【来週の注目材料】ついに2020年以来の利下げへ=豪中銀政策金利
オーストラリア準備銀行(RBA/中央銀行)は2月18日の金融政策会合で約4年ぶりとなる利下げに踏み切る可能性が強まっています。
2000年台後半、一時7.25%まで政策金利が上昇した豪州は、当時ミセスワタナベと呼ばれた日本の個人投資家による高金利狙いでの外貨買いの対象通貨の代表格となっていました。リーマンショックで3%まで金利が下がった後、2010年には4.75%まで金利が上昇するなど、高金利通貨としての動きが続きましたが、豪景気の弱さもあってその後はじりじりと利下げが進み、新型コロナのパンデミック前には0.75%となっていました。パンデミックを受けて世界中で緩和が進んだ2020年3月に、豪中銀は臨時会合を含む二回の会合で0.25%ずつ金利を引き下げ、さらに2020年11月に追加利下げを行って0.10%となりました。その後アフターコロナでの物価上昇に2022年5月に利上げを開始。10会合連続で利上げを行った後、据え置きなどを交えて2023年11月に現行の4.35%まで金利を引き上げました。
ちなみにゼロ近傍で0.1%など中途半端な水準となった政策金利は、利上げに際して0.25%の単位に戻すことが多いです(英中銀2021年12月0.1%⇒0.25%、日銀2024年7月0.1%⇒0.25%)。しかし豪中銀は0.1%から0.25%ベースの利上げを続けたため現行で4.35%という中途半場な水準になっています。
アフターコロナでのインフレ後、新興国は2023年夏ごろから、多くの先進国も昨年夏前後から利下げがスタートしました。豪ドルと並ぶオセアニア通貨のNZドルは昨年8月に利下げを実施し、その後も利下げを続けています。そうした中、豪中銀は利下げを行わず2023年11月から金利を据え置いてきましたが、今回ついに利下げに踏み切るとみられます。
金利を据え置いた前回12月10日の会合での声明では、それまでの会合声明で見られた「政策は十分に制限的である必要がある」との表現を削除。基調的なインフレはまだ高すぎるとしたものの、インフレが持続的に目標に向かっているという「ある程度の確信を得つつある」と示したことで、2月の利下げ期待が強まりました。12月24日に公表された会合の議事要旨では、今後のデータが引き続き予想通り、あるいは予想よりも弱い展開となれば、基調的なインフレが中銀目標である2-3%に持続的に向かっているという確信がさらに強まると判断しているとし、さらにその場合金融政策の引き締め度合を緩和し始めるのが適切としています。ただ、予想よりも強いデータが示されると(緩和への)プロセスにより時間がかかるとくぎを刺しています。
こうした状況を受けて、前回会合の前、12月の初め時点では30%台であった2月の利下げ期待は、12月会合及び会合議事要旨後には65%程度まで上昇しました。さらに1月29日に発表された2024年第4四半期の消費者物価指数(CPI)が前年比+2.4%、基調的なインフレを示す刈込平均が前年比+3.2%と、ともに市場予想及び第3四半期の水準を下回る伸びとなったことで、利下げ期待がもう一段広がり、一時は96%の利下げ織り込みとなっています。その後小売売上高の強さなどもあって、一時に比べると期待が落ち着きましたが、それでも87%程度の利下げ織り込みとなっています。
なお、13%程度は据え置き期待があるということは可能性自体はあるということ。もし利下げ見送りとなった場合は、サプライズの豪ドル大幅高となる可能性があります。
大方の市場予想通り利下げとなった場合は、声明の表現などを確認し、次回以降の利下げ見通しがどのように変化するのかをチェック。今のところ4月の据え置きを挟んで5月に追加利下げ。その後も据え置きを交えながら年内もう一度の利下げと、2025年中に、現行水準から計0.75%の利下げが見込まれています。追加利下げ期待が後退するようだと、利下げ実施後に豪ドル買いが入る可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
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執筆者 : MINKABU PRESS
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