タイが緊急事態宣言を延長、感染者封じ込めに成功できるか
タイ政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、緊急事態宣言を7月31日まで延長すると発表した。プラユット首相は、ほとんどの企業が7月1日から営業を再開しており、一部の国からの訪問者の旅行制限が緩和されていることから、警戒する必要があるためと発言した。
タイ国内で検出されたコロナウイルスの感染者は3171人で、その大部分は回復しており、直近1カ月間の感染者は確認されていない。政府は経済を再開するためにいくつかの段階を経て、ロックダウンルールを徐々に緩和しながら、経済再開を進める方針。3月より続けている緊急事態宣言を延長することで、感染拡大の第2波のリスクに対処する。
なお、野党は緊急事態宣言を解除するよう求めている。最大野党であるタイ貢献党のチーフストラテジスト・ケウラファン氏は、この延長が多くの経済問題を引き起こし、貿易と投資への信頼を損うと批判した。タイ経済は東南アジアの他の地域に遅れをとっている。2020年のGDPは記録的な減速となる見通しであり、5月に公表された2020年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比マイナス1.8%と、前期の+1.5%からマイナスに転じていた。
タイバーツ円は6月上旬に3.48円台の高値をつけた後、ドル円の下落も相まって3.41円前後まで弱含んだ。しかし、タイ経済の回復期待で6月下旬に再び上昇しており、上旬につけた高値を更新した。新型コロナウイルスの影響で経済減速が他国に比べて著しい分、回復の度合いも大きいとみる向きも強く、投資家の期待は大きい。今回、経済再開よりもコロナ感染拡大防止に軸足を置いた政策を続ける意向が示されたが、このまま感染者封じ込めに成功できるか、7月いっぱい注目したいところである。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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