蘭ＡＳＭＬに売り強まる 米政府がＤＵＶ露光装置の中国への販売禁止を働きかけと伝わる＝米国株個別

　半導体製造装置を手掛けるオランダのＡＳＭＬ＜ASML＞が先ほどからＮＹ市場で急速に売りに押されている。米政府がＡＳＭＬに対して同社の主要技術を中国に販売することを禁止するよう働きかけていると伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。米国は中国の台頭を抑制するキャンペーンを拡大しているという。 

　米政府が提案した規制は、半導体生産で世界のリーダーになろうとする中国の計画を阻止するため、中国への最先端システムの販売に関する既存の一時停止措置を拡大するもの。オランダが同意すれば、現在中国への輸出が禁止されている半導体製造装置の種類と範囲が大幅に拡大され、中国の半導体メーカーに深刻な打撃を与える可能性がある。 

　米政府関係者は、ＡＳＭＬが旧式の深紫外線（ＤＵＶ）露光装置を中国に販売することを禁止するよう、オランダ政府関係者に働きかけているという。

　これらの装置は最先端のものから一世代遅れているが、自動車、電話、コンピューター、さらにはロボット製造に必要な、あまり高度でない半導体を製造するのに、いまだに最も一般的な方法となっている。 

　グレイブス米商務省副長官が５月末から６月初めにかけてオランダとベルギーを訪問し、サプライチェーン問題を議論した際に議題に出たという。グレイブス副長官はＡＳＭＬの本社を訪れ、ウェニンクＣＥＯとも面会している。 

　オランダ政府は、ＡＳＭＬが中国の半導体メーカーに輸出する際の追加制限にまだ同意しておらず、同国の中国との貿易関係に打撃を与える可能性があるという。ＡＳＭＬはすでに、オランダ政府から輸出許可を得られていないため、１台あたり約１．６億ユーロの最先端の極端紫外線（ＥＵＶ）露光装置を中国に出荷できない状態になっている。

（NY時間12:54）
ＡＳＭＬ＜ASML＞　413.99（-35.84　-7.97%）

MINKABU PRESS編集部　野沢卓美