【来週の注目材料】今年もやってきましたジャクソンホールの季節が
世界中が注目する夏の終わりのビッグイベント、ジャクソンホール会議が今年も8月22日から24日の日程で、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれます。カンザスシティ連銀が主催し、FRB議長を初め、各国の中央銀行総裁や著名な経済学者などが集まって行われるこのシンポジウム。今年のテーマは「金融政策における課題」となっています。
具体的な日程などについては例年開催初日朝の発表ということになっていますが、パウエル議長の講演に関しては23日に実施されることが明らかになっています(FRBの規定で議長のスケジュールとして事前に告知されています)。
7月30日、31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年12月以来約10年半ぶりの利下げに踏み切ったFRBですが、トランプ大統領からは昨年12月までの利上げ路線に対して、連日のようにかなり厳しい表現で批判を受けている状況。
15日の米小売売上高が強めに出るなど、現状の米経済自体は堅調を維持していますが、14日、15日にリセッションの前兆ともいわれる米国債の2年物と10年物の利回りが逆転する逆イールド(一般的に利回りは長期になるほど高くなります)が発生するなど、先行きの不透明感が広がっている中で、市場は9月以降の追加利下げ期待を強める状況となっています。
金利先物市場動向からみた9月の利下げ割合は100%。それどころか、CME上場のFF金利先物動向から計算した金利見通しでは3割以上が9月に一気に0.50%の利下げに踏み切るという予想になっています。
前回のFOMC後に行われた会見では利下げサイクルのスタートではないと強調したパウエル議長。しかし市場は追加利下げを強くアピールする状況となっています。
前回の利下げの理由として貿易摩擦などによる先行き不透明感を上げていましたが、その後、トランプ大統領による対中関税第4弾の9月1日からの賦課決定(その後一部製品については12月15日に延期)、中国に対する為替操作国認定などを経て、不透明感はより強まっているだけに、利下げに踏み切る理由には十分に見えます。
ハト派で知られるカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が「世界的な景気後退を前に、景気刺激策が必要」と追加利下げ姿勢を示すなど、地区連銀総裁の中からも緩和を求める動きが広がる中で、パウエル議長がどのような姿勢を示すのでしょうか。
今回のジャクソンホールの「金融政策における課題」というテーマに沿った基調講演となるだけに、通商問題や世界的な先行き不透明感における今後の金融政策対応に触れないという可能性は低く、今後のFOMCの政策見通しや、ドルの相場見通しに大きな影響を与える講演となりそうです。
minkabu PRESS編集部 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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