ドル買い強まり、ドル円は107円台後半
ドル買い強まり、ドル円は107円台後半
先週末の米雇用統計をこなして一服感も
ユーロドルでのドル売りの流れもドル買いに寄与。ユーロ円でのユーロ買いが出たものの
独憲法裁判所とEU司法裁判所の対立、ドイツでの新型コロナウイルス感染再拡大の懸念などが重石に
【東京市場】一時107円台を付ける
ドル円は一時107円台を付けるなどしっかりの展開となった。先週末の米雇用統計が水準的にはかなり厳しい数字となったが、予想よりは強かったことを受けてドル買い円売りが入り、ドル円は106円台後半で週末を迎え、週明けもほぼ同水準でのスタートに。英国がロックダウン緩和への動きを示すなど、世界的に新型コロナウイルス感染拡大による制限からの次の動きが意識される中で、ドル円、クロス円はしっかりの展開に。
先週末の米株高もあり、東京をはじめアジア株に堅調な動きが目立っていることなどがドル買い円売りに寄与。もっとも新型コロナウイルス感染拡大をほぼ封じ込めたと見られた中国で、吉林省での感染拡大が見られ、舒蘭市の封鎖が週末に行われたことなどから、中国株がマイナスに転じるなど、警戒材料もあり、上値を積極的に追うまでの勢いは見られず。
ドル円は午前中に107円台を付けた後、106円70銭台まで調整も、午後に入って106円90銭台と再び107円をうかがう勢いを見せており、しっかりの展開に。
【ロンドン市場】107円台にしっかり乗せる
ドル円は107円台にしっかりと乗せてきた。
ドル高主導での動き。ユーロドルでのユーロ売りドル買いの動きも見られた。
先週末の米雇用統計をこなしたことでの一服感、
米株先物の上昇などがドル買いを誘い、東京市場で頭を抑えた107円をしっかり超えて
107円30銭台まで、
ユーロはドイツでの新型コロナの感染拡大の再生産数が1.1に上昇と報じられ
再び感染拡大に向かうとの懸念が広がった。
【NY市場】ドル円107円台後半に
ドル円は107円70銭台まで上値を伸ばした。
先週の105円台トライで下値一服感が出て短期筋からの買いが入りやすくなったこと、
ドイツでの観戦再拡大懸念が広がり、ユーロドルが1.08台前半まで値を落としたことなどが重石に。
ECBの量的緩和を巡り先週ドイツ憲法裁判所が違憲判断を示し、
EU司法裁判所が、ドイツ憲法裁判所に判断を下す権限がない(EU司法裁判所は合憲判断)と反発し
対立が広がっていることもユーロの重石に。
【本日の見通し】ドル円しっかりも
ドル円は海外市場の流れを受けて基本的にしっかり。
ユーロドルなどでのドル買いが入り、ドル高基調となっている分、
レベル感では動きが止まりにくい。
とはいえ108円手前にはオプションがらみなどでの売り注文も意識されており。
ここから更なる買いには慎重姿勢も。
107円台後半でのレンジを中心に上値を意識も
いったんの調整もありそう。
市場では一部で米国のマイナス金利導入を意識する動きも。
基本的に当局者は否定的だが、
今晩もクォールズFRB副議長の上院での証言をはじめ、
複数の地区連銀総裁の講演などが予定され
明日はパウエルFRB議長の演説も予定されているだけに、要注意。
【本日の戦略】押し目買い
上昇後に買うのは怖いところもあるが流れは上方向。
ドル円は押し目を待っての買いに回りたいところ。
逆張りは避けたい。デイトレは意外と早めにという印象で
ただ見切りも早く。
スウィングは107円台を買い下がってみても面白そう。
106.80割れがストップの目途。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《5/11 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 106.65 1.0826 115.53
高値 107.77 1.0856 116.52
安値 106.40 1.0801 115.30
終値 107.66 1.0807 116.36
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《5/11 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20390.66 +211.57
DOW 24221.99 -109.33
S&P 2930.19 +0.39
Nasdaq 9192.34 +71.02
FTSE 5939.73 +3.75
DAX 10824.99 -79.49
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《5/11 月曜日の商品市場》
NY原油先物6月限(WTI)(終値)
1バレル=24.14(-0.60 -2.43%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1698.00(-15.90 -0.93%)
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《5/11 月曜日に発表された主な経済指標》
【トルコ】
失業率(2月)16:00
結果 13.6%
予想 N/A 前回 13.8%
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《5/11 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀主な意見(4月27日開催分)
内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、厳しさを増しており、
金融環境も企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下している。
実体経済への下押し圧力は一段と強まっている。
世界経済は、IT関連や日用品といった一部の例外を除けば、需要が著しく減少ないし蒸発しており、
サービス業を中心に一層の業績悪化に見舞われ、深刻さを増している。
当面、内外における感染症拡大の影響から厳しい状態が続くとみられる。
現時点では、日本経済の中長期的な見通しは、きわめて高い不確実性のもとにあり、
楽観、悲観、両方のシナリオを想定することが可能である。
消費者物価の前年比は、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられる。
金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定維持に努める観点から、
金融緩和を一段と強化することが適当である。
企業の事業継続・雇用維持のための資金繰り支援、
及び金融市場の安定維持に向けた資金供給の拡大を最優先すべきである。
【米国】
*ペンス副大統領が自主隔離
自身の報道官ミラー氏が新型コロナウイルス検査で陽性反応。
*アレクサンダー米上院議員が自主隔離へ。
新型コロナウイルス検査でスタッフが陽性反応。
*米3年債入札結果
最高落札利回り 0.230%(WI:0.231%)
応札倍率 2.54倍(前回2.27倍)
*デブラシオNY市長
都市封鎖は6月に入っても継続の可能性が大きい。
データは明らかに解除はまだだということを示している。
*エバンス・シカゴ連銀総裁
第2四半期の米GDPは大幅な縮小を示す。
基本見通しは下半期の回復を見込む。
失業率は2020年の末に9%を見込む。
より悲観的なシナリオもあり得る。不確実性は高い。
外出制限の緩和政策はリスクが高い可能性。
マイナス金利の使用は予想していない。
連邦政府が地方債を支援するのは重要。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
マイナス金利は好ましくはない。
財政赤字を心配する前に回復を実現。
景気回復は公衆衛生の対応次第。
*クオールズFRB副議長(銀行監督担当)
米上院で議会証言。
銀行は強いポジションで新型ウイルス感染危機に突入。
FRBの行動後に金融市場の緊張は緩んだ。
危機対応には銀行の役割は不可欠。
FRBは責任かつ効果的に役割を演じる。
現在の危機終了前に追加策が求められる可能性。
【NZ】
*アーダーン首相
今週、新型コロナウイルスに関する制限をさらに緩和する
集会の制限は10名となる
5月14日からアラートレベル2へ移行を開始する。
学校のレベル2への移行は18日。
バーなどへのレベル2への移行は21日になる。
【インド】
*インド準備銀行声明
モディ首相は4月1日から始まった新年度で新型コロナウイルスの影響を軽減するため、
当初目標よりも54%多い借り入れを実施する見込み。
現状で予算に含まれている7.8兆ルピーを超える12兆ルピー(1590億ドル)の借り入れが見込まれている。
2009年以来の借入額となる。
40年ぶりとなる経済収縮に備え、支出増加圧力にさらされている。
世界的にみても厳しいロックダウン・ステイホーム政策の下、
財政が枯渇したとしても企業が崩壊の瀬戸際に立ち数百万の失業者が出る状況を救済するために支出が必要。
【その他】
*サウジアラビア財務相
サウジアラビア政府は1000億リアルの歳出削減を行う
7月1日より付加価値税を3倍の15%に。
18.5億リアルをソーシャルセキュリティー基金に。
【ユーロ圏】
*シュナーベルECB理事
ECBはPEPPの規模や期間を調整する準備がある
ECBは各国の債券利回り格差の拡大を阻止することに完全にコミット
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《本日予定されている主な経済指標》
【中国】
消費者物価指数(4月)10:30
予想 3.7% 前回 4.3%(前年比)
生産者物価指数(4月)10:30
予想 -2.5% 前回 -1.5%(前年比)
【日本】
景気先行指数・速報値(3月)14:00
予想 84.4 前回 91.7
景気一致指数・速報値(3月)14:00
予想 90.7 前回 95.5
【インド】
鉱工業生産(3月)21:00
予想 -8.9% 前回 4.5%(前年比)
【米国】
消費者物価指数(4月)21:30
予想 -0.8% 前回 -0.4%(前月比)
予想 0.4% 前回 1.5%(前年比)
予想 -0.2% 前回 -0.1%(食品エネルギー除くコア・前月比)
予想 1.7% 前回 2.1%(食品エネルギー除くコア・前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員