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[資源・新興国通貨11/25~29の展望] メキシコペソ: USMCAをめぐる米議会の動きに注目

達人の予想 

豪ドル

豪州の10月雇用統計(14日発表)が弱い結果だったことで、RBAの利下げ観測が市場で再燃するなか、RBA議事録(19日公表)では11月5日の会合で利下げも検討されたことが判明。利下げ観測は一段と高まりました。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む利下げの確率は12月が2割強、2020年2月までで6割強です。市場のメインシナリオは2020年2月の利下げであることが確認できます。

ロウRBA総裁が11月26日に講演を行います(講演のタイトルは「非伝統的な金融政策~海外からの教訓」)。講演でRBAの金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供される可能性があり、要注目です。

また、米中貿易協議の行方にも目を向ける必要があります。両国が貿易協議“第1段階”に合意するとの期待が市場で後退した場合、豪ドルは上値が重い展開になりそうです。

NZドル

NZの7-9月期小売売上高が26日、企業信頼感指数が28日に発表されます。RBNZ(NZ中銀)は13日の会合で政策金利を1.00%に据え置く一方、「経済動向を注視し、必要に応じて行動する用意がある」と表明。追加利下げの可能性を残しました。市場ではRBNZの利下げ観測が残存するなか、小売売上高や企業信頼感指数、とりわけ後者が軟調な結果になれば、利下げ観測が一段と高まり、NZドルに下押し圧力が加わる可能性があります。8月のRBNZの大幅な利下げ(0.50%)は、企業景況感の弱さが一因でした。

NZドルについては豪ドルと同様、米中貿易協議の行方にも目を向ける必要があります。両国が貿易協議“第1段階”に合意するとの期待が市場で後退した場合、NZドルは上値が重い展開になりそうです。

カナダドル

20日、カナダの10月CPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は総合CPIが前年比+1.9%となり、BOC(カナダ中銀)が総合CPI以上に重視する3つのコアインフレ指標は以下の通りでした。

<コアインフレ指標の結果>
( )は前回値
・共通値:+1.9%(+1.9%)
・トリム値:+2.1%(+2.1%)
・中央値:+2.2%(+2.1%)
*いずれも前年比

BOCのインフレ目標(+1~3%)の中央値は+2%。10月の総合CPIと3つのコアインフレ指標はいずれも、BOCの目標中央値に近い結果でした。

BOCは10月30日の前回会合で政策金利を1.75%に据え置いたものの、会合では“保険的な利下げ”も検討。状況が悪化した場合には利下げすることを示唆しました。

ただ、ポロズ総裁は前回会合後の会見で、保険的な利下げを見送った理由のひとつに「インフレが目標(中央値)に近い」ことを挙げました。そのため、CPIが引き続き+2%近辺で推移していることは、BOCを利下げに慎重にさせる要因と考えられます。

ポロズ総裁は11月21日、(米中の)貿易問題が波及して信頼感が損なわれないかを注視しているとしながらも、「カナダの金融情勢は適切と考えている」と述べ、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。

一方、CPIの結果やポロズ総裁の21日の発言を受けても、市場では依然として“BOCはいずれ利下げする”との見方が有力。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場は2020年4月までに利下げが行われる確率を約7割織り込んでいます。

カナダの9月小売売上高が22日(本稿執筆時点で未発表)、そして7-9月期GDPが29日に発表されます。それらがBOCの先行きの金融政策について新たな手掛かり材料となりそうです。GDPなどが堅調な結果になれば、利下げ観測が後退し、カナダドルが底堅く推移する可能性があります。

トルコリラ

来週(11/25の週)は、トルコの11月貿易収支(29日)が発表されますが、材料としては力不足の感があります。トルコのS400(ロシア製地対空ミサイル)導入問題をめぐり、米国側に動きがなければ、トルコリラは比較的落ち着いた動きになりそうです。

S400問題については、エルドアン・トルコ大統領は19日、「13日にトランプ米大統領と会談した際、トルコがS400を破棄することはないと伝えた」と語りました。F35戦闘機などの軍事機密がロシアに漏えいするおそれがあるとして、米国はS400の破棄をトルコに強く要請。「S400を破棄しなければ対トルコ制裁を発動する可能性がある」と警告しています。米国が対トルコ制裁に向けて動いた場合には、トルコリラに対して下押し圧力が加わる可能性があり、要注意です。

南アフリカランド

21日、SARB(南アフリカ中銀)は政策金利を3対2の賛成で6.50%に据え置くことを決定。決定に反対した2人は0.25%の利下げを主張しました。

SARBは以下の通り、GDP成長率見通しを9月時点から下方修正する一方、CPI(消費者物価指数)上昇率見通しは据え置きました。
( )は9月時点
<GDP成長率>
・2019年:+0.5%(+0.6%)
・2020年:+1.4%(+1.5%)
・2021年:+1.7%(+1.8%)
<CPI上昇率>
・2019年:+4.2%(+4.2%)
・2020年:+5.1%(+5.1%)
・2021年:+4.7%(+4.7%)

クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「インフレ見通しに対する全体的なリスクは、ほぼ均衡している」との見方を示しました。一方で、「インフレリスクに関する不確実性は極めて高い」と指摘し、「不確実性が持続する現在の環境下では、政策決定は経済指標に大きく依存する」と強調。今後利下げするかは経済指標次第と強調しました。

***

SARBの政策金利が市場予想通りの結果だったことで、次は12月3日発表の南アフリカの7-9月期GDPがランドの大きな独自材料になりそうです。

来週(11/25の週)の南アフリカランドは、米中貿易協議に関する報道に影響を受けやすい展開が想定されます。リスク回避の動きが強まれる場合、新興国通貨であるランドには下押し圧力が加わりやすいと考えられます。

メキシコペソ

メキシコペソは、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)をめぐる米議会の動きに注目です。ペロシ米下院議長は14日、USMCAについて「年内に(USMCAの議会承認を)終えることが目標だ」と語りました。

ペロシ下院議長は一方で、「労働関連規定の実効性が確保されることがUSMCA承認の条件だ」(19日)と発言。ペロシ下院議長とライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表が21日にUSMCAについて協議しましたが、合意には至りませんでした。米議会が年内にUSMCAを承認するかは不透明な情勢です。

USMCAの発効には米・メキシコ・カナダの3カ国すべての議会承認が必要(メキシコは6月に承認済み。米国とカナダは未承認)。USMCAの発効のメドがたたないことが、メキシコの景気低迷の一因であるとともに、メキシコペソの重石にもなっています。そのため、米下院でUSMCAを採決することが決まれば、米国の承認への期待からペソは上昇しそうですが、下院採決が見通せない状況ではペソは上値が重い展開が続きそうです。

執筆者 八代 和也

執筆者 : 八代 和也|マネ―スクエア シニアアナリスト

マネースクエア シニアアナリスト。資源・新興国通貨を中心に分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。

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