NY原油高、株高などでリスク選好の動き広がる
NY原油高、株高などでリスク選好の動き広がる
中国の生産回復、米医療ベンチャーの新型コロナウイルスのワクチン、抗体生じるなどの報道が支え
資源国通貨高円安が優勢、当初売られたユーロの買い戻しも
ユーロはEUの景気対策報道が買いを誘う
【東京市場】資源国通貨高、ドル円はもみ合い
ドル円は107円台前半の狭いレンジでもみ合った。
ドル全面安基調の中で頭の重い展開も、107円手前の買いが下値を支え、上下ともに動きが目立たず。
週明け早朝にドル安が進む場面が見られたが、すぐに値を戻し、逆に上値をトライも107円30銭を付けきれずという流れ。
午後は107円10銭台で膠着。
一方動きが見られたのが資源国通貨。先週末中国鉱工業生産の回復による需要増への期待や、
稼働リグ減少での供給抑制の期待から大きく上昇したNY原油先物が、週明けも上昇基調を続け、
3月17日以来の30ドル台を回復したことを好感してカナダドル、豪ドルなどに買いが集まった。
豪ドル円68円60銭台から一時69円台にしっかり乗せて69円10銭台まで。その後少し調整が入り69円割れも、
高値圏での推移に。対ドルではドル安基調もあって0.6400台から0.6450超えを付ける動きが見られた。
こちらも午後は調整が入った。
【ロンドン市場】クロス円の買いに支えられドル円しっかり
ロンドン市場でもNY原油の上昇が続き、一時32ドルだに乗せる中で
資源国通貨を中心にクロス円の上昇が目立った。
豪ドル円は高値を更新して69円台前半推移に。
ドル円もこうした動きに支えられる形で107円台前半推移。
ユーロはもみ合い。対ドルでは売りも出ており、1.08台前半推移。一時1.0800トライも大台割れには至らず。
【NY市場】ユーロに一気の買い戻し
ユーロドルが1.09台前半まで上昇。ロンドン市場で1.0800を付けたものの下値の買い意欲がしっかりで買い戻しに。
EUが5000億ユーロ規模の復興計画検討との報道がきっかけとなった。
欧州委員会が27日にも最新提案を出す予定で、ドイツなども賛成しているとの報道が買いを誘った。
ドル円は一時107円台半ばまで上昇。NY原油が33ドル台まで一時上昇する中で
資源国通貨を中心にクロス円の買いが続き、ドル円もしっかり。
中国の石油需要が新型コロナウイルスでの封鎖前水準まで回復との報道が原油高に。
【本日の見通し】リスク選好の動きへ
中国の原油需要回復にみられる経済再生への期待感などがドル円の支えに。
ドル自体は対円以外で売りが見られることもあり、
ドル円の上昇は限定的なものにとどまっているが、
クロス円の上昇基調もあり、上方向の期待感が強い。
107円台半ばから108円にかけての売りをこなせるかがポイントとなりそう。
クロス円の上昇に関しては、振幅を交えながら継続の期待。
NY原油は昨日大きく上昇した分、少し調整が入る可能性があり
豪ドル円やカナダ円はそれにつられる動きもありそう。
基調はまだ上方向も、調整に注意しながらの展開に。
【本日の戦略】押し目買い
期待は上方向。ただ、クロス円の上昇が激しかった分調整の可能性もあり
突っ込んだ買いは避けたい。
押し目を丁寧に拾いたいところ。
107円ちょうど近くまで下げられるかは微妙で、107円台前半での買い場を探る流れ。
大台をしっかり割ると一回ストップで様子見にという印象。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《5/18 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.15 1.0823 115.93
高値 107.50 1.0927 117.24
安値 107.04 1.0800 115.62
終値 107.34 1.0913 117.17
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《5/18 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20133.73 +96.26
DOW 24597.37 +911.95
S&P 2953.91 +90.21
Nasdaq 9234.83 +220.27
FTSE 6048.59 +248.82
DAX 11058.87 +593.70
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《5/18 月曜日の商品市場》
NY原油先物6月限(WTI)(終値)
1バレル=31.82(+2.39 +8.12%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1734.40(-21.90 -1.25%)
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《5/18 月曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
GDP・1次速報値(第1四半期)8:50
結果 -0.9%
予想 -1.1% 前回 -1.8%(前期比)
結果 -3.4%
予想 -4.5% 前回 -7.1%(前期比年率)
GDPデフレータ・1次速報値(第1四半期)8:50
結果 0.9%
予想 0.7% 前回 1.2%(前年比)
第3次産業活動指数(3月)13:30
結果 -4.2%
予想 -4.0% 前回 -0.7%(-0.5%から修正)(前月比)
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《5/18 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*パウエルFRB議長
FRBの手段は尽きておらず、必要ならさらなる行動が可能だ
マイナス金利の経済効果は不透明、金融システムにゆがみが生じる
4-6月期GDPはマイナス20%台~30%台になる可能性
今後2-3カ月は失業増える可能性、失業率は最悪20-25%に
*トランプ大統領
レストラン業界は途方もない影響を受けた。
税控除の可能性を模索している。
本日は治療やワクチンにおいて大きな1日となった。
いまはワクチン以上に治療法や治療そのものが重要。
WHOは中国からの渡航禁止に反対した。
近い将来にWHOに関して声明を発表。
中国にどのように責任を負わせるのかは言及しない。
監察官の解任はポンペオ長官に頼まれた。
この1週間半、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用。
服用は個人的な決定。
常に陰性で何の症状もない。
*パウエルFRB議長
明日の議会証言の事前原稿が伝わる。
FRBは経済支援のためあらゆる手段講じる。
下降の程度とスピードは前例がない。
指標は失業増の中で第2四半期のGDPの大幅減示す。
FRBの行動は全体的な公的セクターの一部のみ。
*クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
州の経済再開は大きなプラスで市場もそれを見ている。
物事が戻り始めた。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
回復には地域、スピードに違い。
第2四半期の成長は厳しくなる。
失業者の急増は一時的。
経済の回復能力は信頼感次第。
どのように経済を再開させるのか思慮深くなる必要。
【ユーロ圏】
*レーンECB理事
状況がタイトになればPEPPの規模と期間を調整すること可能
ECBは使命達成の必要なあらゆること行う
*ルメール仏経済相
2週間以内に自動車産業に関する計画を発表する
危機対応の債務を賄うために増税すること考えていない
*レグリングESM最高経営責任者
独憲法裁の判断後もECBのアプローチは変わることないだろう
*ドイツ機械工業連盟(VDMA)
輸出は第1四半期に6.6%減少、第2四半期は二桁%台の減少率に
*独連銀月報
ドイツの第2四半期経済活動は大きく第1四半期を下回る見込み
ロックダウン解除を受けて第2四半期後半にはモメンタムが回復すると期待
建設業界が回復をリードするだろう
財政支援策は一時的、ターゲットを絞ったものであるべき
*デコス・スペイン中銀総裁
協調した財政支援策が必要とされている
新型コロナ危機によるショックは当初の予想よりも長期化するだろう
ECBは域内諸国の間の格差を回避するように行動すべき
欧州の新型コロナ危機に対する対応策はまだ不十分だ
*EU
5000億ユーロ規模の新型ウイルスの復興計画を検討。
ドイツやフランスも支持。
*メルケル独首相
EUで共同のウイルス対策を採用しようとしている。
ドイツ議会は復興基金を承認する必要。
【英国】
*ブルームバーグ調査
アナリスト15人の約半数が、MPCは量的緩和(QE)の資産買い入れ枠を1000億ポンド増額し、7450億ポンドとすると予測
3人はさらに大幅な拡大を見込む
次回の英金融政策委員会(MPC)の政策決定結果は6月18日に公表
*テンレイロ英中銀委員
英中銀は如何なる政策手段も排除していない。
自身の見解ではマイナス金利は前向きな効果をもたらした。
英国でも検討の余地はある。
現在、全ての選択肢が机上にある。
【中国】
*ファーウェイ 米国による半導体規制への短期的な解決策はない
*習近平国家主席
新型コロナウイルスのワクチンは世界共有のものとなろう
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《本日予定されている主な経済指標》
【NZ】
生産者物価指数(第1四半期)7:45
予想 N/A 前回 0.4%(生産高・前期比)
【日本】
鉱工業生産・確報値(3月)13:30
予想 N/A 前回 -3.7%(前月比)
予想 N/A 前回 -5.2%(前年比)
設備稼働率(3月)13:30
予想 N/A 前回 -1.8%(前月比)
【英国】
失業率(4月)15:00
予想 N/A 前回 3.5%
ILO失業率(4月)15:00
予想 4.3% 前回 4.0%(3ヵ月)
【香港】
失業率(4月)17:30
予想 4.5% 前回 4.2%
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(5月)18:00
予想 30.0 前回 28.2
【南アフリカ】
製造業生産高(2月)20:00
予想 -0.9% 前回 2.5%(前月比)
【米国】
住宅建設許可件数(4月)21:30
予想 100.0万件 前回 135.0万件(135.3万件から修正)
住宅着工件数(4月)21:30
予想 92.3万件 前回 121.6万件
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員