米中合意好感で一時109円70銭台も、少し調整
米中合意好感で一時109円70銭台も、少し調整
第1弾合意が決まりドル円の買い。15日の関税発動も見送られたが
関税引き下げや農産物購入拡大は今後段階的な動きか
英保守党圧勝でポンドドルは一時1.35台まで。その後1.33台まで調整。
ブレグジットへの動きが今後加速。1月末までの離脱への動きに
東京市場】ポンドは選挙受けて急騰、ドル円しっかり
午前7時に投票が締め切られた英下院選挙。締め切り直後に国営メディアBBCが出口調査結果を報道。与党保守党が358議席との見通しを示し、単独過半数である326をはるかに上回る議席見込みとなったことで、ポンドが急騰した。
ポンドドルは1.3160近辺から一気に1.34台へ、その後も上昇が続き、すぐに1.35台まで上値を伸ばした。その後1.342台まで調整が入る場面が見られたが、昼前に再び1.35台を付けるなど、基調はしっかり。
ポンド円は143円70銭近辺から一気に147円台に上昇。一時147円95銭と148円に迫る動きを見せた。ポンド円はその前NY市場で米中協議合意の報道を受けた円安進行に選挙前から上昇しており、ロンドン朝は142円台半ば割れを付けていた。そこから約5円半の上昇に。
ドル円はNY市場で報じられた米中協議の合意を受けた円安基調が継続。トランプ大統領が合意を承認と報じられたNY夕方に109円43銭を付けた後、英下院選挙を受けたポンド買いドル売りに瞬間ドル円でもドル売りとなり109円ちょうど前後まで下げたが、すぐに戻して一転して上昇。ポンド円の買いにも支えられ109円60銭台まで。日経平均の600円を超える上昇なども支えとなり、ドル円は上昇基調が午後まで続いた。
【ロンドン市場】調整の動き
ポンドは高値から調整の動き。
欧州株しっかりでリスク選好ムードは継続。
ドル円は米中第1弾合意を好感した円売りが継続で一時109円70銭をるける動きに。
ポンドは1.33台を付ける動き、東京市場での1.35台から調整。
もっとも選挙前の131台からはかなりの上昇。
【NY市場】振幅し戻り売り
ドル円を大きく持ち上げた米中第1弾合意について、
米紙WSJの報道は完全に間違いとトランプ大統領がツイートし
一気にドル売りが入る展開に。
同紙は米国の関税引き下げなどを報じていた。
ドル円は109円20銭台まで下落も、その後の中国政府の会見で
大きな進展。15日の関税発動を両国が行わないことで一致などと発言し
買い戻しが入る。
関税引き下げについては段階的にと表現された。
トランプ大統領がその後25%の関税を維持と発言して売りが出ていたが109円台前半はしっかり
週の取引を終えている。
本日の見通し】ドル円しっかりも上値に重さ
米中第一弾合意がドル円を押し上げたが
米紙が当初報じた米国による関税の引き下げや
中国による農産物の輸入拡大に関しては
段階を踏んで状況を確認しながらの模様で、
当初ほどの期待感が後退し、ドル売りが入る展開に。
もっとも109円台をしっかり維持して週明けを迎えたように
下値しっかり感は継続。
ドル円は109円台を中心とした推移となりそう。
先週末のNY市場で1.3310台までと、
東京朝の1.35台から調整が入ったポンドドルは1.33台での推移か。
英保守党圧勝がポンドの支えも、
積極的な上値追いには慎重な姿勢が見られそう。
ユーロドルが若干頭が重くなっており、ポンドにとっても重石に。
【本日の戦略】押し目買い
合意を受けたドル円の上昇は一服もしっかりの展開が継続。
ドル円は109円台での推移を中心に
上値を探る展開に。
110円手前の売りを崩せるかがポイントとなりそう。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《12/13 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 109.31 1.1130 121.68
高値 109.71 1.1199 122.65
安値 108.99 1.1112 121.46
終値 109.38 1.1121 121.56
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《12/13 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 24023.10 +598.29
DOW 28135.38 +3.33
S&P 3168.80 +0.23
Nasdaq 8734.88 +17.56
FTSE 7353.44 +79.97
DAX 13282.72 +61.08
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《12/13 金曜日の商品市場》
NY原油先物1月限(WTI)(終値)
1バレル=60.07(+0.89 +1.50%)
NY金先物2 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1481.20(+8.90 +0.60%)
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《12/13 金曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
日銀短観(2019年第4四半期)08:50
結果 0
予想 3 前回 5(大企業製造業・業況判断)
結果 20
予想 16 前回 21(大企業非製造業・業況判断)
結果 0
予想 4 前回 2(日銀短観(大企業製造業・先行き))
結果 18
予想 16 前回 15(大企業非製造業・先行き)
結果 6.8%
予想 6.0% 前回 6.6%(大企業全産業・設備投資)
鉱工業生産(確報値)(10月)13:30
結果 -4.5%
予想 前回 -4.2%(前月比)
結果 -7.7%
予想 前回 -7.4%(前年比)
結果 -4.5%
予想 前回 1.0%(設備稼働率・前月比)
【香港】
生産者物価指数(第3四半期)17:30
結果 1.4%
予想 N/A 前回 0.8%(前年比)
鉱工業生産(第3四半期)17:30
結果 0.4%
予想 N/A 前回 0.4%(0.3%から修正)(前年比)
【米国】
輸入物価指数(11月)22:30
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 -0.5%(前月比)
結果 -1.3%
予想 -1.2% 前回 -3.0%(前年比)
小売売上高(11月)22:30
結果 0.2%
予想 0.5% 前回 0.4%(0.3%から修正)(前月比)
結果 0.1%
予想 0.4% 前回 0.3%(0.2%から修正)(コア・前月比)
企業在庫(10月)00:00
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 -0.1%(0.0%から修正)(前月比)
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《12/13 金曜日のに発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*トランプ大統領、米中貿易合意を承認。
*トランプ大統領
中国との合意を巡るWSJの報道は完全に間違い。
*トランプ大統領
15日の追加関税発動は取りやめ。
25%の関税は維持。
中国による米農産品購入は500億ドルに及ぶことが予想。
*ウィリアムズNY連銀総裁
米経済は非常に好位置にある。
インフレは低いが、我々の目標付近に近づいている。
独立性に価値がある。
政治ではなく、目標は公益。
*ライトハイザーUSTR代表
USTRのライトハイザー代表の会見が伝わり、中国との合意は1月第1週のワシントンでの署名を想定していることを明らかにした。米農産物購入に関して中国から、2年間のコミットメントを確保したとしている。合意は署名後30日で発効されるとしている。ただ、今回の合意は首脳ではく、自身レベルでの署名になる可能性が高いとしている。
*クラリダFRB副議長
米中合意の判断は時期尚早。
米中協議は良い方向に向かっているようだ。
米個人消費が後退している兆候はない。
年初の景気後退への懸念は行き過ぎと思われる。
金融政策は好位置。
大統領選は単純にはFOMCに影響しない。
利下げは弱さに対する教科書通りの政策。
マイナス金利は支持しない。
【中国】
*ロイター通信
中国が米農産品500億ドルの購入に合意。
*王毅国務委員
中国と米国は2019年で最も重要な項目で手を結んだ
米国は幾度も中国の名誉を棄損した。
米国が中国に対して誤った理解をしていることが根本原因だ。
中国は米国に置き換わろうという意思はない。
中国と米国の協調こそがベストな選択である。
*CNBC
中国は米国の農産物購入の厳しい目標額を懸念している。
*中国政府
第一段階の貿易交渉は大きな進展を遂げた。
米国は中国製品への関税を段階的に削減へ。
米国などからの輸入拡大へ。
米国とは文書を巡って合意が成立した。
米中は15日の関税発動しないことで一致。
米国はエネルギー分野で中国との協力必要。
第1段階の合意は9つの章に及ぶ。
米国の関税引き下げに応じた行動を取る。
署名の時期と場所など詳細を協議。
最優先は署名すること。
第2段階は第1段階次第。
【豪州】
*IMF、豪州に対する4条協議の結果公表
2020年経済成長率見通し+2.2%
2021年まで物価は目標を下回る
豪政府がインフラ投資の抑制に向かうことに警告
豪中銀と豪政府はマクロ政策ポリシーを維持するべき
2018年後半の豪経済の鈍化には驚いた
今の豪州経済状況で量的緩和は必要ではない
【ユーロ圏】
*独連銀
ドイツGDP成長は2019年0.5%、2020年0.6%に。
ドイツGDP成長、2021年と22年は1.4%に。
実質所得の伸び鈍化が国内需要を抑制している。
来年には再び輸出の伸びが回復する見込み。
*デギンドスECB副総裁
経済が安定化する兆しがある。
必要であればQEや利下げなどで行動する余地がある。
*バラッカー・アイルランド首相
総選挙で、ジョンソン英首相に祝意。
今後の意思決定に前向きの結果だ。
次のステップはEU離脱協定案の批准に。
*ホルツマン・オーストリア中銀総裁
ユーロ圏のインフレ期待は引き続き抑制されている。
*バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁
インフレ目標がECB政策見直しの主要な課題に。
*メルケル独首相
ジョンソン英首相の総選挙での勝利に祝意。
これでブレグジットに向けた道筋が明確になった。
*フォンデアライエンEU委員長
離脱後の英国との緊密な関係を目指す。
2020年末までに英国との貿易協定締結を。
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《本日予定されている主な経済指標》
【英国】
ライトムーブ住宅価格(12月)9:01
予想 N/A 前回 -1.3%(前月比)
予想 N/A 前回 0.3%(前年比)
【中国】
小売売上高(11月)11:00
予想 7.6% 前回 7.2%(前年比)
予想 8.0% 前回 8.1%(年初来・前年比)
鉱工業生産(11月)11:00
予想 5.0% 前回 4.7%(前年比)
予想 5.5% 前回 5.6%(年初来・前年比)
【日本】
第3次産業活動指数(10月)13:30
予想 -3.6% 前回 1.8%(前月比)
【インド】
卸売物価指数(11月)15:30
予想 0.82% 前回 0.16%(前年比)
【トルコ】
失業率(9月)16:00
予想 N/A 前回 14.0%
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI・速報値(12月)17:30
予想 44.8 前回 44.1
ドイツ非製造業PMI・速報値(12月)17:30
予想 52.0 前回 51.7
ユーロ圏製造業PMI・速報値(12月)18:00
予想 47.1 前回 46.9
ユーロ圏非製造業PMI・速報値(12月)18:00
予想 52.0 前回 51.9
【英国】
CIPS製造業PMI(12月)18:30
予想 49.4 前回 48.9
【米国】
NY連銀製造業経緯指数(12月)22:30
予想 5.0 前回 2.9
対米証券投資(10月)17日6:00
予想 N/A 前回 495億ドル
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員