休暇明けの中国市場を注視=外為どっとコム総研 神田卓也
休暇明けの中国市場を注視
31日のドル/円は、NY市場で新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感が高まり108.31円前後まで下落した。ウイルス感染は週末の間も拡大が続き、中国では昨日時点で新たに2103人が感染。死者は56人増加して360人となった。ただ、今朝のドル/円相場は108.30-40円台で推移しており、いまのところ値動きに大きな影響は出ていない。(1)2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)に比べると致死率が低い事、(2)中国国外への感染が限定的である事、(3)中国当局が本日の金融市場に1.2兆元の流動性供給を行うと表明した事などが市場の動揺を最低限に抑えていると考えられる。
本日は旧正月休暇明けの上海株式市場や中国人民元の動きに関心が集まっており、いずれも下落は避けられない見通しだ。ただ、一定の下落は織り込み済みであり、中国当局の対応などが功を奏してパニック的な動きが抑えられれば市場心理が一段と悪化する事はないだろう。いずれにしても、本日のドル/円が108円台を維持できるか否かは中国市場の動向にかかっていると言えそうだ。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。