ついに半導体動く。日経、5日線奪回
業績悪化でも、業績相場に回帰できるか
思いのほか上昇したという印象の一日でした。
日経平均は三日ぶりの反発で、251円高の21,338円。
ザラ場中、グローベックス市場でもNYダウ工業株がじわじわと気配を切り上げ50-60ドル高で推移していたことも手伝ったのでしょう。
またアジアでは、上海コンポジットが昨日の25日線奪回に続き、本日は5日線奪回で値幅をもって上昇していたこともやはり支援材料になったでしょう。
本日の東京市場の特質は、なんといっても半導体をはじめとするディープシクリカル(尖鋭な景気先行業種)が軒並み上げてきたということです。
業種別では、上昇率上位にノミネートされたのは、トップが機械セクターです。
続いて、半導体、資源、ガラス土石、エレクトロニクス、輸送用機器、非鉄、そして米長期金利が大幅に反発したこともあって、ようやく銀行株も食い込んできていました。
これだけ塊で上げてくるということは、明らかに次のステージをにらんでの動きでしょう。
キーワードは、景気敏感株、そして大型株です。
米国は7月第二週から、日本は月末から決算発表になるわけですが、マクロベースの悪材料が出尽くしになっていきますと、次はミクロべース(企業業績)の悪材料出尽くしへと相場の駆動軸が移行していきます。
業績が悪くても、半導体は上がるときには上がるのです。それは業績実体より遥かに先行して動く特性があるからです。
まずは、G20(大阪サミット)
週後半はご存じのようにG20です。
ここで先般のFOMCに続き、一つの政治的イベントを通過します。
米中協議が一番の焦点になっているわけですが、結果はおそらく「本格的な協議の再開」だけが決まるだけでしょう。
その直後の米国の関税引き上げは、以前よりトーンダウンしており、25%ではなく10%だとトランプ大統領が言っています。25%を引き上げたらもう後がありません。
10%なら、まだ協議続行中圧力をかけ続けるカードを持っていることになるので、このほうがアメリカは有利だと踏んだのでしょう。
ただ、今回25%の引き上げをしても、しょせんこれで「出尽くし」ですし、仮に10%だとしても「残った最後の15%の関税引き上げはラストだ」ということになるので、実はこれも出尽くし同然なのです。
連銀が利下げをしても、しなくても、長期金利と株は上昇する
市場ではご存じの通り、圧倒的に7月利下げを織り込んでいます。
これをベースに、連銀による利下げの有る無しで、相場がどう違うのか考えてみましょう。
(連銀が利下げする場合)
7月、連銀がこの市場の付託に応えて利下げをしたとしても、それは0.25%という小幅なものに限定されるでしょうし、その次の利下げは、よほど経済指標の急ピッチな悪化がなければ、2四半期は動きません。政策変更をした効果がどういうものか評価するのに、2四半期はどうしても必要だからです。つまり仮に利下げをするにしても、年明け早々にというのがセオリーです。
(連銀が利下げをしない場合)
また、逆に7月のFOMCで市場の期待を裏切り、利下げをしなかった場合には、失望売りをい浴びるでしょうが、それでもその直後には、「利下げの必要は無く、景気は再浮上していくのだ」という元の景気拡大シナリオへと市場は回帰していくことになります。
つまり、7月のFOMCで連銀がどちらの選択肢を取るにしても、長期金利が上昇基調、株も上昇基調であるということになります。
もし、ここから相場が走るとしたら、そこまで見切ったということになるでしょうから、プレアナ中から相場動意、決算発表ピークを迎える7月最終週あたりまで天井形成という線が濃厚となります。(その後は、文字通り調整になるか。あるいは米国長短国債利回り逆転が起これば、バブル相場に突入して、上昇相場が加速することになります)
戦略方針
日経平均レバレッジ<1570>の持続です。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。