【通貨別まとめと見通し】スイス円:日米牽制砲を「有事のフラン買い」が相殺、187円台後半から190円台へ急反発し高値保ち合い
【通貨別まとめと見通し】スイス円:日米牽制砲を「有事のフラン買い」が相殺、187円台後半から190円台へ急反発し高値保ち合い
先週から週明け(9月28日〜10月5日)のまとめ
9月28日からの週は、日米要人による強力な「円安牽制砲」と、中東地政学リスク・欧州エネルギー不安に伴う有事のリスク回避が交錯し、大きなボラティリティを伴う展開となった。週前半は日米当局による介入警戒感と他クロス円の下落につれ安し、一時187.60円(30日)まで下値を切り下げる場面が見られた。しかし、フランスの財政不安や欧州のエネルギー問題で対ユーロ等で安全資産としてのスイスフラン買い(ユーロスイス安)が強まると、スイス円にも強力な底打ち圧力が波及。10月1日には日銀「主な意見」での内閣府利上げ牽制による円売りを追い風に190.05円まで急反発すると、2日(金)の米雇用統計下振れ後には有事のフラン買いと円売り再燃が重なり一時190.95円(直近最高値)まで上昇した。週明け5日(月)も一時190.69円まで上伸するなど190円の大台を維持しており、187円台への下押しから一転して強い高値保ち合いへと移行している。
詳細な値動きの振り返り
■ 牽制砲による下押しの後、187円台後半での底打ち(9月28日〜30日)
週初28日(月)の東京早朝には190.52円まで上伸していたものの、三村財務官ら日米当局による「円の過小評価に対する明確な懸念」が共有されると介入警戒感から一気に反落。ロンドン〜NY市場にかけて188.46円付近まで下落した。29日(火)も全般的なドル高と地政学リスクによるポジション調整から188.50〜189.40円台での上値の重い推移が続いた。30日(水)東京午前には豪CPI下振れに伴うクロス円急落につれ安し、一時187.60円(直近最安値)まで突っ込む場面が見られたが、欧州時間に入ると有事のフラン買いに支えられて188.20円台へ持ち直した。
■ 日銀利上げ牽制と米雇用統計後の190円台突入(10月1日〜2日)
10月1日(木)の東京市場では、日銀金融政策決定会合の「主な意見」で内閣府による利上げ牽制姿勢が判明し、早期連続利上げ観測の後退から円売りが加速。スイス円は188.20円台から一気に上昇し、ロンドン〜NY市場にかけて節目の190.00円を突破(高値190.05円)した。2日(金)のNY市場では、米9月雇用統計の弱い結果を受けて一時189.40円台へ押し戻される場面があったものの、その後は欧州の独仏金利差拡大(152bp)やフランス財政懸念に伴う「セーフヘイブン(安全資産)としてのスイスフラン買い」が猛烈に加速。円キャリー再開の動きも加わり、一時190.95円まで急伸して最高値を更新した。
■ 190円大台の維持と足元での高値揉み合い(10月5日〜足元)
週明け5日(月)は東京早朝に190.69円まで上値を伸ばした。ロンドン時間にかけて一時189.76円まで下押しする場面が見られたものの、190円割れの水準では有事のフラン買い需要が根強く速やかに買い戻された。NY市場にかけて再び190.40円台へ持ち直し、190.07円で取引を終了。足元(6日昼)も189.90〜190.20円付近で推移しており、他欧州通貨(ユーロなど)と比較してスイスフランの独歩高・底堅さが際立っている。
ファンダメンタルズ分析
日本・米国側:160円の手前での介入警戒感と日銀利上げ牽制の相克
日米要人(高市首相、片山財務相、三村財務官、ベッセント米財務長官)による円安牽制発言により、ドル円の160円超えに対する協調介入警戒感は強烈であり、クロス円全体の上値を抑える構造は変わっていない。しかし、日銀短観後の内閣府による利上げ牽制発言で日銀の追加利上げ期待が後退したため、単独での円高進行には限界がある。
スイス側:G10最強の「安全通貨」需要と対ユーロでのフラン高進行
スイス中銀(SNB)はインフレ落ち着きを背景に利下げ姿勢を維持しているものの、欧州における「フランス財政・政治不安」や「米ディーゼル輸出禁止報道に伴うエネルギーリスク」が拡大する局面では、欧州市場の資金がユーロからスイスフランへと逃避(ユーロスイス安)している。この有事のフラン買い圧力が、日米の円安牽制による下押し圧力を完全に相殺し、スイス円の上昇トレンドを強力に牽引している。
テクニカル分析
トレンド判断
9月30日の187.60円で明確な「二番底」を確認した後、190.00円の大台を上抜けたことで、短期・中期ともに「強い上昇〜高値保ち合いトレンド」を維持している。先週までレジスタンスであった189.80 - 190.00円の節目が、強力な「サポート(下値支持帯)」へとロールリバーサル(役割転換)を果たしている。10月2日につけた190.95円を突破できれば、191円台〜192円の大台に向けた上昇足取りが一段と強まるテクニカル構造である。
【スイス円 主要なレジスタンス・サポートライン(大幅見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 191.80 - 192.00円 (9月中旬の戻り高値圏、大台の心理的節目)
レジスタンス2: 190.90 - 191.10円 (10/2につけた直近最高値190.95円水準)
レジスタンス1: 190.50 - 190.70円 (10/5高値190.69円水準、直近の上値抵抗)
(下値支持帯)
サポート1: 189.70 - 189.90円 (10/5下押し安値圏、190円大台攻防のロールリバーサルライン)
サポート2: 188.80 - 189.00円 (10/1反発前の揉み合い水準、下値の第二防衛線)
サポート3: 187.60 - 187.80円 (9/30につけた直近最安値水準)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、「有事のフラン買いに支えられて189.80 - 190.00円のサポートを守り切り、190.95円の直近最高値を上抜けて191円台へ進伸できるか」にある。
【メインシナリオ】押し目買い優位の展開、190円台定着から191円台トライへ
日米当局の介入警戒感がドル円の上値を抑えるものの、中東地政学リスクや欧州政治・財政不安を背景とした安全資産としてのスイスフラン買い需要は極めて強力である。189.80〜190.00円付近への調整局面では根強い押し目買いが入る展開を想定する。190.00円台でしっかり底固めを行い、直近高値である190.95円を上抜けることができれば、191.50〜192.00円を目指した上昇トレンドの加速を見込む。
想定レンジ: 189.50 - 191.80円
根拠: 欧州地政学・財政リスクに伴うセーフヘイブン(スイスフラン買い)需要、190.00円節目のロールリバーサル支持化、日銀利上げ牽制に伴う円売りの継続。
【対抗シナリオ】日米実弾介入警戒感の再燃と世界的な全般リスクオフ
ドル円が160円に接近し、日米による協調実弾介入が現実味を帯びて突発的な円高が進んだ場合、または中東停戦交渉が劇的に進展して有事のフラン買いポジションが一斉に解消(利益確定売り)された場合。189.70円のサポートを割れ込むとポジション調整が強まり、188.80 - 189.00円水準へ押し戻されるシナリオ。
想定レンジ: 188.50 - 190.70円
根拠: ドル円の実弾介入警戒感に伴うクロス円全面安、地政学リスク後退に伴うフラン買いポジションの解消。
総評
ファンダメンタルズ環境は、欧州の地政学・財政・エネルギー懸念から「スイスフラン独歩高」の地地合いが完成している。ユーロ円が欧州リスクで下落するのに対し、スイス円はそのリスク自体が買い材料(有事の避難先)となるため、クロス円の中でも極めて力強い推移を見せている。
基本戦略としては、ポンド円同様に「押し目買い(ロング)」を推奨する。189.80 - 190.00円のロールリバーサルゾーンを引き付けてのロングメイクが優位性の高いトレードとなるだろう。直近高値190.95円のブレイクを狙うシナリオがメインとなる。ただし、ドル円が160円手前で急落した際の巻き込みや、突発的な地政学ヘッドラインには十分注意し、189.40円割れでのストップロス設定などリスク管理を徹底したい。
今週の主な指標
スイス
10/06 16:00 雇用統計 (9月) 予想 3.0% 前回 3.0% (失業率(季調前))
10/06 16:00 雇用統計 (9月) 予想 3.1% 前回 3.1% (失業率(季調済))
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。