米中首脳会談、台湾問題も議題に
トランプ大統領は中国との通商交渉再開を前に、米国が重視する問題としてレアアースと合成麻薬フェンタニル、大豆、台湾を挙げた。脆弱な貿易休戦協定の期限切れが迫る中で、両国が意見の一致を目指して取り組む重要議題が浮き彫りになった。
トランプ大統領は19日、フロリダからワシントンへ戻る大統領専用機内で「中国にレアアースを巡って駆け引きしてほしくない」と述べた。同大統領はその数日前、中国がレアアースに対する広範な規制を表明したことを受けて、中国製品に100%の追加関税を課すと警告していた。
同大統領はまた、米国は中国に対しフェンタニルの輸出を止めるよう求めていると発言。中国がこの薬物や前駆物質の流出を抑制できていないことが、米国内でまん延する麻薬性鎮痛薬(オピオイド)危機の原因になっているとの批判を繰り返した。もう一つの重要な要求は、世界2位の経済大国である中国が大豆の購入を再開することだった。
トランプ大統領は20日にこうした発言を補足する形で、習近平主席との会談では台湾の領有権に関する中国の野心についても議論すると述べた。来週韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、習主席と会う予定だという。ただし、中国が台湾の支配を強化する見返りとして、貿易上の譲歩を申し出ることを期待しているかとの質問に対して、トランプ大統領は回答を避けた。
トランプ大統領はオーストラリアとの防衛協力協定が、中国による台湾軍事行動の抑止力となり得ると述べ、同地域での軍事衝突の可能性を懸念していない姿勢を見せた。
中国製品に対する追加関税については、11月1日までに「ディールが成立しなければ」賦課を実行すると、改めて警告した。さらには商業航空機部品の出荷制限を含む別の措置も講じる構えを見せた。トランプ大統領はその上で、習主席と会談する計画に変わりはないと強調し、主席は米国に対して非常に敬意を払っていると述べた。
ベッセント米財務長官は、米中代表団が今週マレーシアで会談する見通しだと述べている。米中の暫定的な貿易休戦は11月10日に期限を迎える予定で、延長されなければ再び関税合戦が激化する恐れがある。
トランプ大統領は1日から中国製品に100%の輸入課徴金を発動すると発言しており、両国関係は再び緊張を強めている。トランプ大統領はFOXニュースとのインタビューで追加関税について、持続可能ではないとしつつも、実施は可能だと述べた上で、中国とはうまくやっていけると思う。ただ、公平な取引でなければならないと語った。
中国外務省の郭家坤報道官は20日の定例会見で「貿易戦争は双方の利益にならない。平等と相互尊重、互恵の原則に基づき、関連問題を交渉によって解決すべきだ」と述べた。

執筆者 : MINKABU PRESS
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