【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:186円大台突破と「見えない壁」の攻防、高値圏でのエネルギー蓄積を経てECB理事会へ
【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:186円大台突破と「見えない壁」の攻防、高値圏でのエネルギー蓄積を経てECB理事会へ
先週から週明け(7月13日〜7月20日)のまとめ
前回レポートの終盤(13日早朝)に記録した調整安値184.31円を底に、相場は構造的な円売り需要を背景として力強い上昇トレンドへ回帰した。週前半に心理的節目である185.00円を完全に奪還すると、勢いはさらに加速。16日(木)のNY時間には一時186.04円まで上値を拡張し、前回・前々回の高値抵抗帯(185.80円台)を上抜けて186円の大台突破を達成した。
しかし、年初来高値(186.32円)を目前にしたステージでは本邦当局による為替介入への警戒感が最大化し、ロング勢の利益確定売りが連日のように上値を抑えた。週末17日(金)から週明け20日(月)にかけては、185.30〜185.80円台のレンジ内へ押し戻されて膠着。足元(21日昼現在)は185.40円台を中心としたもみ合いとなっており、次なる材料を前にエネルギーを溜める高値圏での日柄調整の様相を呈している。
詳細な値動きの振り返り
■ 184.31円からのV字反発と185円台の奪還(7月13日〜7月15日)
13日(月)早朝に直近安値184.31円をつけた後は、実需の円キャリー需要に伴う押し目買いが殺到。14日(火)のロンドン・NY時間にかけて185.00円の節目を上抜けると、15日(水)には下値を185.20円台へ切り上げるなど、完全に強気地合いを取り戻す展開となった。
■ 186円大台突破と週内最高値186.04円への到達(7月16日)
16日(木)の東京・欧州時間は185.80円台の手前で伸び悩んでいたが、NY時間に入ると一気に動意付いた。米経済指標などをきっかけに底堅さが意識されると、21:00台に急伸。これまでの強力なレジスタンスであった185.82〜185.84円を突き破り、一時186.04円まで上昇した。これにより年初来高値(186.32円)の更新が現実味を帯びる形となった。
■ 介入警戒に伴う上値の重さとレンジ膠着(7月17日〜7月20日)
186円台への突入による達成感と、日本の通貨当局による実質的な介入への恐怖心から、大台近辺では断続的な戻り売りが観測された。17日(金)のNY時間には一時185.49円まで押し戻され、週明け20日(月)も欧州時間に一時185.87円まで買い進まれたものの、NY時間にかけて再び185.35円まで下落。上値の重さを確認しながらも下値も限定的という、神経質なボックス相場へ移行した。
ファンダメンタルズ分析
欧州側:ECB理事会を控えた「タカ派据え置き」の織り込み
今週23日にECB理事会という最大級のイベントを控えている。市場では今回の政策金利据え置きがほぼ完全に織り込まれているが、焦点は「9月以降の追加利上げ期待」だ。足元ではサービスインフレの高止まりや、中東情勢の緊迫化(米国・イラン間の対立、フーシ派による海上封鎖表明など)を受けた原油価格の再高騰がインフレリスクを刺激しており、マクロ的なユーロ買いの底流(金利差メリット)は一切揺らいでいない。
日本側:186円台の「見えない壁」と押し目買い需要の交錯
186円台に接近、あるいは乗せた局面で売り圧力が強まる背景には、本邦当局による為替介入への強い警戒感がある。市場には「186円台以上は地雷原」との認識が共有されている。しかし、中東の地政学リスクに起因する有事のドル買い・ドル高や原油高は、めぐりめぐって円全面安を誘発しやすい。介入警戒という「人為的な壁」と、原油高・金利差という「構造的な円売り需要」が真っ向からぶつかり合っている。
テクニカル分析
トレンド判断
13日安値(184.31円)から16日高値(186.04円)への上昇により、日足・時間足レベルでの下値切り上がりパターンは継続しており、中期的な上昇トレンドは崩れていない。
ただし、186.00円超えの定着に失敗したことで、短期的には下値を20日・21日にサポートとなった185.30〜185.40円付近、上値を185.85〜186.00円付近とする新しい高値圏ボックス(レンジ保ち合い)を形成している。23日のECB理事会を前に、このレンジをどちらに抜けるかが今週の焦点となる。
【ユーロ円 主要なレジスタンス・サポートライン】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 186.32円 (6月17日記録の年初来高値。最大の超重要障壁)
レジスタンス2: 186.04円 (7月16日に記録した直近最高値。大台定着の分岐点)
レジスタンス1: 185.80 - 185.88円 (過去に何度も上値を阻まれた厚い抵抗帯)
(下値支持帯)
サポート1: 185.30 - 185.45円 (直近20日深夜および21日足元で機能している防衛線)
サポート2: 184.80 - 185.00円 (心理的節目であり、先週前半に土台となった揉み合いゾーン)
サポート3: 184.31円 (7月13日の最安値。ここを割り込まない限り強気維持)
今週のポイント・見通し
今週の最大の焦点は、23日(木)のECB理事会およびラガルド総裁の会見である。足元の185円台半ばでの揉み合いは、この大イベントを前にした様子見ムードを反映している。
【メインシナリオ】ECBのタカ派姿勢を支えに185円台前半を死守、再度186円突破へシフト
23日のECBでインフレへの強い警戒感(9月利上げの示唆など)が示され、ユーロ高バイアスが強まる展開。足元のサポート帯(185.30〜185.45円)を死守し、ショックをこなした後は再び185.80円超えから186.04円の奪還、さらには年初来高値である186.32円への再挑戦を見込む。
想定レンジ: 185.00 - 186.30円
根拠: 構造的な日欧金利差の継続、原油高による円売り圧力、185円台での底固さ。
【対抗シナリオ】ECB後の材料出尽くし感と介入発動による再失速、184円台前半への押し
ECBが想定以上に慎重な姿勢を見せるか、あるいは186円接近時に日本の通貨当局によるドル売り・円買い介入が警戒/発動されてロング勢の投げが加速する展開。185.00円の大台を明確に割り込んだ場合、売り足が速まり、先週の生命線である184.30〜184.50円水準のサポート力を再テストする展開を想定。
想定レンジ: 184.30 - 185.80円
根拠: 186円台での強力な介入警戒感、実需のポジション調整、節目(185.00円)割れに伴うテクニカル的な売り。
総評
先週の動きによってユーロ円の「買いたい」というエネルギーの強さは証明された。しかし同時に、186円台という大台が市場にとって極めて神経質なフロンティアであることも浮き彫りになっている。今週後半に向けて、相場が185円台半ばを維持して再び上値を追う体力を維持できるか、ECB理事会を起爆剤としたダイナミックなブレイクアウト(あるいは急反落)への警戒を怠れない。
今週の主な予定と結果
ユーロ圏
07/20 18:00 建設業生産高 (5月) 結果 0.4% 前回 0.6% (前月比)
07/20 18:00 建設業生産高 (5月) 結果 1.2% 前回 0.9% (前年比)
07/21 18:00 ZEW景況感指数 (7月) 前回 9.5
07/23 21:15 ECB政策金利 (7月) 予想 2.4% 前回 2.4% (ECBリバースレポ金利)
07/23 21:15 ECB政策金利 (7月) 予想 2.25% 前回 2.25% (ECB預金ファシリティ・レート)
07/23 21:15 ECB政策金利 (7月) 予想 2.65% 前回 2.65% (ECB限界貸出ファシリティ)
07/23 23:00 消費者信頼感指数(速報値) (7月) 予想 -17.4 前回 -17.7
07/24 17:00 製造業PMI(購買担当者景気指数・速報値) (7月) 予想 51.6 前回 51.4
07/24 17:00 サービス業PMI(7月) 予想 49.7 前回 49.4
ドイツ
07/20 15:00 生産者物価指数 (6月) 結果 -0.3% 予想 -0.3% 前回 0.3% (前月比)
07/20 15:00 生産者物価指数 (6月) 結果 1.8% 予想 1.9% 前回 2.2% (前年比)
07/21 18:00 ZEW景況感指数 (7月) 予想 18.2 前回 10.5
07/24-07/31 未定 輸入物価指数 (6月) 前回 0.7% (前月比)
07/24-07/31 未定 輸入物価指数 (6月) 前回 6.8% (前年比)
07/24 15:00 GfK消費者信頼感調査 (8月) 予想 -28.5 前回 -29.2
07/24 16:30 製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値) (7月) 予想 50.5 前回 50.3
07/24 16:30 非製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値) (7月) 予想 49.5 前回 48.6
フランス
07/23 15:45 企業景況感 (7月) 前回 94.0 (企業景況感)
07/24 16:15 製造業PMI(速報・購買担当者景気指数) (7月) 前回 51.2
07/24 16:15 非製造業PMI(速報・購買担当者景気指数) (7月) 前回 46.8
執筆者 : MINKABU PRESS
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