【来週の注目材料】米FOMCは据え置き見込み、声明&会見に注目
【来週の注目材料】米FOMCは据え置き見込み、声明&会見に注目
5月6日、7日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、8日にイングランド銀行(中央銀行)金融政策会合(MPC)が開催されます。
FOMCは政策金利を据え置きの見込み、英MPCは0.25%利下げの見込みとなっています。
まずは米FOMCです。トランプ政権が相互関税の発動を発表した4月9日前後は今回のFOMCで利下げに踏み切るとの見方が強まる場面が見られ、短期金利市場の織り込みも50%を超える場面が見られました。しかし、対中関税を除いて90日間の猶予措置が発表されたことなどから落ち着きを取り戻し20%前後まで期待が後退すると、会合を前にその後もじりじりと据え置き期待が強まり、週末時点では92.7%が据え置き、7.3%が利下げと、現行の4.25-4.50%での据え置きで見通しがほぼ一致している状況です。トランプ大統領は利下げを強く望んでいますが、パウエル氏が今回の会合でそれに応じる可能性はほとんどないとみられます。
政策金利の据え置き見通しでほぼ一致している状況に加え、今回は四半期に一度公表されるFOMCメンバーによる経済見通し(SEP)が示される回には当たっていませんので、注目材料としては声明と会合後のパウエル議長の会見になります。
声明については前回3月のFOMCで見られた変化が継続する見込みです。前回の会合声明では「経済見通しを巡る不確実性は強まった」との文言が追加され、それまでの会合声明で見られた「雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡している」との文言が除かれました。リスク警戒を意識する状況となっています。また、昨年12月会合声明から続く政策金利について「さらなる調整の程度と時期を検討する際」との表現は維持されました。
今回も3月と同様の表現が維持される見込みです。トランプ大統領の要請に乗る形での利下げは拒否するとしても、4月30日に発表された米第1四半期GDP速報値がマイナス成長になるなど、米景気に鈍化がみられること、物価自体は落ち着いていることなどから、6月には利下げに踏み切るとの見方がやや優勢。金利先物市場動向からみた金利変更確率を示すCMEFedWatchツールでは6月の利下げを58%見込んでいます。短期金利市場の織り込みでは59.8%が利下げ見通しとなっています。こうした状況を受けて声明では3月同様に利下げの可能性を残す形での声明となる見込みです。
パウエル議長会見では、トランプ関税の影響などを受けた今後の金融政策見通しが注目されるところです。4月16日の講演で議長はトランプ関税について、規模は予想を大きく上回っている、物価上昇や成長鈍化といった影響も大きくなる可能性が高いと発言。金融政策運営については「情勢が一段と明確になるのを待つ態勢が整っている」としています。今回も同様の発言が見込まれますが、情勢明確化を待つという姿勢が強調されると6月の利下げ期待が後退し、ドル買いとなる可能性がある点には注意が必要です。6月は利下げ見通しがやや優勢とはいえ据え置き見通しも40%を超えています。議長会見などで据え置き見通しが50%を超えてくるようだと、ドル高が強まります。
MINKABUPRESS 山岡

執筆者 : MINKABU PRESS
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