為替ヘッジ付きの日本株に特化したETFに注目=米国株個別
投資家は日本株に特化した上場投信(ETF)に再び資金を投入し、為替ヘッジで円安リスクなしに、日本株の上昇を捉えようとしているという。ブルームバーグが伝えた。
ETFのウィズダムツリー日本株ドルヘッジ付ファンド<DXJ>は、5月に約2億4200万ドルを集め、2017年10月以来の資金流入を達成しようとしているという。約20億ドル規模のこのETFは今年に入って約19%上昇し、為替ヘッジなしの類似のETFを上回っている。
同ETFは日本株のバスケットに投資する一方、円安をヘッジし、円安・ドル高になれば利益が帳消しになると心配する米投資家にアピールしている。5月には円安・ドル高が約2.5%進み、日経平均株価は2020年11月以来の最高値を記録した。
日本経済の見通し改善、バフェット氏の関心、東京証券取引所がバリュエーションが低い企業にガバナンス強化を促したことが重なり、日経平均株価は1990年以来の高水準となった。日銀が金融緩和を維持する半面、FRBや他の中銀はタカ派姿勢に転じたことで、円はドルに対して弱くなっている。そのような中、「世界の投資家にとって、日本はようやく再び重要な意味を持つようになったと考えられる。成長率は堅調で、日銀はまだ方向転換の兆しを見せていない」との指摘も出ている。
金融政策の乖離は為替ヘッジ付きETFが、ヘッジなしをアウトパフォームするのに貢献。ウィズダムツリー日本株米ドルヘッジ付ファンドには正確なカウンターパートはないが、同様の日本株を保有するiシェアーズ為替ヘッジMSCI日本株ETF<HEWJ>の今年のパフォーマンスは、ヘッジなしを9%ポイント超上回っている。
アナリストからは、「これは為替ヘッジ付きETFにとって小さな目覚めとなるかもしれない。海外のアウトパフォームとドル高は、為替ヘッジにとっては理想的だ」との見方も出ていた。しかし、「過去10年間、多くの投資家が為替ヘッジ付きETFの売買のタイミングを逸しており、以前のドル高期に比べて関心が乏しいままかもしれない」とも強調している。
(NY時間13:30)
ウィズダムツリー日本株ドルヘッジ付<DXJ> 75.34(-1.35 -1.76%)
iシェアーズ・ドルヘッジMSCIジャパン<HEWJ> 30.81(-0.41 -1.31%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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