ドル円振幅、ほぼ高値圏で引けも107円台推移続く
ドル円振幅、ほぼ高値圏で引けも107円台推移続く
ユーロはしっかり、一時1.1150手前まで。対ポンドでも買いが入る
復興基金への期待感が支えに。
【東京市場】ドル売り円買い
ドル円は107円09銭近辺まで下落。
前日の中国による香港に対する国家安全法の成立を受けて、
トランプ大統領が会見を行うと発表したことなどが警戒感を誘っている。
香港からの資金流出先としての円という意識も。
欧州通貨に対するドル売りも、ドル全面安基調に寄与。
ユーロは復興基金に対する警戒感が支えに。
【ロンドン市場】ユーロ買い継続
ユーロは依然堅調。
ユーロ買いポンド売りの動き名も度も見られ
節目の0.9000を超えて大きく上昇。
ユーロドルも1.11を超えて上昇する展開となった。
ドル円は東京市場で付けた安値から少し調整も
戻りは限定的。
大台割れまで下がらなかったことで短期的な買い戻しが入り、この後のトランプ会見待ちに。
【NY市場】
NY市場は午前中ドル安円安の動きが広がった。ドル円は東京市場で107円台前半に落とした流れを受けて
NY朝に107円09銭を付ける動きが見られたが、昼頃には107円80銭超えまで上昇。
クロス円の買いも優勢で、ポンド円がロンドン市場での131円70銭台から133円46銭まで大きく上昇。
ユーロ円もロンドン市場で付けた118円80銭台から119円90銭近辺までと、120円を意識するところまで買いが入った。
月末のロンドンフィックスにかけての外貨買い円売りが入ったとみられ、
ポンドドルはロンドン市場の1.2290近辺から1.2394まで上昇。ユーロドルはやや頭が重かったものの、1.11台前半でのもみ合い。
ロンドンフィックス時間を過ぎると一転してクロス円は調整が入る展開。ポンド円は132円70銭台まで一気に落とすと、その後のもみ合いを経て一時132円50銭割れまで。ユーロ円も119円50銭台まで値を落とす場面が見られた。
一方NY午後はドル買いも優勢に。パウエルFRB議長が改めてマイナス金利を否定したこと、中国に対する厳しい姿勢を示すと見られたトランプ大統領が、中国への批判はしながらも即時かつ具体的な制裁には踏み込まなかったことなどが、ドルの買いを誘った。ユーロドルは1.1080近辺までユーロ売りドル買いが進行。ポンドドルは1.2290台までと高値から100ポイントの下げとなった。
ドル円はロンドンフィックス後のクロス円の売りにも下げが限定的で、下値しっかり感を示すと、引けにかけてドル買い円売りが広がり、
107円80銭台の高値圏で週の取引を終えた。
【本日の見通し】本日のISMなど材料そろう中でドル円107円台中心の取引か
ドル円は先週末に107.90円近辺まで上昇する展開を見せた
新型コロナウイルスによる感染拡大が一服傾向にあること、
感染被害が深刻なNY市でも制限緩和に向けた動きが見られたことなどがドル買いに。
もっともミネアポリスで始まった暴動が全米に広がる傾向を見せるなど
米国に対するマイナス材料もあり、
週明けは少しドル売り円買いで始まっている。
今週は、今晩のISM製造業をはじめ、週末の雇用統計まで
米国の重要指標が並んでいる。
新型コロナウイルスによる感染拡大懸念が一服する中で
経済がどこまでダメージを受けたのか、
今後の景気回復への動きはどうなるのかなどが焦点となっており
指標への注目度も高まるところだけに注目が集まるところ。
基調は107円台後半でのレンジ取引だが、上下ともに動きが出る可能性。
【本日の戦略】次の方向性探る
107円台でのレンジ取引が基本となりそう。
デイトレはレンジ取引の中での回転を意識。
暴動問題、香港問題などが見られる中で
警戒感も、下値はしっかり。
買いからの回転が基本か。
スウィングも買い下がりが基本で108円台トライを意識。
ただし材料が多いだけに見切りも早めに。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《5/29 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.65 1.1077 119.24
高値 107.90 1.1145 119.90
安値 107.09 1.1070 118.87
終値 107.83 1.1101 119.77
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《5/29 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 21877.89 -38.42
DOW 25383.11 -17.53
S&P 3044.31 +14.58
Nasdaq 9489.87 +120.88
FTSE 6076.60 -142.19
DAX 11586.85 -194.28
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《5/29 金曜日の商品市場》
NY原油先物7月限(WTI)(終値)
1バレル=35.49(+1.78 +5.28%)
ブレント先物AUG月限(ICE)(終値)
1バレル=37.84(+1.81 +5.02%)
NY金先物8 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1751.70(+23.40 +1.35%)
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《5/29 金曜日に発表された主な経済指標》
【韓国】
鉱工業生産指数(4月)08:00
結果 -6.0%
予想 -3.5% 前回 4.6%(前月比)
【日本】
雇用統計(4月)08:30
結果 1.32倍
予想 1.32倍 前回 1.39倍(有効求人倍率)
結果 2.6%
予想 2.7% 前回 2.5%(完全失業率)
鉱工業生産(速報値)(4月)08:50
結果 -14.4%
予想 -10.6% 前回 -5.2%(前年比)
結果 -9.1%
予想 -5.7% 前回 -3.7%(前月比)
【ユーロ圏】
ドイツ小売売上高(4月)15:00
結果 -5.3%
予想 -12.0% 前回 -4.0%(-5.6%から修正)(前月比)
結果 -6.5%
予想 -14.0% 前回 -1.2%(-2.8%から修正)(前年比)
フランスGDP・確報値(第1四半期)15:45
結果 -5.3%
予想 -5.8% 前回 -5.8%(前期比)
結果 -5.0%
予想 -5.4% 前回 -5.4%(前年比)
ユーロ圏消費者物価指数・速報値(5月)18:00
結果 -0.1%
予想 -0.1% 前回 0.3%(前月比)
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.4%(前年比)
結果 0.9%
予想 0.8% 前回 0.9%(コア・前年比)
【スイス】
KOF先行指数(5月)16:00
結果 53.2
予想 70.0 前回 59.7(63.5から修正)(KOFスイス先行指数)
【トルコ】
GDP(第1四半期)16:00
結果 4.5%
予想 4.9% 前回 6.0%(前年比)
【南アフリカ】
貿易収支(4月)21:00
結果 -350億ランド
予想 130億ランド 前回 239億ランド(242億ランドから修正)(貿易収支)
【ブラジル】
実質GDP(2020年第1四半期)21:00
結果 -0.3%
予想 -0.3% 前回 1.7%(前年比)
結果 -1.5%
予想 -1.5% 前回 0.4%(0.5%から修正)(前期比)
【インド】
実質GDP(2020年第1四半期)21:00
結果 3.1%
予想 1.6% 前回 4.7%(前年比)
【米国】
個人所得・支出(4月)21:30
結果 10.5%
予想 -5.9% 前回 -2.2%(-2.0%から修正)(個人所得)
結果 -13.6%
予想 -12.8% 前回 -6.9%(-7.5%から修正)(個人支出)
PCEデフレータ(4月)21:30
結果 0.5%
予想 0.5% 前回 1.3%(PCEデフレータ・前年比)
結果 -0.4%
予想 -0.3% 前回 -0.1%(PCEコアデフレータ・前月比)
結果 1.0%
予想 1.1% 前回 1.7%(PCEコアデフレータ・前年比)
卸売在庫(速報値)(4月)21:30
結果 0.4%
予想 -0.7% 前回 -1.0%(-0.8%から修正)(前月比)
シカゴ購買部協会景気指数(5月)22:45
結果 32.3
予想 40.0 前回 35.4(シカゴ購買部協会景気指数(PMI))
ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(5月)23:00
結果 72.3
予想 74.0 前回 73.7(ミシガン大学消費者信頼感指数)
【カナダ】
実質GDP(前期比)(2020年第1四半期)21:30
結果 -8.2%
予想 -10.0% 前回 0.6%(0.3%から修正)(実質GDP(前期比))
実質GDP(前月比)(3月)21:30
結果 -7.2%
予想 -8.5% 前回 0.1%(0.0%から修正)(実質GDP(前月比))
鉱工業製品価格(4月)21:30
結果 -2.3%
予想 -2.0% 前回 -1.5%(-0.9%から修正)(鉱工業製品価格・前月比)
結果 -13.4%
予想 N/A 前回 -15.6%(原材料価格指数・前月比)
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《5/29 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【中国】
*在米中国大使館
外国の干渉には対抗措置を講じる。
【ユーロ圏】
*ビスコ伊中銀総裁
イタリアは大規模な経済の変革が必要、危機脱出に
イタリアの財政赤字は持続可能だ
イタリア中銀は資産購入プログラムの下で月間100億ユーロ購入している
新たな資産購入プログラムで一層の購入も行っている
デフレリスクに対応するための措置が必要
イタリアは成長の構造的な問題を解決する必要
(年次報告で)
【スイス】
*ツアブリュック・スイス中銀副総裁
スイス中銀はこれ以上の利下げや介入が可能
【英国】
*スナク財務相
新型コロナウイルスの影響を受けて休職中の雇用者は、7月から以前の職場でパートタイムで働くことができる。
現在企業が従業員を自宅にとどめる中、雇用契約の継続を認め、政府が80%の給与について補助している。
8月から補助は減り、9月からは70%に、10月からは60%に減っていく 企業のシェアを増やしていくことを求める
【米国】
*メスター・クリーブランド連銀総裁
景気回復は緩慢、V字型の回復は極めて予想しがたい
各国中銀の行動が市場流動性や機能を改善させている
*クドロー米NEC委員長
米国は中国に対して「激怒」している
*パウエルFRB議長
FRBは政治から独立した機関
与えられたものの中で、自身のレーンにとどまる必要がある。
緊急対応はあくまで貸し出しであり、お金を与えることはできない
多くのレッドラインを超えてきている
これまでにない事態を受けて、ここまでにレッドラインを何度も超えた。
金融セクターはパンデミックの中でここまでうまくやっている
メインストリーム貸出制度については数日後に開始する
当面物価は問題にはならない
マイナス金利は米国では適切な手段ではない
フォワードガイダンスや量的緩和はもう通常外の政策手段ではない
消費者は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて用心しており、経済のV字回復は難しい
FRBの金融政策が不平等を生むものであっては絶対にならない
パンデミックは大きな不平等を生んだ
雇用のサポートに金融政策をフォーカス続ける必要がある
*クオモNY州知事
6月8日から経済を再開する
*トランプ大統領
「中国!」(自身のツイッター)
中国は香港の自治権を守るという世界との約束を破った。
投資会社は中国リスクにさらされるべきではない。
中国はWHOをコントロールしている。米国はWHOとの関係を打ち切ることになる
香港の経済優遇について撤回に向けて行動する。
中国と香港のオフィシャルに対する制裁に必要なステップを取る
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《本日予定されている主な経済指標》
【中国】
*財新製造業PMI(5月)10:45
予想 49.6 前回 49.4
【ユーロ圏】
仏製造業PMI・確報値(5月)16:50
予想 40.3 前回 40.3
独製造業PMI・確報値(5月)16:55
予想 36.8 前回 36.8
ユーロ圏製造業PMI・確報値(5月)17:00
予想 39.5 前回 39.5
【香港】
小売売上高(4月)17:30
予想 -35.5% 前回 -42.0%(価額ベース・前年比)
予想 -36.0% 前回 -43.8%(数量ベース・前年比)
【英国】
CIPS製造業PMI・確報値(5月)17:30
予想 40.9 前回 40.6
【米国】
ISM製造業景気指数(5月)23:00
予想 43.5 前回 41.5
建設支出(4月)23:00
予想 -6.5% 前回 0.9%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員