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FOMC後にドル売り強まる

見通し 

FOMC後にドル売り強まる

経済成長見通し、物価見通しの大幅上昇も、金利見通しは2023年までゼロ金利維持で
早期利上げ期待が後退する展開に。

FOMCまではドル買い強まる、米10年債利回りは一時1.68%台

【東京市場】FOMCをにらみ、主要通貨は小動き

今晩のFOMCを前に市場は様子見ムードの強い展開に。
日経平均は前日比終値を挟んでの振幅となり、小幅安で引ける展開。
ドル円は昨日の海外市場で108円70銭台まで一時値を落としたことで、いったん調整が進んだこともあり、
今日は比較的しっかりの展開で、朝の109円ちょうど前後での推移から昼前に109円15銭越え、
午後には109円20銭前後まで上昇する展開。もっとも朝からの値幅は22銭にとどまっており落ち着いた動きに。

 ユーロドルは1.19ばさみでの推移。昨日アストラゼネカ製新型コロナワクチン接種を欧州の複数国が一時見合わせとの報道で、
今後のワクチン接種のスケジュール遅れが懸念されて1.18台後半に下落。
朝方1.1906まで回復の場面も買いは続かず、もっとも安値も午前中の1.1893まで。
午後は1.1900を挟んでの膠着となった。

【ロンドン市場】米FOMCの結果発表を控えてもみあい

 
 FOMCを控えて様子見ムード。
ドル円は109円前後での推移。東京午後からロンドン朝にかけて109円21銭まで上昇もそこまで。
その後は調整が入る展開に。109円割れでの売りにはやや慎重姿勢が見られた。
ユーロドルはドル円などでのドル買い局面に朝方1.1880台を付けた後、1.19台を回復。
1.1917まで上昇も調整が入り1.1900前後での推移に。
 

【NY市場】FOMC後にドル売り強まる

 FOMCを受けてドル売りの動きが広がった。

FOMCまではドル買いの動き、
米債利回りの上昇が目立ち、ベンチマークとなる米10年債利回りは1.67%前後まで上昇。
ドル円が109円30銭前後と東京市場午後の高値を超えて上昇する展開に。

 FOMCを受けて流れが反転。
金利、量的緩和の現状維持は予想通り。
注目された経済見通しでは、GDP成長見通しが大きく引き上げられる一方で
政策金利見通しは2023年までゼロ金利維持が大勢となった。
ドットプロットでは前回5名だった2023年の利上げ派が7名に増えたが
12人が据え置き見通しを示した(前回12月より理事の欠員補充で総数が一名増えている)

 この結果を受けて市場の早期利上げ期待が大きく後退。
経済成長を見込んでもゼロ金利を維持との見通しが強まったことで
ドル売り株高の流れに。
ドル円は108円70銭台へ、ユーロドルは1.19台後半へ。

【本日の見通し】ドル高の調整意識

 FOMCでの米ゼロ金利政策維持見通しがドルの重石に
経済成長見通しが大きく上昇したにもかかわらずのゼロ金利維持見通しで
今後の利上げ期待が大きく後退した。
これまでのドル高基調に対する調整がはっきりと入る可能性。
ドル円は108円台後半での推移を中心に、今後109円台が重くなるかが焦点に。

 ユーロドルは1.20台回復が見えてきた印象。
1.19台後半を中心としたもみ合いから1.19台前半のしっかり差を確認して上に。

【本日の戦略】戻り売り

 流れが変わった印象が強い
経済成長見通しが6.5%へ前回の4.2%から大きく引き上げられ
物価見通しに関してはPCEデフレータが2.4%、同コアが2.2%と
ターゲットの2%をしっかりと超える見通しになったにもかかわらず
政策金利は2023年まで維持との見通しで
ゼロ金利の長期維持姿勢が強調される格好となったことが大きい。

 ドル円は109円が重くなる印象。スウィングは戻り売り、109円台前半ではストップ。
デイトレも売りから出こちらは早めに見切り。

※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません

-+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/17 水曜日》
   ドル円  ユーロドル  ユーロ円
始値  109.00  1.1903  129.73
高値  109.33  1.1985  130.45
安値  108.75  1.1886  129.68
終値  108.84  1.1979  130.38
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/17 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経  29914.33 -6.76
DOW   33015.37 +189.42
S&P    3974.12 +11.41
Nasdaq  13525.20 +53.63
FTSE   6762.67 -40.94
DAX   14596.61 +39.03
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/17 水曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=64.60(-0.20 -0.31%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1727.10(-3.80 -0.22%)
+—+—+—+—+—+—+—+—+-
《3/17 水曜日に発表された主な経済指標》

【韓国】
雇用統計(2月)08:00
結果 4.0%
予想 5.0% 前回 5.4%(失業率)

【日本】
通関ベース貿易収支(2月)08:50
結果 2174.0億円
予想 4200.0億円 前回 -3254.0億円(-3239.0億円から修正)(通関ベース貿易収支)
結果 -387.0億円
予想 -1190.0億円 前回 3928.0億円(通関ベース貿易収支(季調済))

【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者物価指数・確報値(2月)19:00
結果 0.9%
予想 0.9% 前回 0.9%(前年比)
結果 1.1%
予想 1.1% 前回 1.1%(コア・前年比)

【南アフリカ】
小売売上高(1月)20:00
結果 -3.5%
予想 -2.4% 前回 -1.2%(-1.3%から修正)(前年比)

【米国】
MBA住宅ローン申請指数(03/06 – 03/12)20:00
結果 -2.2%
予想 N/A 前回 -1.3%(前週比)

住宅着工件数(2月)21:30
結果 142.1万件
予想 156.0万件 前回 158.4万件(158.0万件から修正)(住宅着工件数)
結果 -10.3%
予想 -1.3% 前回 -5.1%(-6.0%から修正)(住宅着工件数(前月比))
結果 168.2万件
予想 175.0万件 前回 188.6万件(188.1万件から修正)(住宅建築許可件数)
結果 -10.8%
予想 -7.2% 前回 10.7%(10.4%から修正)(住宅建築許可件数(前月比))

米週間石油在庫統計(バレル・前週比)23:30
原油 +239.6万(5億0080万)
ガソリン +47.2万(2億3208万)
留出油  +25.5万(1億3775万)
(クッシング地区)
原油 -62.4万(4821万)
*()は在庫総量

FRB政策金利 18日3:00
結果 0.0-0.25%
予想 0.0-0.25% 現行 0.0-0.25%

【カナダ】
消費者物価指数(2月)21:30
結果 0.5%
予想 0.7% 前回 0.6%(前月比)
結果 1.1%
予想 1.3% 前回 1.0%(前年比)

【ブラジル】
ブラジル中銀政策金利 18日6:00
予想 2.5% 現行 2.0%

【NZ】
GDP(第4四半期)18日6:45
予想 0.2% 前回 14.0%(前期比)
予想 0.5% 前回 0.4%(前年比)

+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/17 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》

【豪州】
*ケント豪中銀総裁補
マイナス金利は豪州では考慮されていない。
今後の債券購入の拡大を行うかどうかは、経済データによってきます。
必要であれば年内の追加購入を検討
インフレ期待が高まっていることは良いニュースである。
消費者物価指数がターゲットである2-3%のバンドに収まるまでは政策金利の引き上げはない
金融政策が資産価格を管理するべきだとは考えていない。

【ユーロ圏】
*シュナーベルECB理事
今年下半期にユーロ圏経済は力強く回復へ、EU支援策やECB金融政策で。
公衆衛生の制限の解除が前提。
ユーロ圏成長率は今年4%に達する可能性ある。
2022年第2四半期にはパンデミック危機以前の水準に戻る見込み。
金利上昇、回復ペースを鈍らせる危険ない場合にのみ容認。
ECBは金融市場を注視、現在の評価は懸念していない。
(仏経済紙レゼコー)

*独首相政策顧問
2021年の独成長見通しを3.1%に引き下げ、従来3.7%
景気回復に警告。
2022年は4%成長に加速する見込み。

【米国】
*パウエルFRB議長
FRBは政策目標達成に強くコミット。
経済的な最悪の事態の一部は回避された。
FRBはできる限り支援を提供。
経済の道筋はウイルスに大きく依存。
ワクチン接種は通常に戻るための希望を提供。
回復は依然まちまちで完全からは程遠い。
向こう数カ月は前年比でのインフレは上昇。
インフレの一時的な上昇は利上げを正当化しない。
労働参加率はなおパンデミック前を下回っている。

(質疑応答)
資産購入ペース縮小を語る時ではない。
FRBは実際の進展を注視しており、予想ではない。
資産購入ペース縮小については可能な限り事前通知を行う。
大部分のFOMCメンバーは利上げを見込んでいない。
市場が秩序を失えば懸念するだろう。
現行の資産購入は全ての年限において適切。

*FOMC声明
月間1200億ドルの債券購入を維持。
更なる大幅な進展まで購入は維持。
パンデミックは見通しに相当のリスクをもたらし続けている。
活動と雇用の回復ペースは上向いた。
全体的な金融市場の状況は緩和的。
決定は全会一致。

FOMC経済見通し()は12月時点 
*実質GDP 
21年 6.5%(4.2%)
22年 3.3%(3.2%)
23年 2.2%(2.4%)
長期 1.8%(1.8%)

*失業率 
21年 4.5%(5.0%)
22年 3.9%(4.2%)
23年 3.5%(3.7%)
長期 4.0%(4.1%)

*PCE   
21年 2.4%(1.8%)
22年 2.0%(1.9%)
23年 2.1%(2.0%)
長期 2.0%(2.0%)

*PCEコア 
21年 2.2%(1.8%)
22年 2.0%(1.9%)
23年 2.1%

FOMCメンバー金利見通し(ドット・プロット)
2021年末
0.125% 18人

2022年末
0.125% 14人
0.375% 3人
0.625% 1人

2023年末
0.125% 11人
0.375% 1人
0.625% 1人
0.875% 3人
1.125% 2人
*2023年の中央値は0.125%

+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《本日予定されている主な経済指標》
【豪州】
雇用者数(2月)9:30
予想 3.0万人 前回 2.91万人

失業率(2月)9:30
予想 6.3% 前回 6.4%

【ユーロ圏】
ユーロ圏貿易収支(1月)19:00
予想 N/A 前回 292.0億ユーロ(季調前)
予想 290.0億ユーロ 前回 275.0億ユーロ(季調済)

【トルコ】
トルコ中銀政策金利 20:00
予想 18.0% 現行 17.0%

【英国】
英中銀政策金利 21:00
予想 0.1% 現行 0.1%

【米国】
フィラデルフィア連銀景況指数(3月)21:30
予想 23.0 前回 23.1

新規失業保険申請件数(13日までの週)21:30
予想 70.0万件 前回 71.2万件(前週比)

景気先行指数(2月)23:00
予想 0.3% 前回 0.5%(前月比)

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執筆者 山岡和雅

執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長

1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員

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