「危機」は脱したが、まだ「落ち着いた」とはいえない…!? - ドル円
◆ “巻き戻し”から急反発 - ただしファンダメンタルズは“好悪混在”…
※ご注意:予想期間は3月12日と表示されていますが、本日(3月11日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。
下げも速けりゃ、戻りも速い…。
昨日は「トランプ減税」を始め、「新型コロナ懸念」から派生する景気悪化を和らげるべく、「各国政府・中銀が刺激策を打ち出す」との思惑が強まりました。
マーケットは一気に“巻き戻し”に転じ、前日に“2000ドル”下げていたNYダウは“1100ドル超”の急反発、“101円台”へと売り込まれていたドル円は“105円台”に押し戻されていきました。
もっとも『劇的な刺激策は用意できない』との見方も存在するなど、方向感はまだ定まっておりません。
このためNYダウが“1000ドル高→160ドル安→1100ドル高”、ドル円は“105.20円→103.20円→105.90円”という乱高下を演じるなど、「落ち着きを取り戻した」とはまだいい難い状況でもあります。
◆ テクニカルも「上にも下にも振れる可能性」…?
「陽の包み線(3/9-10を合成すると、超絶長い下ヒゲ陽線)」が描かれたことで、テクニカル的には“さらなる戻り”への期待が募る局面といえます。
しかし「(週初に空けた)窓埋め完了」「(6日欧州タイム以降の下落幅を全て取り戻す)往って来い」を考えれば、“急反発の調整”を警戒すべき状況でもいえます。
“2016年のトランプ大統領誕生時安値(101.191円)”で下げ止まったことを考えれば、個人的には「過度なリスク回避はもう台頭しない(底堅い)」と考えます。
ただし本日に関しては、「上にも下にも振れる可能性有(乱高下)」といった“波乱含み”を想定しておく必要がありそうです。
引き続き、株価・債券利回り、そして原油動向を睨みながら…。
◆ ドル円 抵抗・支持ライン
上値5:107.000(大台、ピボット1stレジスタンス)
上値4:106.697(2/20~3/9の50%戻し、日足・一目均衡表基準線)
上値3:106.344(3/6高値)
上値2:106.069(-1σ、大台)
上値1:105.912(3/10高値)
前営業日終値:105.593(100月移動平均線)
下値1:105.000(大台)
下値2:104.882(3/10NYタイム安値後の38.2%押し)
下値3:104.564(3/10NYタイム安値後の50%押し)
下値4:104.246(3/10NYタイム安値後の61.8%押し)
下値5:104.039(200月移動平均線、大台)
執筆者 : 武市佳史|株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト。日本におけるFXの草創期より業務に従事。現在は週刊為替コラム「武市のなぜなにFX」の執筆やWebセミナー講師を務めるのみならず、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿中。