を投じている。
約1兆元規模の減税も実施する
【豪州】
*モリソン豪首相
新型コロナウイルス感染拡大に対する経済対策「第3弾」を数日中に発表。
【その他】
*新型コロナウイルス関連
感染者は全世界で52万人を突破、米国が中国を抜き世界最多に。
スイスで1万人を突破、人口1千万人未満で感染者が1万人を超えるのは初めて。
*G20首脳
経済対策5兆ドルを拠出すると表明
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済・社会的打撃を最小限に抑え、
世界経済の回復のために出来ることはすべて行う。
*格付け会社S&P、メキシコの格付けを従来の「BBB+」から「BBB」に引き下げ。
*IMF専務理事
リセッションに入ったのは明確である。
マイナス幅は非常に深いと見越している。
発展途上国は2.5兆ドルの資金調達を必要としている。
80の国家が救済を求め、それ以上が期待している
G20サミットでは感染の即時封じ込めが焦点に
危機対応に際しての支援制度の見直しに着手している。
【英国】
*英BBC
ジョンソン英首相は新型コロナウイルス検査で陽性。
ハンコック保健相も新型コロナウイルス検査で陽性。
*英首相報道官
ジョンソン首相は7日間の自主隔離行うつもり。
ビデオ会議で執務は続ける。
日曜日までに一日あたり1万人のウイルス検査実施へ。
ブレグジットの日程に変化なし。
毎日の会見は行わない。
【カナダ】
カナダ中銀
政策金利を0.75%から0.25%へ引き下げ。
CP購入プログラムを開始する。
週間で少なくとも50億カナダドルの国債を購入する。
ポロズ加中銀総裁
一段の追加措置の用意がある。
本日の措置は長期的な成長の礎となるもの。
マイナス金利も追加措置の用意に含まれる。
銀行に与えるマイナス金利の影響は大きい。
(今回の会合では)マイナス金利は検討せず。
量的緩和は状況次第で調整
*モルノー財務相
家族の内二人が新型コロナウイルスの陽性
何が起こってもカナダ紙府は準備ができている。
政府保証信用でエネルギー部門をサポート、詳細は動き出してから
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《本日予定されている主な経済指標》
【スイス】
KOFスイス先行指数(3月)16:00
予想 85.0 前回 100.9
【ユーロ圏】
ユーロ圏業況判断指数(3月)18:00
予想 93.1 前回 103.5
ユーロ圏消費者信頼感・確報値(3月)18:00
予想 N/A 前回 -11.6
ドイツ消費者物価指数・速報値(3月)21:00
予想 0.1% 前回 0.4%(前月比)
予想 1.4% 前回 1.7%(前年比)
ドイツ調和消費者物価指数・速報値(3月)21:00
予想 0.1% 前回 0.6%(前月比)
予想 1.4% 前回 1.7%(前年比)
【米国】
中古住宅販売成約指数(2月)23:00
予想 -1.8% 前回 5.2%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員