ドル/円、「ドル選好」が下支え=外為どっとコム総研 神田卓也
ドル/円、「ドル選好」が下支え
昨日のドル/円は、終値ベースで約0.3%下落。中国で新型コロナウイルスの感染者および死者が急増した事を受けて市場心理が悪化する中、円買いが強まり一時109.60円台まで軟化した。ただ、ユーロ/ドルが2年9カ月ぶり安値を付けるなど「ドル選好」も根強く、ドル/円は売り一巡後に109.80円台へと値を戻している。
なお、新型コロナウイルスは日本国内にも感染が広がり始めており、昨日は初の死者も出た。週末を前に、さらなる感染拡大のリスクを意識せずにはいられないところだろう。本来なら円売りに傾いてもおかしくない材料だが、日本は世界一の対外債権国であるという特殊事情から、「リスク回避の円買い」は共通認識として市場に刷り込まれている。本日のドル/円は、週末リスクへの意識で上値の重い展開が見込まれる。それだけに「ドル選好」によって下値リスクを抑え込めるかが焦点となりそうだ。ドルの動きを巡っては、米1月小売売上高や米1月鉱工業生産などの米景気指標も注目されよう。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。