【今週の注目材料】厳しい雇用情勢の中、個人消費の落ち込みが目立つ格好に~米小売売上高
昨日まとめた中国の小売売上高に続いて、同じ15日の21時半に発表される米国の小売売上高状況も見てみましょう。
前回3月分の同指標は、前月比-8.7%と1992年の同統計開始以来最悪の下げ幅を記録しました。店舗の閉鎖などがまともに響いた格好で、内訳をみると、飲食サービスが-26.5%、衣料・装飾品が-50.5%と大きな落ち込みとなりました。移動制限に加え、需要減でガソリン価格自体が下がったこともありガソリンスタンド売り上げが-17.2%、自動車及び同部品が-25.6%とこちらも大きく落ち込んでいます。
もっとも自宅での待機を余儀なくされたこともあり、食料品店は+25.6%と大きく伸び、アマゾンなどのオンラインストアによる無店舗小売も+3.1%と堅調でした。
月ごとの変動が激しい自動車を除いたコア-4.5%と落ち込んでいますが、GDPの個人消費との相関が高い飲食・自動車・ガソリンスタンド・建材を除いたコアベース売上高は+1.7%と予想外に増加しています。
なお、その後改定が入り全体の数字は-8.4%に、自動車を除くコアは4.2%となっています。
こうした状況を受けて4月の米小売売上高ですが、予想は前月比-11.0%、同自動車を除くコアが-8.0%とさらなる悪化を示しています。前月比ですから、3月のかなり厳しい状況と比べて、それでもここまでの落ち込みということで、どれだけ厳しい状況なのかが見て取れます。
ここにきてガソリン需要が少し回復するなど、需要に少し回復のめどが見えますが、ロックダウンの解除が進まないことには本格的な需要の回復は難しいところ。深刻な雇用状況なども合わせ、厳しい状況が続きそうです。
ある程度は想定内も、予想を超えて売り上げが落ち込んでいるようだと、ドル売りが広がる可能性があります。ドル円が105円割れを意識するきっかけとなる可能性も。

執筆者 : MINKABU PRESS
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