マネースクエアのトラリピとは?
ページ更新日:
トラリピとはどういうトレードなの?
トラリピ(トラップリピートイフダン)は、株式会社マネースクエアの特許コンテンツで、一般にリピート系運用と呼ばれるFXの自動売買です。ここでは、トラリピがどういう商品なのかを解説していきます。
レンジ内の値幅を全自動で狙う
トラリピとは、トラップ・リピート・イフダンという、3種類の要素を組み合わせた自動売買です。
- イフダン
- 「新規エントリー→利益確定」をセットにした注文
- トラップ
- 広い範囲に複数のイフダン注文を等間隔で一括設置
- リピート
- 完了したイフダン注文を同じ設定で再設置
図で表すと左のようになります。イフダン注文を仕掛けた範囲内を価格推移すると、ポジション建てと利益確定、そしてイフダン注文再設置が連続して行われ、利益が蓄積されていきます。
これら一連の動きはすべて全自動で行われます。
レンジ相場に向いた仕組み
トラリピはレンジ相場でこそ、その特性がフルに活かされます。
設定範囲内を価格が行き来すれば利益がたまっていくわけですから、相場が上がっても下がってもいないレンジ相場なら、価格は一定の価格帯で動き続けます。
よって、設定範囲内から価格が出にくいことになります。
これがどちらか一方に動いているトレンド相場の場合、価格推移する水準が上か下に移動してしまうため、いずれはトラリピの設定範囲内から飛び出してしまうことになります。
時間がない兼業トレーダー向け
トラリピの売買はフルオートですので、効率的な範囲設定さえ行えれば、日々の細かいメンテナンスは不要、相場に時間を拘束されることはありません。
そのため、トラリピは時間のない副業、兼業トレーダーに向いています。
忙しいあなたに代わってトラリピが資産運用を行ってくれます。
トラリピでどれくらいの年間リターンが狙える?
私が執筆協力させていただいた書籍(黄金の卵を産むニワトリの育て方 FXトラリピ最強トレーダーの投資術)では、トラリピによる運用で資産形成をし、セミリタイアを達成した鈴さんというトレーダーが登場します。
彼いわく、トラリピの平均的な年間リターンはおよそ10%だそうです。
この10%という数字は、運用している各通貨ペアが、史上最安値を割り込んでもなお強制ロスカットにならない、かなり余裕をもたせた設定によるものとのこと。
トラリピは相場の上げ下げを読んだり、発生したトレンドを追いかける運用ではないため、値動きした分だけが利益になります。利益を増やすためにはイフダン注文数を増やす(注文設置密度を上げる)か、注文あたりのロット数を上げれば良いのですが、このどちらも狙いと相場が逆行(買いなら下落、売りなら上昇)したときの含み損も増えるリスクを伴います。
トラリピを設定する流れを解説
トラリピを実際に仕掛けるために決めなければいけない項目を解説していきます。
基本設定
- 通貨ペア
- 16種類の通貨ペアから選択
米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/英ポンド、豪ドル/円、英ポンド/円、英ポンド/米ドル、NZドル/円、カナダドル/円、トルコリラ/円、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドル、米ドル/カナダドル、豪ドル/NZドル - 売買
- 買い戦略か、売り戦略かを選びます
- レンジ
- いくらからいくらの範囲にトラリピを仕掛けるか決めます
- 注文金額
- 取引ロットを決めます。最小は0.1(1000通貨)です
- トラップ本数
- レンジ内に何本のイフダン注文を並べるかを決めます
- 利益金額
- いくらで利益確定をするかを決めます。値幅ではなく、利益金額であることに注意
- 決済トレール
- 利食い時にトレール注文を発動するかどうかを決めます
- ストップロス
- 有効にすると、設定価格に到達したところでトラリピの運用が即座に停止されます。全てのポジションが決済され、全ての注文がキャンセルされます。
トラリピのリスクを試算
1つ前の画面で「トラリピのリスクを試算」をクリックすると、この画面が表示されます。
今から始めようとしているトラリピについて、様々な情報を表示してくれますが、特に重要なものは以下となります。
- 指値間隔(トラップ値幅)
- イフダン注文の間隔です。狭いほど小さな値動きでも利食いにつながりやすくなりますが、価格が一方的に逆指値方向に動くと評価損になるポジションが増えます。
- 運用予定額
- このトラリピにいくら投資するかを決めます。この金額が多いほどロスカット水準が低くなります。ただし安全性を高めるために運用予定額を多くするほど、資金あたりの利益が下がる、つまり資金効率が低下します。
- すべて成立時の評価損
- その運用における最大リスクを表します。買いのトラリピの場合、設定している買いのイフダン注文が全て新規エントリーされ、なおかつ設定範囲の一番下まで下落した場合の評価損がこの金額になります。「少なくともこの金額くらいの評価損になることは有り得る」と思っておきましょう。
- ロスカット水準
- トラリピが強制ロスカットになる価格です。その運用で一度も利食いが行われず、すべてのポジションが成立した状態から相場が逆行した場合、この価格で損切りされます。
この画像ではドル円が88.713円になると損切りされる設定です。ドル円の史上最安値は2011年の75円台であるため、この設定ではそのはるか手前で到達するわけですから、相場の動きによっては簡単に強制ロスカットされる可能性があると解釈します。
トラリピの通貨ペア選びと設定のポイント
トラリピは売買が全自動であり、相場の動きから利益を生み出すだけの運用なので、事前の設定だけが勝敗が決まります。
そのコツを解説していきます。
長期的にレンジ相場になっているものを選ぶ
トラリピは15種類の通貨ペアから運用するものを選べますが、月足ベースでトレンドが出ていない通貨ペアの方が運用しやすい傾向にあります。
こちらは代表的なレンジの通貨ペア、豪ドル円の月足チャートです。
1995年から2020年までの25年間を表示していますが、パッと見て上がっても下がってもいないことが分かると思います。当時の価格と現在の価格がだいたい同じ水準にあるので、上がったり下がったりしながらも、結局は大きな流れは生まれていないといえます。
また、上下に強力に機能している水平ラインが引ける点も重要。100円前後のライン、60円前後のラインに近づくと反転しやすく、なおかつ突き抜けてもほどなく戻ってくることが多いです。これもまたレンジ相場の特徴です。
このチャートはどうでしょうか。
トルコリラ円の月足ですが、見た瞬間に下がっていることが分かります。こういった長期的に下落し続けているチャートは、トラリピでの運用に不向きといえます。これは極端な例ですが、長期的な視点でレンジになっている通貨ペアを選ぶことで、長い間放置できるトラリピになりやすいです。
そもそもトラリピは、相場が読めないことを前提として運用するものです。これから上がるか下がるか、いつまで、どこまで、上がるか下がるかを分析できる能力があるのなら、裁量トレードをするべきです。
そういった分析ができない、あるいはその時間がない方が、放置を前提としてじっくり資産運用をするのがトラリピです。上がるか下がるか分からないからこそ、上がっても下がっても良いように、できるだけ長期的に流れが出ていない通貨ペアを選びましょう。
史上最安値を更新した時にもトラリピが威力を発揮
高値や安値はいずれ突破される
先の豪ドル円なら、上と下のラインがトラリピを仕掛ける範囲の基準になります。そして、買い運用の場合なら、既に解説したロスカット水準が下ラインよりもっと下にあれば、史上最安値を割り込まない限り、その運用が崩壊することはありません。
ですが、相場において高値や安値のラインは、いつか更新されるものです。
こちらはドル円の月足チャートです。
水平ラインは、1995年に更新された当時の最安値である79円です。この安値は、16年後の2011年に75円台をつける下落により更新されています(なお、95年は阪神大震災、11年は東日本大震災があった年です)。
このようにどれだけ強力に機能している高値や安値であっても、相場が続けばいつかは突破される運命にあります。だからこそ、例えばドル円や豪ドル円であれば、史上最安値の少なくとも10円下くらいに、強制ロスカットラインを設定しましょう。あるいは、いざというときに追加入金できる資金を確保しておくのも良いでしょう。
この考え方は本当に重要で、例えば2020年3月の新型コロナウイルスによる暴落相場(記事を書いているのは2020年4月下旬で、これ以降さらなる下落があるかもしれません)では、ドル円や豪ドル円などの主要国の通貨ペアは、史上最安値を割り込むほどの下落はしていません。
ですが、トルコリラ円、メキシコペソ円、南アランド円は、すでに史上最安値を割り込んでいます。この3種類は俗にいう高金利通貨ペアで、買いを持っていればスワップポイントが多くもらえます。こういった通貨ペアほど、暴落相場に弱いことも覚えておきましょう。
暴落からの回復が一番利益が出る
もう一つ、トラリピで一番利益を取りやすいのは、買い戦略なら暴落からの回復です(売り戦略なら暴騰からの下落)。急激に谷をつくるほど、戻るスピードも速いため、たくさんの保有ポジションがまとめて利食いになります。
つまり、暴落は口座が吹き飛ぶピンチでもありますが、生き残りさえすれば普段の何倍も稼げるチャンスでもあるわけです。この点からも、長期チャートを基準に資金管理を行い、史上最安値を更新してもなお口座が維持される資金で運用すべきことが分かります。
利益確定幅は広めに取る
トラリピを始めるときに、いくらで利食いするか決められます。
このとき、利食い価格を狭めにとると、利益確定回数が増えてどんどん稼いでいるような感覚になります(実際楽しいです)。
ですが、この幅を狭くしすぎると、トータルで利益率が落ちる傾向にあります。適正な値幅は通貨ペアによって違いますが、ドル円や豪ドル円、ポンド円、ユーロ円などであれば、少なくとも50pips(0.1ロットなら500円の利益)くらいは取るようにしてください。
トラリピ成功率を高める秘訣
ハーフ&ハーフで資金効率を高める
資金効率を大幅に高めるハーフ&ハーフは、多くのトラリピ運用者が採用しているメジャーな戦略です。
トラリピを仕掛ける幅の上半分には売りのトラリピ、下半分には買いのトラリピを同じ本数だけ設置します。
メリット1:資金効率が良くなる
FXにおける証拠金とは、ポジションを保有しているorポジションを保有するための注文を出していると、そのロット数に応じて取引証拠金を拘束されるルールになっています。トラリピは設定した範囲にイフダン注文を複数仕掛けるため、これらがヒットしてポジションを保有しても、未ヒットでまだポジションを持っていなくても、同じように証拠金が必要になります。
証拠金はポジションを持つための保証金のようなものです。証拠金が多いほどトレードで使える資金が少なくなりますから、証拠金は少ないにこしたことはありません。
ここで出てくるのが、両建てMAX方式というルールです。これは、「同じ通貨ペアで、買いと売り両方にポジション保有&新規建て注文を入れている場合(つまり両建て)、買いか売り、どちらか多い方の証拠金だけしか拘束されない」というもの。マネースクエアでもこのルールが採用されています。
ここで思い出していただきたいのが、ハーフ&ハーフの設定。買いと売りを同じ数だけ両建てするわけですから、どちらかの証拠金だけ必要=買いだけ、売りだけと比較すると半分の証拠金でトラリピが運用できるというわけです。
メリット2:撤退タイミングが多い
トラリピは長く続けるほど利益が蓄積されるため、運用をやめないことがとても大切なのですが、それでもどうしてもストップしたいこともあるでしょう。また、設定を変更して再スタートを切りたいと思うかもしれません。
このときに、できるだけ含み損が少ない状態で停止したいところです。
買いのトラリピなら、設定レンジの一番上、売りのトラリピなら設定レンジの一番下が、最も評価損が少なくなります。ですが、トラリピをやってみれば分かるのですが、この状態になることはなかなかありません。
これがハーフ&ハーフの場合、買いと売りの境界にあたるレンジ中央付近で評価損がゼロになります。一番上や一番下と比べて、中央の方が滞在する時間が長く、機会も多いのは明白。ハーフ&ハーフの方が、ほぼダメージなくトラリピをストップできるチャンスが多いといえます。
デメリット1:上でも下でも評価損が最大になる
買いだけのトラリピならレンジ下限で、売りだけのトラリピならレンジ上限で評価損が最大になります。
逆に買いなら上、売りなら下に突き抜けると、全ての注文が利食いになり、評価損がない状態になります。
- 買い
- 売り
しかしハーフ&ハーフだと、上限でも下限でも評価損が最大になります。
ただし評価損額は、レンジの幅が半分なので、買いだけ、売りだけよりは少なくなります。
- ハーフ&ハーフ
デメリット2:支払いスワップのダメージを受ける
ほとんどのFX会社では、同じ通貨ペア、同じロット数でも、受取スワップポイントより、支払スワップポイントの方が多くなっています。マネースクエアも同様です。
ハーフ&ハーフは、理論上買いと売りを同数持つ運用なので、受取スワップを支払スワップが上回ることが多くなります。
複数の通貨ペアを組み合わせてポートフォリオを作る
下のチャートは、2019年~2020年春にかけてのドル円と豪ドル米ドルの日足チャートを、同じ時系列で上下に並べたものです。
チャートに示した谷は、ともに新型コロナウイルス騒動による暴落の底ですが、二つの通貨ペアでタイミングがずれている点に注目。ドル円と豪ドル米ドルは相関性(似通った動きをする度合い)があまり高くないため、頂点や谷の位置がずれることになります。
これは非常に重要なことで、資金をこの2通貨ペアに分散して投資することで、最大ドローダウンが同じタイミングでやってくることを防ぎます。つまり、共倒れしにくい組み合わせとなります。
すでに述べたとおり、トラリピでは荒れ相場でいかに生き残るかが重要です。これが単一の通貨ペアに全ての資金を投じていると、想定外の値動きになったときにまとめてロスカットになる恐れがあります。でも相関性が低い複数の通貨ペアに運用を分散していれば、ある通貨ペアがピンチでも、別の通貨ペアはそうでもない、あるいは利益が出ているという状態になりやすく、口座全体が大きな損失となる可能性を低くしてくれます。
含み損は将来の利益の卵だと思う
トラリピでは、利益確定は50pipsなり、100pipsなり、現実に到達しそうな価格に入れますが、基本的に損切りは行いません。そのため、評価益ポジションはいずれ決済されますが、評価損ポジションは評価益に転じるか、運用を停止するまでずっと残り続けます。
そのため、非常に順調な運用でも、ほぼ必ずその時点での評価損益はマイナスになっている、つまり評価損を抱え続けることになります。
裁量トレードでは、評価損を抱え続けることは御法度なので、ちゃんと勉強をしている人ほど、保有ポジションの損益がマイナスなっている状態を見ると、ストレスを感じたり、落ち着かない気持ちになることもあるでしょう。
でもトラリピではこれが普通の状態です。ポジションを持たないと、利益確定も生まれません。評価損が膨らんでいる=たくさんポジションを持っているということ。想定したレンジ内の値動きが続けば、それらはいつかは利食いになります。評価損は将来の利益の源泉なのです。
想定レンジ内に価格があるうちは想定通り
トラリピが仕掛けられている範囲内の値動きが続くほど、イフダン注文がヒットして新規→利食い→新規→利食い…と繰り返されることになるため、想定したレンジ内に価格があるうちはその運用は何の問題もない想定通りと思うようにしましょう。
運用開始時に、そのトラリピにおける最大損失は把握しているはずです。現在の評価損がそれより少なれば、何の問題も発生していません。
勝敗に一喜一憂はせずほぼ放置でOK
トラリピの売買は自動なので、一度設定して動き始めたら、投資家ができることはほとんどありません。極端な値動きが起きて、設定範囲から価格が逸脱したときに、トラリピをやめるか、続けるか、追加投資をするるかを判断するくらいです。
なので、勝ったり負けたりに反応せず、週に一度程度チェックすれば十分です。人間があまり関与しない状態が望ましいです。
とにかくやめない
何度か書いている通り、トラリピにおける最大損失は最初から決まっています。ということは、運用を続けて蓄積された利益が、その理論上の最大評価損を上回れば、そのトラリピは勝ち確定となります。いわば原資は回収している状態で、あとはどれだけ長く稼ぎ続けられるかというフェーズに移行します。
仕掛けている範囲内を往復するだけ利益は増えていくのがトラリピですから、最強の攻略法はやめないことなのです。そのためには、トラリピの特性を理解して余計な手出しをしないことと、ショック相場でも余裕で生き残れる安全な設定で動かすことが肝要です。