為替相場はトレンド転換の時期:今週の戦略は?
値動きが荒くなる可能性も
■先週のドル円は、米中通商協議進展期待やテクニカル的な押し目買いとみられる買いに支えられ一時、108.48円まで上昇しました。
しかし、米ISM製造業・非製造業指数が悪化したことを受けて、月末のFOMCでの利下げ圧力がかかり一気に反落しました。一時、106円ミドルまで下落する場面もありました。
■さて、先週末の雇用統計が発表され約50年ぶりの低水準となった失業率となりました。
そんな楽観的な数値の束の間、平均賃金においては鈍化傾向が出始めインフレを抑制する材料が出始めています。
更に先週のIMS製造業・非製造業指数ともに悪化したことで、今月末のFOMCでの利下げを助長する格好となり、利下げ確率も一気に急上昇し87%を示しているので米ドルの売り圧力も強まってくるのではないかとみています。
■今週は何といっても注目となるのはワシントンで開催予定の米中通商閣僚級協議の結果になります。
トランプ大統領も「暫定合意」に強い自信をみせているものの、ムニューシン財務長官は為替に関しても協議する意向を示していることがネックになるのではないかとみています。
様々な予想はでているものの個人的には平行線になるのではないかとみています。
その意味では15日以降に関税率を一気に引き上げることになるので、米中貿易戦争が更に激化する可能性があるとみています。
また、そのトランプ大統領自身も弾劾調査に振り回されているだけに、その行方にも注目したいです。
下院民主党はすでにホワイトハウスに対して召喚状を送付しており、ウクライナに圧力をかけようとした資料提出、証言をめぐる民主党とハワイトハウスの対立はエスカレートする可能性があるだけに、油断できないとみています。
大統領自身も会見で怒りを爆発させているだけに政治がらみの影響も軽視できないとみています。
以下、注目の米経済指標です。
・8日(火)…卸売物価指数(PPI)
・10日(木)…消費者物価指数(CPI)
インフレ指標としては重要であるのでその結果には注目です。
結果次第では今月末の利下げだけでなく年内あと一回の利下げも織り込む可能性もあるので値動きも荒くなる可能性もあります。
■最後にドル円の戦略です。
日足チャートでは、108.50円近辺でダブルトップが完成し、下目線になりつつあります。
それでも106円ミドル近辺でも押し目買いも散見されています。
先週火曜日からの陰線3本はやはり、売り圧力が強いイメージです。
次の下値ターゲットはやはり8月の安値である104.45円だとみています。
少し視野を広げれば、月間足ベースでは200か月移動平均もあるので今月末が実線で下回るようであれば、中期的にも下目線になるので併せてみておきたいです。
いずれにしても米中協議の行方次第では世界的に影響が出るのでリスク回避として日本円が買われやすい環境なので、週末にかけてポジションをフラットにするのがベストだと考えています。
トレードタイム 平野朋之 ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナー講師、独自手法での資金運用業務を行う