【NY市場】米中対立激化の中、ドル円は下値では押し目買いも
きょうのNY為替市場はドル円の下げが一服しており110円台を回復した。この日発表の日本のGDPが予想外のプラス成長だったことや、豪州の総選挙で与党が奇跡的に勝利したことなどから、ポジティブなムードが高まり、ドル円は110.30円近辺まで上昇した。
しかし、日本のGDPは見た目はプラス成長だったが輸入の大幅減など内需の弱さも警戒される内容で手放しで喜べる内容ではない。逆に消費税増税見送りへの期待も後退する中で、ポジティブな雰囲気はさほど続かなかった。
トランプ大統領が先週、中国のファーウェイを安全保障上の脅威とみなし、米企業への製品販売や、米企業からのファーウェイへの製品供給も事実上禁止する大統領令に署名した。これを受けて米半導体企業はしばらく製品を供給しない方針を示し、グーグルは携帯基本ソフト(OS)「アンドロイド」の使用を制限する動きを示している。また、中国側も対抗措置を検討しているとも伝わっている。米中対立がエスカレートする中、ドル円は再び109円台に下落している。ただ、下値では押し目買いも入るようだ。
ユーロドルは下げ渋ってるものの上値は重い。きょうも動向を見極めたいとして、ファンダメンタルズよりも米株にらみの動きとなっている。アジア時間には1.1150ドル近辺まで下落していが、NY時間にかけて買い戻しの動きも見られ、1.1175ドル近辺まで下げ渋る場面も見られている。1.1150ドルは強いサポートとなっているようだが、積極的にリバウンドを狙う動きは見られていない。
ドイツ連銀は4-6月期の同国経済は脆弱との見通しを示していた。世界需要の下振れでドイツの大手製造業が圧迫されているとしている。1-3月期は底堅い個人消費と建設需要が成長をサポートし、予想外に底堅い成長を示していた。
ポンド売りがきょうも目立ちポンドドルは1.27ドル台前半に下落しているほか、対ユーロでも下落が目立っており、ユーロポンドは3ヵ月ぶりの高値に上昇。
特にポンドのネガティブな材料は出ていないが、英EU離脱協定に対する超党派協議がまとまらず、依然として合意なき離脱への懸念は高い。もし、退陣を表明しているメイ首相の後任がEU離脱強硬派ならば、更に合意なき離脱へのリスクは高まる可能性もある。もし、合意なき離脱となれば、ポンドへの影響は長期に渡るとの指摘も聞かれる。
ただ一方で、合意なき離脱よりもEU残留の可能性も以前よりは高まっているとの見方も出ているようだ。いずれにしろ、事態は混沌としており、ポンドは手を出しにくい状況。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美