ドル円一時109円台も続かず
ドル円一時109円台も続かず
ユーログループ合意できず売りが出るもその後戻す
【東京市場】豪格付け見通し引き下げ
ドル円は朝方108円台半ば近辺まで値を落とす場面が見られたが、その後ドル買い円売りの動きが強まり、109円を付ける動きとなった。
昨日の米国市場で株が失速。900ドルを超える上昇を見せていたダウ平均がマイナス圏で引けるなどの動きに、朝方はリスク警戒の動きに。プラス圏で始まった日経平均がマイナスに転じたことなども重石となり、ドル円は108円台半ば近辺に値を落とす展開となった。
しかし、その後は一転してドル買い円売りの動き。ロシアが7月末までの減産に前向き姿勢を示し、9日に予定されているOPECプラスへの期待感が広がったことが昨日大きく下げたNY原油先物の買い戻しにつながり、さらにそこからの株高が進行。
後場に入ると日経平均の上昇が加速。米株先物時間外の上昇も目立つ中で、ドル買い円売りの動きに。
ドル円は一時109円を付けるなどしっかりの動き。109円台での買いには慎重も、押し目は限定的で堅調な動きとなった。
豪ドルは格付け大手S&Pの格付け見通し引き下げが売りを誘った。S&Pは豪州のソブリン債格付けについて安定的からネガティブに見通しを引き下げた(格付け自体はAAAを維持)。さらに同国4大商標銀行についてもいずれも見通しを引き下げ、今後の豪金融市場の厳しい状況を示す格好となった。
この動きを受けて豪ドルは軟調地合いに。朝方の0.6170台から0.6120台まで値を落とすと、その後は株高を好感したクロス円の買いに対円で豪ドル買いが入ったこともあり、対ドルでも少し調整が入ったが、0.61台半ばを回復しきれず、頭の重い展開が続いた。
日本時間朝からユーロ圏財務相会合(テレビ会議)が行われたユーロは、朝方1.09台からやや売りが入る展開となり値を落とした。ユーロ圏共同債についてはドイツなどの反対が強く、今回結論が出ない可能性も意識されており、ユーロの重石に。様子見ムードの中、やや慎重な動きが見られ、1.0870割れへ値を落とし、その後も昼頃までは売りが優勢でじりじりと1.0850台まで。午後に入って株高を受けた円安基調にユーロ円の買いが入ったこともあり、1.0880近辺を回復している。
【ロンドン市場】朝にユーロ急落
ユーロ圏財務相会合は新型コロナウイルス支援で合意できず、
朝にユーロドルは急落する展開となった。
1.0880台から1.0830前後まで値を落とした後、
じりじりと値を戻す展開に。
ポンドはジョンソン首相の容体安定の報道などもあり、値を戻す格好。
対ユーロでのポンド買いなども見られ、しっかりの展開に。
ドル円は108円台後半推移が続いた。
【NY市場】ドル円一時109円台に
ドル円は一時109円台を付ける動きも、その後108円台後半に値を戻した。
米株式市場が堅調な動きを見せ、ダウ平均が大きく上昇する中で
ドル円クロス円に買いが入る展開に。
ロンドン朝にユーログループの交渉決裂で値を落としたユーロドルは
朝型1.0880台まで上昇し、下げ分を完全に解消。
もっともそこからユーロ買いが入るだけの勢いはなく、
その後は1.08台半ば前後まで値を落としてのもみ合いに。
【本日の見通し】リスク選好の動きも
ドル円は108円台後半での堅調な動き。
NY州での感染による死亡者数が過去最大を連日のように更新しているものの
市場の反応は鈍く、株安一服への期待感が強い。
新興国通貨は厳しい状況が続くも
豪ドルなどは買い戻しがしっかりと入ってきており
リスク警戒の動きが全般に後退してきている。
ドル円は基本的にしっかりの展開。
109円台を本格的に回復する期待も。
指標などへの反応は鈍く
新型コロナウイルス感染拡大状況などをにらみながらの展開が継続。
新規失業保険申請件数だけは要注意。
500万件と3週続けてかなりの高水準見通しとなっている。
【本日の戦略】押し目買い
流れはやや上方向か。
NY州での感染による死亡者数が過去最大を更新も株高の勢いが止まっておらず
リスク選好の流れ。
一時のリスク拡大でのドル買いではなく、
豪ドルなどリスク感応度の高い通貨が売られる中でのドル買い円売りだけに
継続の期待が強い。
もっとも突っ込んだ買いは避けたい。
108円台での丁寧な買い下がり、108円台半ば割れでいったんストップで様子見も。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《4/8 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 108.76 1.0892 118.49
高値 109.10 1.0902 118.69
安値 108.51 1.0830 117.92
終値 108.83 1.0858 118.18
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《4/8 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 19353.24 +403.06
DOW 23433.57 +779.71
S&P 2749.98 +90.57
Nasdaq 8090.90 +203.64
FTSE 5677.73 -26.72
DAX 10332.89 -23.81
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《4/8 水曜日の商品市場》
NY原油先物5月限(WTI)(終値)
1バレル=25.09(+1.46 +6.18%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1684.30(+0.60 +0.04%)
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《4/8 水曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
機械受注(2月)08:50
結果 2.3%
予想 -2.9% 前回 2.9%(前月比)
結果 -2.4%
予想 -3.0% 前回 -0.3%(前年比)
国際収支(2月)08:50
結果 31,688億円
予想 30,672億円 前回 6,123億円(経常収支)
結果 23,781億円
予想 20,254億円 前回 16,268億円(経常収支・季調済)
結果 13,666億円
予想 12,150億円 前回 -9,851億円(貿易収支)
【南アフリカ】
SACCI景況感指数(3月)18:30
結果 89.9
予想 85.0 前回 92.7(SACCI景況感指数)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(03/28 – 04/03)20:00
結果 -17.9%
予想 N/A 前回 15.3%(前週比)
米週間石油在庫統計(バレル・前週比)23:30
原油 +1517.7万(4億8437万)
ガソリン +1049.7万(2億5730万)
留出油 +47.6万(1億2272万)
(クッシング地区)
原油 +641.7万(4924万)
*()は在庫総量
【カナダ】
住宅着工件数(3月)21:15
結果 19.52万件
予想 17.25万件 前回 21.06万件(21.01万件から修正)
住宅建設許可(2月)21:30
結果 -7.3%
予想 -4.0% 前回 3.3%(4.0%から修正)(前月比)
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《4/8 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀
中央銀行として必要な業務を継続して行う
*日銀・金融庁
電話会談を開催し、金融システムや市場の動向などについて意見交換をした。
金融システムは全体として安定を維持している。
実体経済を下支えしていけるよう連携して取り組む。
【米国】
*トランプ米大統領
米経済活動再開の可能性を検討し始めており、かなり早い段階で再開することになるだろう。
WHOへの資金拠出の停止を行う見込み、彼らはしくじっている、うまくやっていない。
*FOMC議事録
見通しに深刻で大きな不確実性。
経済がウイルス克服するまでゼロ金利を維持。
15日のFOMCで数名が0.5%の利下げが好ましいと主張。
力強い金融政策の対応を主張。
*エバンス・シカゴ連銀総裁
雇用、生産の大幅減は明らか。
下期には回復を見込む。ただ、ウイルス次第。
経済の下振れは深刻。それは回避できない。
経済的に回避できると誰も想像すべきではない。
【ユーロ圏】
*ラガルドECB総裁
ユーロ圏の雇用に不安な兆候。
1ヵ国が打撃を受ければ、他国は影響避けられない。
ECBの流動性供給策は強力。
【カナダ】
*モーガン外務副大臣が新型コロナウイルスの陽性反応
【豪州】
*格付け会社S&P
豪州の格付け見通しをステーブルからネガティブに引き下げ。
格付け自体はAAAを維持。
新型コロナウイルスの感染拡大が豪経済と財政に深刻なショックを与えた。
巨額の財政赤字は一時的
豪経済成長は金融危機以来のネガティブなものに
2021年会計年度の豪経済成長は2.0%に回復
2022年会計年度の豪経済成長は4%程度に上昇。
【NZ】
*ホークスビーNZ中銀総裁補
急激な状況の進行に備え、QE拡大の準備は出来ている
【中国】
*中国湖北省武漢市
移動制限が正式に解除され、1月23日からのロックダウンが解除された。
武漢発の電車や高速道路料金所に車の渋滞ができている。
75か所の検問所が撤去され、市外への移動が可能になった。
【香港】
*香港政府、社会的距離措置を今月23日まで延長
【その他】
*WTO
2020年の世界商品貿易は13-32%落ち込むと予測。
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
韓国中銀政策金利 時刻未定
予想 0.75% 現行 0.75%
【英国】
RICS住宅価格指数(3月)8:01
予想 10% 前回 29%
鉱工業生産(2月)15:00
予想 0.1% 前回 -0.1%(前月比)
予想 -3.0% 前回 -2.9%(前年比)
製造業生産高(2月)15:00
予想 0.1% 前回 0.2%(前月比)
予想 -4.0% 前回 -3.6%(前年比)
商品貿易収支(2月)15:00
予想 -60.00億ポンド 前回 -37.20億ポンド
【ユーロ圏】
ドイツ貿易収支(2月)15:00
予想 165億ユーロ 前回 138億ユーロ(139億ユーロから修正)
ドイツ経常収支(2月)15:00
予想 170億ユーロ 前回 166億ユーロ
【インド】
鉱工業生産(2月)21:00
予想 3.2% 前回 2.0%(前年比)
【カナダ】
失業率(3月)21:30
予想 7.5% 前回 5.6%
雇用者数(3月)21:30
予想 -50.00万人 前回 3.03万人
【米国】
生産者物価指数(3月)21:30
予想 -0.4% 前回 -0.6%(前月比)
予想 0.5% 前回 1.3%(前年比)
予想 0.0% 前回 -0.3%(食品エネルギー除くコア・前月比)
予想 1.2% 前回 1.4%(食品エネルギー除くコア・前年比)
新規失業保険申請件数(4日までの週)21:30
予想 500.0万件 前回 664.8万件
ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値(4月)23:00
予想 75.0 前回 89.1
卸売在庫・確報値(2月)23:00
予想 -0.5% 前回 -0.5%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員