下がって当然の週だが、思ったより下げた
月間のアノマリー、ETFの分配金捻出売り
今週は、ハナからご承知の通り、下がるか上がるかと言われれば、下がる確率が一番高い一週間、月間のアノマリーです。
したがって、下げて当然、驚くに当たらないわけですが、下げ幅は思った以上のものがあります。おそらくそれは、パッシブ型のETFの分配金捻出のための売りを警戒した部分が大きいのではないかと思います。だとすれば、実質的な下げ部分は、実はもっと小さいでしょう。
とくに、ドル円が108円台をキープしていました。株だけがやけに大きな下げになったと言えます。
日経平均は、212円安の21,534円。
ダウ輸送株指数の位置がすべてである
米国では総合株価指数のS&P500や、グローバル指数のNYダウ工業株が、史上高値圏ですが、これに幻惑されてはいけません。
実態は、先行指標のダウ輸送株指数です。これが、すべての移動平均線を上回っているとはいえ、微妙な位置にあり、いつでもこれらを割り込みかねないわけです。戻りも昨年高値→安値の中間地点まで戻っているにすぎず、中段持ち合いの過程にあるわけです。
これが上か、下かで、話が全然変わってきてしまうということに留意していなければなりません。
米10年国債利回りが反発したが・・・
相場の帰趨を担っているのは、米国10年国債利回りです。
先週末の雇用統計が、市場の大方の予想に反して強い結果となったため、慌てて国債に売りがでて、長期金利が2%を超えたわけです。
これが今後どうか、がすべての帰趨を担っています。
つまり、場合分けをするとこうなります。
(a) 米長期金利が上昇していく場合。
この場合に株が上がるか下がるかです。
株が上がれば、それは利下げ期待後退の失望より、米国景気再浮上の楽観論に振り子が大きく振れるわけですから、これは一番いいシナリオですが、逆に長期金利上昇で株が下がるとなると、市場の「甘え」がまだ根強いということになってしまいます。
(b)米長期金利が低下していく場合。
この場合も、もちろんそれで株が上がるか下がるかで、シナリオが分かれます。
株が上がれば、利下げ期待が一段と過熱するわけで、株式相場のバブル性がどんどん醸成されることになるでしょう。もちろん、本当のバブルになるには、10年国債利回りと2年国債利回りが逆転しなければなりません。一週間前の6月28日時点では、両者の利回り差は1.2524%でしたが、先週末の雇用統計後には、1.1809%と縮小。
下がれば、これは一番悪いシナリオです。刻な景気後退懸念ということになるわけで、利下げは断続的に行われたところで、株式相場の下落に歯止めがかからなくなります。
今週のイベント・スケジュール
今週の予定です。
冒頭で述べた、月間のアノマリー+パッシブ運用ETFによる分配金捻出のための売りというのが、相場を下押する大きなファクターです。
このほか、相場を左右する可能性があるのは以下の通りです。
9日(火曜日) 6月の工作機械受注
10日(水曜日) パウエル連銀議長の下院における議会証言
11日(木曜日) パウエル連銀議長の上院における議会証言。安川電機<6506>の決算発表。
やはりパウエル議長の議会証言がなんといっても注目でしょう。
先週末の雇用統計が弱ければ、何が起こるか比較的簡単だったわけですが、 予想外に強い結果であったことから、市場参加者も議長がどういう発言をするか(意地悪い質疑応答もあります)大変気になるのです。
下手に、利下げ期待を助長させることはできませんし、利下げをしないかのような発言では失望を買ってしまいます。
大変難しい局面に連銀が立っています。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>ホールドのままです。順調にリターンの拡大になっています。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。