EU首脳会議続く、合意に向け補助金方式割合を下げる新提案
EU首脳会議続く、合意に向け補助金方式割合を下げる新提案
ドル円もみ合い、仲値がらみで東京午前に上昇も続かず
【東京市場】ドル円上昇も続かず
ドル円はゴトウビということもあり、仲値に絡んだ実需のドル買い円売りが入るとの思惑もあり、朝方上昇する場面が見られた。先週末ドル全面安基調もあって106円台に値を落として週の取引を終え、週明けも同水準で始まった後、107円台を回復。仲値がらみでの上昇で107円50銭台まで急騰する動きに。すぐに調整が入って107円30銭台に落とすと、その後はもみ合いの中でやや頭が重くなり、午後には107円20銭台に。
17日、18日のEU首脳会議で焦点となっている次世代のEU基金(EU復興基金)について、合意が形成できず、19日に延長。さらに休憩をはさんで19日深夜(20日早朝)まで延長という形で首脳会議が長引く展開に。これを受けユーロドルはいったん高値から調整が入り、1.1440台から1.1420台に。当初反対していた5か国のうち、オランダとオーストリアが反対姿勢を崩さず、この後日本時間20日23時からの再開が決定した。しかし、再開決定後欧州メディアが7500億ユーロのうち3900億ユーロを補助金方式とするという新案にオランダなどが賛成に回る可能性との報道が入り、ユーロ買いドル売りに。朝の高値を超える水準に。
【ロンドン市場】EU首脳会議への期待感
ドル安基調が目立つ展開に。ユーロドルは1.1468までと直近高値を超えて、3月の高値1.1490台が視野に。
EU首脳会議は日本時間23時からの再開。3900億ユーロを補助金方式にするとの新提案での合意が期待されており、
市場の期待感が広がる展開に。
ドル円は107円10銭台まで値を落とすなど、頭の重い展開。
その後は安値圏もみ合い。
ユーロ円は123円に迫るも大台を付けきれず122円台後半でのもみ合い。
【NY市場】EU首脳会議待ち
23時からの再開されたEU首脳会議は、報道が出ていた3900億ユーロを補助金方式とする新提案が正式に提示された模様が報じられるなど、状況が進んでいるものの、東京朝になってもまだ継続中と議論は紛糾。
合意に向けた姿勢が意識されることからユーロはしっかりも。合意できていないということもあり上値追いにも慎重。
ユーロドルは1.1440前後を中心としたもみ合いが続いた。
ドル円は107円台前半推移。ユーロ高ドル安のロンドン市場の流れを受けてNY午前に107円03銭を付けたものの
その後買い戻しが入りもみ合いに。
【本日の見通し】ユーロ高の流れ
EU首脳会議は20日の協議がまだ継続中。
当初17日・18日両日の日程が19日に延期され、休憩を挟んで19日深夜(現地時間でも20日早朝というべき時間)、
さらに20日午後(日本時間23時)からの再開も依然協議中。
合意に難航しているといえるが、一方で今回の会議での合意を取りまとめようという意思も見え
直近で7500億ユーロのうち3900億ユーロを補助金方式とするという
当初の5000億ユーロから1100億ユーロも補助金方式の割合を引き下げた新提案でまとまるとの期待もあり
ユーロはしっかりの展開が続いている。
期待感からロンドン市場朝に1.1460台まで上昇した後、20日の協議再開前に1.1402近辺まで大きく調整が入り、
それでも1.14台を維持したことで、下値しっかり感も。
期待は上方向。合意決定でもう一段の買いの期待も。目先のターゲットは3月に付けた今年の高値1.1490台。
もっとも合意に至らない可能性もあり、その場合の大きな調整に要注意。
ドル円は106円台半ば-107円台半ばをコアとするレンジ取引の流れが継続。昨日仲値がらみの買いもあり107円台半ば超えも
すぐに調整が入っており、上値に重さ。
もっとも海外市場での調整の動きで107円台が維持されており下値しっかり感も。
今日もレンジ取引が続くとみられる。
【本日の戦略】EU首脳会議待ち
合意前提で動いているがこの時間帯まで継続する協議に対する警戒感もあり
結果が出てからの対応か。合意できずになるとかなりの売りが出る可能性も。
合意はできずも今月内サイドの日程などが示されると売りが抑えられる可能性もあり
また合意出来た場合、すでに買いが入った分も含め、どこまで新規の反応が出るかなど
かなり微妙な状況が見られ、結果が出てからの対応が無難か。
ドル円はレンジ取引が基本となりそうだが、少し下値しっかり感も。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《7/20 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.12 1.1411 122.31
高値 107.53 1.1468 122.98
安値 107.02 1.1403 122.06
終値 107.27 1.1448 122.79
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《7/20 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 22717.48 +21.06
DOW 26680.87 +8.92
S&P 3251.84 +27.11
Nasdaq 10767.09 +263.90
FTSE 6261.52 -28.78
DAX 13046.92 +127.31
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《7/20 月曜日の商品市場》
NY原油先物8月限(WTI)(終値)
1バレル=40.81(+0.22 +0.54%)
NY金先物8 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1817.40(+7.40 +0.41%)
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《7/20 月曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
通関ベース貿易収支(6月)08:50
結果 -2,688億円
予想 -76億円 前回 -8,382億円(-8,334億円から修正)(通関ベース貿易収支)
結果 -4,239億円
予想 -3,311億円 前回 -5,857億円(-6,010億円から修正)(通関ベース貿易収支(季調済)
【中国】
最優遇貸出金利(ローンプライムレート)
1年プライムレート
結果 3.85%
予想 3.85% 前回 3.85%
5年プライムレート
結果 4.65%
予想 4.65% 前回 4.65%
【ユーロ圏】
ドイツ生産者物価指数(6月)15:00
予想 0.2% 前回 -0.4%(前月比)
予想 -1.7% 前回 -2.2%(前年比)
ユーロ圏経常収支(5月)17:00
結果 80億ユーロ
予想 N/A 前回 143億ユーロ(144億ユーロから修正)(季調済)
【香港】
失業率(6月)17:30
結果 6.2%
予想 6.4% 前回 5.9%(失業率)
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《7/20 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀議事録(6月15日-16日開催分)
金利は、翌日物、ターム物とも、総じてマイナス圏で推移している。
無担保コールレート(オーバーナイト物)は-0.07~- 0.02%程度で推移している。
株価は、各国・地域の積極的な財政・金融政策や経済活動再開の動きなどから、上昇。
長期金利は、期間を通じてみれば、ゼロ%程度で推移している。
国債市場の流動性については、緊急事態宣言の解除後、
一部に改善の動きがみられるが、取引高が低位にとどまるなど、水準としては低い状態。
為替相場をみると、円の対ドル相場は、米期間を通じてみれば、概ね横ばいの動きとなっている。
内外における新型コロナウイルス感染症の影響により、きわめて厳しい状態。
感染症の影響が収束していけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、
緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて改善していくとみられる。
先行きの個人消費は、当面、サービス消費を中心に低水準が続くとみられるが、
営業活動の段階的な再開の動きに伴い、各種の所得支援策にも支えられて緩やかに持ち直していくとみられる。
金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下。
国際金融市場について、委員は、各国・地域の積極的な財政・金融政策や、
先進国などでの経済活動再開に向けた動きから、ひと頃の緊張が緩和しているとの認識で一致。
【英国】
*ラーブ外相
香港との犯罪人引き渡し条約について一時停止する方針。
*ホールデン英中銀委員
マイナス金利の評価と実施は全く違ったもの。
今後3年間の主な困難は感染の持続的影響を評価し続けることかもしれない。
下半期にインフレはさらに低下する可能性。
失業率の長期均衡点が高まる可能性。
失業率が1980年代初頭の水準まで急上昇のリスクも。
消費支出は想定以上に幾分早く回復。
英政府予算に対する財政ファイナスはない。
*テンレイロ英中銀委員
最大の懸念はディスインフレ圧力。
供給能力への大きな打撃は予想できない。
最初の急回復はその後に中断している。
【ユーロ圏】
*デギンドスECB副総裁
第2四半期のユーロ圏GDPの落ち込みは当初予想よりもやや改善する見込み。
最新の高頻度のデータを参照。
【米国】
*トランプ大統領
給与税減税は重要。
ウイルス感染は世界的な問題。
新型ウイルス感染の協議を明日開始する公算。
明日の協議は自身が主導する。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
全国消費者物価指数(6月)8:30
予想 0.1% 前回 0.1%(前年比)
予想 -0.1% 前回 -0.2%(生鮮食品除くコア・前年比)
【英国】
公共部門ネット負債(6月)15:00
予想 347億ポンド 前回 545億ポンド
【香港】
消費者物価指数(6月)17:30
予想 1.1% 前回 1.5%(前年比)
【カナダ】
小売売上高(5月)21:30
予想 22.0% 前回 -26.4%(前月比)
予想 11.8% 前回 -22.0%(自動車除く・前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員