【来週の注目材料】0.5%利上げはほぼ確定的、次回への示唆がどこまで=米FOMC
【来週の注目材料】0.5%利上げはほぼ確定的、次回への示唆がどこまで=米FOMC
6月14日、15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。前回5月のFOMC後の会見でパウエル議長が言及し、その後の議事要旨でも確認された0.5%ポイント利上げが完全に織り込まれています。
ここに来て米国の重要経済指標のいくつかは積極的な金融引き締めを後押しするものとなっています。1日に発表された米ISM製造業景気指数(5月)は、予想外に4月から改善。3日に発表された米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を超える伸びとなりました。週末10日に発表された米消費者物価指数(CPI・4月)は、予想に反して前回、前々回を上回り40年ぶりの高い伸びとなっています。
これらの指標結果、特に10日の米消費者物価指数の結果を受けて、市場ではより積極的な利上げを求める動きが出てきています。短期金利市場動向から見た市場の利上げの織り込みは、今回のFOMCこそ0.50%ポイントですが、7月のFOMCに関しては0.75%ポイントと0.50%ポイントが拮抗しています。議長が会見で0.5%に言及していることや、従来から一回で0.75%の利上げ実施には消極姿勢を示していることから、0.75%ポイントの利上げが実施される可能性については、それほど高いとは思えません。ただ、議長の慎重姿勢を加味しても、0.75%を意識せざるをえないほど、10日の消費者物価指数の強い結果にインパクトがあったといえます。
10日の消費者物価指数の内訳を見ますと、3月から4月にかけて少し落ち着いたエネルギー価格が再びの上昇。エネルギー全体では前年比+30.3%から+34.6%に。中でも注目を集めるガソリン価格については+43.6%から+48.7%に上昇しています。物価高騰要因のもう一つの大きな要因である自動車価格については、新車が前年比+12.6%、中古車・トラックが+16.1%と、4月の13.2%、22.7%からは鈍化しました。ただ、こちらも水準的ンはかなり高いです。そして前回上昇が目立ち警戒感を誘った食品については、全体の数字がぜ年比+10.1%、中でも家庭用食品に関しては+11.6%と、4月の+9.4%、+10.8%から上昇しました。車社会である米国では生活必需品であるガソリンの価格高騰、家庭用食品価格の上昇などは、家計にまともに響いてくる物価高だけに、FRBとしても積極的な対応が必要になるという市場の印象につながっています。
とはいえ、今回の会合での0.75%ポイントの利上げ実施は考えにくく、0.5%ポイントの利上げで、市場の見方はほぼ一致しています。注目は同時に発表される声明や、会合後のパウエル議長の会見となります。7月の0.75%ポイント利上げが意識される中、今後について、議長がどこまで踏み込んだ発言を行ってくるのかどうか。0.75%ポイント利上げの可能性に振れるようなことがあると、ドル買いの動きが一気に強まると見込まれます。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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