大きく振幅、週明けもう一段の売りも、大きく戻す
大きく振幅、週明けもう一段の売りも、大きく戻す
戻した後も1円幅での振幅と激しい動き続く
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の鈍化懸念
各国当局の積極対応期待などが交錯
【東京市場】週明け早朝に大きく下げてスタートも値を戻す
週末の中国製造業PMIが予想をはるかに下回る35.7と過去最悪を記録。前回の50.0からの衝撃的な鈍化に早朝の市場でドル売り円買い株安の流れが広がった。ドル円はオセアニア市場早朝に107円ちょうど近辺まで下落。ダウ平均が500ドル安を付けるなど、株安の動きも広がった。
しかし、その後は回復基調に。さすがに行き過ぎ感が広がったことに加え、黒田日銀総裁が緊急談話を発表し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対して適切な対応を行うと発表。5000億円の買現先による資金供給オペの発表もあり、ドル買い円売りの動きに。
株安の動きからの反転も見られ、ダウ平均が安値から800ドルの上昇、日経平均も朝の300円超の下げから700円以上上げて一時400円超の上昇と、株の買い戻しもあり、ドル円は安値から1円以上上げて108円37銭まで。200日銭手前でしっかりと止められ、その後は108円台前半で推移。
【ロンドン市場】激しい振幅
株の買い戻しが強まる中で序盤は大きくドル高円安が進行。
ドル円は108円台半ばを超える動きを見せた。
これまでのリスク警戒の動きが一服し、一気の調整が入った形。
オセアニア市場での突っ込んだドル売り円買いの動きがセリングクライマックスとの意識も
調整を誘いやすい展開に。
しかし、高値から再び値を落とす展開となった。
OECD世界経済見通しがウイルスの影響を受けて引き下げられたことがきっかけに。
しかも、見通しは第1四半期に感染拡大がピークアウトすることが前提とされており、
より長期に及ぶようだと日本やユーロ圏がリセッション入りとなる可能性が指摘された。
第1四半期のピークアウトは難しいとの意識が広がる中で
厳しい世界経済への悪影響が懸念され、ドル円は107円台へ値を落とした。
【NY市場】序盤のドル売りから回復へ
午前中はロンドン午後の流れを受けて頭の重い展開となり
ドル円は一時107円40銭近辺まで値を落とす展開が見られた。
しかし、ダウ平均株価が1200ドル超の上昇を見せるなど株高の動きが広がる中で
ドル円、クロス円の買いが入る展開となり、ドル円は108円台前半を回復。
G7財務相・中銀総裁が緊急電話会合を3日に行い
世界銀行・IMFなどとも連携して対応との報道がドル買い円売りを誘った面も。
【本日の見通し】ドル売りに一服感も新型コロナウイルスの感染拡大懸念は継続
ドル売りに一服感が出ており、108円台での推移が続くようだと
週明けオセアニア市場での107円ちょうど近辺までの下げがいったんのクライマックスとの意識が広がりそう。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大懸念は継続。
昨日、急速な鈍化が発表された中国での新規感染者数が再び増加傾向を見せるなど
ネガティブな材料が出てくると、再び売りが広がる可能性も。
米ダウ平均株価は7営業日連続で落とした後の戻しであり、
上昇幅は大きいものの下げ幅と比べると1/3強と、あくまで調整の範囲。
当面は神経質な動きが続きそう。
【本日の戦略】無理をせず
不安定な動きが当面続く
基本的には無理をせずの流れ。
ドル円は108円台でのレンジ取引に落ち着くかどうか。
短期的な流れは買い戻し方向だが
下値リスクが依然としてかなり大きい。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《3/2 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.46 1.1007 118.81
高値 108.58 1.1185 120.75
安値 107.01 1.1003 118.07
終値 108.33 1.1134 120.61
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《3/2 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 21344.08 +201.12
DOW 26703.32 +1293.96
S&P 3090.23 +136.01
Nasdaq 8952.17 +384.80
FTSE 6654.89 +74.28
DAX 11857.87 -32.48
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《3/2 月曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=46.75(+1.99 +4.45%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1594.80(+28.10 +1.79%)
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《3/2 月曜日に発表された主な経済指標》
【スイス】
SVME購買担当者景況指数(2月)17:30
結果 49.5
予想 48.0 前回 47.8
【香港】
小売売上高(1月)17:30
結果 -21.4%
予想 -20.8% 前回 -19.4%(価額ベース)
結果 -23.0%
予想 -22.1% 前回 -21.0%(数量ベース)
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI・確報値(2月)17:55
結果 48.0
予想 47.8 前回 47.8
ユーロ圏製造業PMI・確報値(2月)18:00
結果 49.2
予想 49.1 前回 49.1
【英国】
CIPS製造業PMI・確報値(2月)18:30
結果 51.7
予想 51.9 前回 51.9
【米国】ISM製造業景気指数(2月)00:00
結果 50.1
予想 50.5 前回 50.9
建設支出(1月)00:00
結果 1.8%
予想 0.6% 前回 0.2%(-0.2%から修正)(前月比)
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《3/2 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*黒田日銀総裁
新型コロナウイルス感染拡大を受け市場では不安定な動きが続いている。
今後の動向を注視していく。
適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、
潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針。
【米国】
*ワシントンポスト
トランプ政権が株安などへの対応で的を絞った形での減税を検討している。
*ブティジェッジ前サウスペンド市長
大統領選からの撤退を正式に表明。
【新型コロナウイルス関連】
*1日時点で、新型コロナウイルス感染者は全世界で8万8400人超。
*ニューヨークで新型コロナウイルス初確認。
*カリフォルニア州で新型コロナウイルス新たに3件を確認。
*中国国家衛生健康委員会
1日に中国国内での死者は42人増え、計2912人。
感染者は新たに202人増え、中国国内での感染者は計8万26人。
*韓国
新型コロナウイルス感染、新たに476人確認 計4212人に
*ペンス米副大統領
新型コロナウイルス、さらに多くの感染を見込む。
*トランプ大統領
パウエル議長はじめ米金融当局は行動が遅い。
*明日緊急のG7財務相・中銀総裁による電話会議
G7の財務相が3日にウイルス対策で電話会議を開催。中銀総裁も参加。
*ライトハイザーUSTR代表
中国の貿易交渉はなお多くの課題が残っている。
中国とのデカップリングは米国の目的ではない。
【その他】
*北朝鮮が未確認飛翔体発射
*OECD
世界経済成長見通しを2.4%に引き下げ、従来2.9%、ウイルス影響。
世界経済成長見通し、2021年には緩やかに回復へ。
2020年中国成長見通し4.9%、従来5.7%
2020年日本成長見通しは0.2%、従来0.6%
2020年ユーロ圏成長見通しは0.8%、従来1.1%
2020年英国成長見通しは0.8%、従来1.0%
第1四半期で新型ウイルス感染拡大がピークアウトすること前提。
ウイルス感染長引けば、世界経済成長見通しは1.5%に低下。
日本、韓国、オーストラリアには大きなマイナス影響及ぶと予想。
感染拡大が悪化すれば、ユーロ圏や日本はリセッション入りとなる可能性
【ユーロ圏】
*ルメール仏経済・財務相
G7財務相が協調に向け今週協議する。
協調して対応するため週内に電話会議を開く。
ムニューシン米財務長官と1日に話した。
ラガルドECB総裁と2日もしくは3日に会談する。
*デギンドスECB副総裁
新型コロナウイルスは成長に対する新たな不透明感を加えた。
感染拡大はユーロ圏の需要、供給両面に影響与える可能性。
ECBは引き続き警戒、データを注意深く監視。
必要であれば、ECBはあらゆる措置を行う用意。
*ウンシュECB専務理事
ECBは全てのショックに行動する必要はない。
V字回復が唯一の可能性なシナリオではない。
ユーロ圏の回復は遅れるかもしれないが、頓挫することはない。
新型ウイルス感染の影響はECBの見通しを下方修正させる可能性。
ECBは警戒する必要。
*ラガルドECB総裁
適切な対応を取る用意がある。
【英国】
*英中銀
安定性を守るために必要なあらゆる措置を講じる。
*ジョンソン英首相
新型コロナウイルス問題がより一層重大なものになっている。
英国は感染拡大に対して極めてよく準備されている
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《本日予定されている主な経済指標》
【韓国】
GDP・確報値(第4四半期)8:00
予想 1.2% 前回 1.2%(前期比)
予想 2.2% 前回 2.2%(前年比)
消費者物価指数(2月)8:00
予想 0.0% 前回 0.6%(前月比)
予想 1.3% 前回 1.5%(前年比)
【豪州】
経常収支(第4四半期)9:30
予想 23億豪ドル 前回 79億豪ドル
豪中銀政策金利 12:30
予想 0.50% 現行 0.75%
【スイス】
GDP(第4四半期)15:45
予想 0.2% 前回 0.4%(前期比)
予想 1.3% 前回 1.1%(前年比)
【トルコ】
消費者物価指数(2月)16:00
予想 0.68% 前回 1.35%(前月比)
予想 12.70% 前回 12.15%(前年比)
【南アフリカ】
GDP(第4四半期)18:30
予想 -0.2% 前回 -0.6%(前期比年率)
予想 -0.2% 前回 0.1%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏失業率(1月)19:00
予想 7.4% 前回 7.4%
ユーロ圏消費者物価指数・速報値(2月)19:00
予想 0.2% 前回 -1.0%(前月比)
予想 1.2% 前回 1.4%(前年比)
予想 1.2% 前回 1.1%(コア・前年比)
ユーロ圏生産者物価指数・速報値(2月)19:00
予想 0.5% 前回 0.0%(前月比)
予想 -0.4% 前回 -0.7%(前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員