ドル円振幅、不安定な展開続く
ドル円振幅、不安定な展開続く
ユーロは頭の重い展開、スペインの感染拡大なども嫌気
【東京市場】午前中に一時108円台
ドル高円安の動きが強まった。前日の海外市場に続いて日本株も大きく下げるなどリスク警戒の動きが広がる展開。リスク回避の円買いとドル買いがともに見られる中で、ここにきて世界的な先行きへの懸念拡大によるドルのひっ迫感が強まってきている流れが勝り、ドル高が優勢に。
昨日の海外市場でドル円は一時107円80銭台まで上昇。その後107円20銭台に値を落とした。東京朝もその流れを受けて107円台前半で始まったが、朝からドル買いの動きが優勢で午前中に前日の高値を更新。実需筋からのドル買いのうわさなどもドル円を支えた。
オプション取引に絡んだ売り意欲などが見られた108円手前で頭をやや抑えられる場面も、午後に入ってもドル買いの勢いが継続したこともあり、一時108円08銭まで上値を伸ばす展開。もっとも大台声での買いは続かずすぐに107円台に値を落とし、その後は107円台後半推移。
ユーロドルはドル全面高の中で、1.0860台まで。昨日の海外市場で1.0850台まで値を落とした後、1.0930台まで上昇し、その流れで1.09台前半で東京朝を迎えた。1.0900がしっかりで、東京市場朝方は下値を支える場面も見られたが、大台を割り込むと、その後も売りが続く格好で1.0960台まで。もっともこちらは昨日海外市場の安値に届かず、少し買い戻しが入っている。
【ロンドン市場】頭の重い展開
ドル円は107円台後半での推移。
東京市場で108円台からの買いに慎重で少し調整の動きに。
ユーロドルは振幅。ドル円でのドル安円高もあり1.09台回復の場面も続かず
その後は頭の重い展開となり、ユーロ円は117円割れまで値を落とした。
スペインの感染者数の増加ペースが強まったことなどが重石となった面も。
【NY市場】朝方の下げから108円台回復へ
朝方はドル円は軟調で一時107円10銭台まで
新規失業保険申請件数などの発表を前に107円台半ばを割り込んだ後、
107円台半ばを挟んでのもみ合いを経て、その後107円16銭近辺まで値を落とす場面が見られた。
クロス円も下げており、朝の動きは円高主導に。
目立った材料はなく、米債利回り低下などを嫌気した動きと見られた。
その後は、一転してドル買いが優勢に。
こちらも材料が出たというよりも、リスク回避のドル買いが再開されたという印象に
【本日の見通し】方向性つかみにくく
リスク回避の動きがドル買い円買いともに作用する流れで
やややりにくさがある。
新興国通貨などを中心に一時の楽観論が崩れる中でドル需要が継続しているという印象。
金利面で優位に立つ通貨が減り、ドルに資金が集まりやすくなっている状況も。
ドル円は108円台での買いには依然慎重で、不安定な展開が続くが
期待は上方向か。
108円台にしっかりと乗せてくるようだと、流れが少し変わる可能性も。
107円台後半から108円にかけてのレンジを中心に上方向を期待という流れ。
【本日の戦略】押し目買い
週末越しのポジションを持つかどうかは微妙で様子見もあり。
流れ的には上方向とみており107円台半ばにかけて計ってみたいところ。
107円割れではストップという印象だが、後半での買いで107円割れはやや遠く、悩ましい流れ。
ストップの位置は変えず、そこまでじっくりとした買い下がりも。
デイトレは流れを見ながら。108円台での買いの勢いを確認。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《4/16 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.46 1.0910 117.18
高値 108.08 1.0911 117.50
安値 107.17 1.0817 116.56
終値 107.92 1.0840 117.00
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《4/16 木曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 19290.20 -259.89
DOW 23537.68 +33.33
S&P 2799.55 +16.19
Nasdaq 8532.36 +139.19
FTSE 5628.43 +30.78
DAX 10301.54 +21.78
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《4/16 木曜日の商品市場》
NY原油先物5月限(WTI)(終値)
1バレル=19.87(0.00 0.00%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1731.70(-8.50 -0.49%)
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《4/16 木曜日に発表された主な経済指標》
【豪州】
失業率(3月)10:30
結果 5.2%
予想 5.4% 前回 5.1%
雇用者数(3月)10:30
結果 0.59万人
予想 -3.00万人 前回 2.56万人(2.67万人から修正)
【ユーロ圏】
ドイツ消費者物価指数(確報)(3月)15:00
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.1%(前月比)
結果 1.4%
予想 1.4% 前回 1.4%(前年比)
ドイツ調和消費者物価指数(確報)(3月)15:00
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.1%(前月比)
結果 1.3%
予想 1.3% 前回 1.3%(前年比)
ユーロ圏鉱工業生産(2月)18:00
結果 -0.1%
予想 -0.1% 前回 2.3%(前月比)
結果 -1.9%
予想 -1.9% 前回 -1.7%(-1.9%から修正)(前年比)
【米国】
新規失業保険申請件数(04/05 – 04/11)21:30
結果 524.5万件
予想 550.0万件 前回 661.5万件(660.6万件から修正)(前週比)
フィラデルフィア連銀景況指数(4月)21:30
結果 -56.6
予想 -32.0 前回 -12.7(フィラデルフィア連銀景況指数)
住宅着工件数(3月)21:30
結果 121.6万件
予想 130.0万件 前回 156.4万件(159.9万件から修正)(住宅着工件数)
結果 135.3万件
予想 130.0万件 前回 145.2万件(146.4万件から修正)(住宅建築許可件数)
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《4/16 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*トランプ大統領
米国は新規感染のピークを超えたと推測される。
明日には新型コロナウイルスに関する新しいガイドラインを発表する。
330万以上の感染テストを実施。
1億枚のマスクを配布、5億枚を注文
新型コロナウイルスの治療について、大きな進歩が見られる。
小規模ビジネスについて3000億ドルの対応、資金調達をより後押しする必要。
経済については複数の選別された当局と話し合っている。
制限からの再開時には知事と話をする。
*トランプ大統領
現地時間の夕方6時に経済活動再開の指針を発表。
インフラ政策に取り組んでいる。
*トランプ大統領指針
最初の段階ではまだ、ソーシャル・ディスタンスを推奨。
指針は州の段階的な再開を計画。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
できる限り多くの企業の存続が重要。
最終手段として、自治体に対するFRBのプログラムを意識していない。
住宅ローンの提供者は不安を解消し、混乱を避ける必要。
*カプラン・ダラス連銀総裁
2021年の米GDPは潜在成長を上回ると見ている。
新型ウイルス感染問題次第では、潜在成長は低下。
過剰供給で地元の石油価格はブレントやWTIを下回る。
原油の過剰供給はしばらく何ヵ月も続く。
FRBは支援を必要としている産業にオープン。
*ウィリアムズNY連銀総裁
財政政策は重要な役割を持つ。
市場機能は改善したが、ストレスは残る。
FRBは範囲内で何でも行う。
危機においてFRBができる事、すべきことには限界あり。
パンデミックにおいては財政政策が主要な役割演じる。
【豪州】
*保険数理士業界団体アクチュアリーズ・インスティテュート
豪全体の感染者数は最大2万人に上り、現状で報告されている感染者数強を大幅に上回る可能性がある
市中感染者のかなりの部分が過少報告されている。
【NZ】
*オアNZ中銀総裁、
経済ショックは財政政策の課題である
金融政策は財政政策をサポートする。
持続的な雇用の喪失はRBNZにとって最大の課題
マイナス金利は決定されていない。
量的緩和(OE)プログラムは150BP(1.5%)の利下げに相当する緩和効果
これまで効果的な景気刺激策を作ってきた
量的緩和(QE)なしではデフレに陥る。
政府による純債務の対GDP比は歴史的な水準となる
世界的な需要が急激にリバウンドすることは考えにくい
需要回復の遅れは雇用の拡大の困難な要因に。
マイナス金利は議論から外れてはいない。
政府借入の増加とともにQEの拡大は可能
経済的な見通しは財務省と一致する
*ホークスビーNZ中銀総裁補
新型コロナウイルスに対する対応
レベル3では通常よりも20%-25%低い水準で稼働
ロックダウン状態では通常よりも35%低い水準で稼働
*アーダーンNZ首相
レベル3に引き下げるかどうかの決定を行う。
レベル3に引き下げられた場合、バー・レストラン・小売店は依然として閉鎖されたまま
旅行制限は引き続き実施
レベル3の下では、接触をできる限り制限し、経済の再開をスタートする。
【メキシコ】
*格付け会社フィッチ
メキシコの格付けを従来の「BBB」から「BBB-」に格下げした。見通しは安定的。
【その他】
*IMF
アジア太平洋地区、過去の危機を大きく超える経済成長の減速が見込まれる
過去初めてとなるゼロ成長を見込む。
*ゲオルギエワIMF専務理事
英国とEUの通商交渉期限延期を拒むべきではない
新型コロナウイルスによる不透明性を増幅させるのは賢明ではない
現状は厳しい、これ以上厳しくする必要はない
(英BBC)
【ユーロ圏】
*シュナーベルECB理事
回復の過程について依然として高い不透明感がある
ECBはあらゆる措置を講じる用意
インフレ見通しの下方リスクが増している
短期的なヘッドライン・インフレは低下する見込み
*ラガルドECB総裁
最新の経済データは前例のない落ち込みを見せ始めている
ユーロ圏の生産に大きな逆風
ECBは経済を支えるため、あらゆる手段、緊急対策を講じる
最近の政策行動が借り入れの環境の改善に寄与
各国中銀が協調してドル資金供給を強化した
ECBはスワップ協定を通じてユーロを供給、一段の拡大も
【英国】
*英首相報道官
ブレグジットに関して、移行期間の延長は要請しない
EU側からの要請があっても拒否する
*英国、都市封鎖を少なくとも3週間延長
【その他】
*G7首脳
テレビ会議を開催。
危機後の景気回復を保証するため如何なる行動も惜しまない。
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
失業率(3月)8:00
予想 3.8% 前回 3.3%
【中国】
実質GDP(第1四半期)11:00
予想 -6.0% 前回 6.0%(前年比)
鉱工業生産(3月)11:00
予想 -6.2% 前回 N/A(前年比)
予想 -10.0% 前回 -13.5%(年初来・前年比)
小売売上高(3月)11:00
予想 -10.0% 前回 N/A(前年比)
予想 -12.5% 前回 -20.5%(年初来・前年比)
【日本】
鉱工業生産・確報値(2月)13:30
予想 N/A 前回 0.4%(前月比)
予想 N/A 前回 -4.7%(前年比)
設備稼働率(2月)13:30
予想 N/A 前回 1.1%(前月比)
第3次産業活動指数(2月)13:30
予想 -0.5% 前回 0.8%(前月比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者物価指数・確報値(3月)18:00
予想 0.7% 前回 1.2%(前年比)
予想 1.0% 前回 1.0%(コア・前年比)
【米国】
景気先行指数(3月)23:00
予想 -7.1% 前回 0.1%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員