香港人権法案可決で頭重い展開も、値幅限定的
香港人権法案可決で頭重い展開も、値幅限定的
米中通商協議の進展に暗雲も下がると買いが出る流れ
【東京市場】香港人権法案がらみで午前中に振幅
朝、米上院が香港人権法案を全会一致で可決と報じられ、ドル円は売りが入る展開に。前日の海外市場で米中協議の不透明感などから108円台半ば割れをトライし、108円50銭台で朝を迎えていたが、そこから108円40銭割れと海外市場の安値を割り込んでドル売り円買いが入る展開に。
その後、ロス商務長官が中国との合意の期待と報じられたことで、ドル円はいったん値を戻したが、中国政府が香港人権法案が成立した場合報復措置をとると、これまでの主張を改めて示したことでドル売りが入り、108円36銭までと安値を更新した。
もっとも、下げは続かず、108円台半ばを回復してのもみ合いに。頭は重いものの、売りも限定的という流れに。
【ロンドン市場】頭の重い展開
香港人権法案可決を受けての頭の重い展開が続いた。
ドル円は108円台前半中心の動きも安値は東京午前とほぼ同じ108.35までと限定的。
クロス円も軟調だが値幅は限定的。
【NY市場】年内第一弾合意に悲観的
米メディアが米中通商協議の第一弾合意年内は難しいとの見通しを示したことなどが重石も
ドル円は108円40銭割れまでと限定的。
下院が香港人権法案の採決(先月すでに可決済みの下院案ではなく、上院案を採決し法案成立を早める
差異が残ったままだと両院協議会での調整が必要)に回るとの報道も重石。
(東京朝に可決)
ネガティブな材料が続いたが影響は限定的に。
【本日の見通し】レンジ取引中心
米中協議動向をにらみながらの展開の中、悲観的な状況が強まっているが、円高の動きが落ち着いてきている。
もっとも、ドル買いを進める状況にもなく、基本的にはレンジ取引が続きそう。
ドル円は108円台でのレンジを中心に次の流れ待ち。
香港人権法案が成立の見込で、ドル円の重しとなっているが、108円台前半での買いが継続しており、突っ込んだ売り買いを避ける展開に。
対中関係での動きが入りやすい豪ドルやNZドルなどの動きには要注意。対円だけでなく対ドルでも売りが出る流れとなりそうで、ドル円以上に売りが出る可能性も。もっともこちらも今のところ動きは落ち着いている。
市場は米中協議への期待感後退を織り込みつつある可能性も。楽観的な発言が中国商務省側もしくは米ライトハイザー氏などといった当局者から出てくると雰囲気が一変する可能性も。
【本日の戦略】レンジ意識
ネガティブな材料でも下がりきらず、
しかし上値は重くとやりにくい。
素直なのは戻り売りも、108円手前では買いに回って大台維持を見たいという印象も。
108円割れ、109円超えはストップ。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《11/20 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 108.54 1.1078 120.25
高値 108.74 1.1081 120.41
安値 108.35 1.1053 119.85
終値 108.61 1.1073 120.26
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《11/20 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23148.57 -144.08
DOW 27821.09 -112.93
S&P 3108.46 -11.72
Nasdaq 8526.73 -43.93
FTSE 7262.49 -61.31
DAX 13158.14 -62.98
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《11/20 水曜日の商品市場》
NY原油先物12月限(WTI)(終値)
1バレル=57.11(+1.90 +3.44%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1474.20(-0.10 -0.01%)
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《11/20 水曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
通関ベース貿易収支(10月)08:50
結果 173億円
予想 2,293億円 前回 -1,248億円(-1,230億円から修正)
結果 -347億円
予想 2,481億円 前回 -972億円(季調済)
【ユーロ圏
ドイツ生産者物価指数(10月)16:00
結果 -0.2%
予想 0.0% 前回 0.1%(前月比)
結果 -0.6%
予想 -0.4% 前回 -0.1%(前年比)
【南アフリカ】
消費者物価指数(10月)17:00
結果 0.0%
予想 0.2% 前回 0.3%(前月比)
結果 3.7%
予想 3.9% 前回 4.1%(前年比)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(11/09 – 11/15)21:00
結果 -2.2%
予想 N/A 前回 9.6%(前週比)
米週間石油在庫統計(バレル・前週比)
原油 +137.9万(4億5038万)
ガソリン +175.6万(2億2085万)
留出油 -97.4万(1億1568万)
(クッシング地区)
原油 -229.5万(4422万)
*()は在庫総量
【カナダ】
消費者物価指数(10月)22:30
結果 0.3%
予想 0.3% 前回 -0.4%(前月比)
結果 1.9%
予想 1.9% 前回 1.9%(前年比)
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《11/20 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*米上院、香港人権法案を可決
*ロス米商務長官
中国と合意できるとの期待あると思う。
中国との合意で依然として作業進行中だ。
*FOMC議事録
10月利下げ後、金利は適切と大半が判断。
多くが下振れリスクは高まったと認識。
低インフレが利下げを正当化。
一部はインフレ期待の更なる低下を懸念。
金融政策は見通しの再評価で変更の可能性。
GMのストが下方修正の要因に。
利下げは保険との認識。
参加者は概ね見通しにポジティブ。
*トランプ大統領
中国との協議は続いており、彼らは合意をしたがっている。
アップルは素晴らしい工場を開いている。
*米報道官
FOXビジネスのインタビュー
第1段階の米中貿易合意のテキスト策定が進展。
協議は続いている。
*第1段階の合意は年内はない可能性との報道も
ロイター通信が米当局者の話として、「米中貿易協議での
第1段階の合意は年内はない可能性がある」と伝えた。
*ブレイナードFRB理事
過去1年、貿易問題の不透明感が経済を圧迫。
貿易問題のリスクに対する保険を停止した。
貿易戦争の停戦は不確実性を大幅に減らす。
12月の関税引き上げはネガティブ要因になる。
貿易問題は中国の困難を悪化させた。
下期にの成長は緩んだが、個人消費は堅調。
消費者は引き続き労働市場に好印象を持っている。
若干の減速を見込んでいる。
来年潜在成長を若干上回る経済成長を見込む。
インフレは上昇。2%を若干上回る水準が好ましい。
米経済はマイナス金利の採用国に比べ遥かに強い。
【中国】
*中国外務省
米国が香港人権法案成立なら報復。
米上院の香港人権法案可決に反対。
*中国人民銀行
プライムローン金利1年物を4.20%から4.15%に、5年物を4.85%から4.80%に引き下げ。
*中国国家統計局
法律に基づいて2018年および過去のGDPデータを修正。近日中に公開する。
*格付け会社フィッチ
中国の格付けを「A+」に据え置いた。見通しは「ステーブル」
【香港】
*香港政府
香港人権法案など米国の2法案は不要で根拠がない。
米国の香港との関係や米国の利益に悪影響を及ぼすだろう。
同法案は極めて遺憾だ。
【ユーロ圏】
*ECB金融安定化報告
最も重大な安定に対するリスクは、銀行の収益性など。
シャドウバンキングのリスクテイクが増大している。
いくつかの国では、カウンターシクリカル資本バッファーの増加や活性化が有効に。
住居不動産価格は7%超の過大評価。
商業不動産価格は落ち着いてきているものの依然として過大評価されている。
*デギンドスECB副総裁
金融政策の副作用がより鮮明になってきている。
マクロプルデンシャル政策をより強化すべき。
カウンターシクリカル資本バッファーがより重要な地位に。
金利がリバーサルレートに近づいてきているとは信じていない。
マイナス金利の階層化が副作用の治癒に有効な面も。
*ドンブロウスキスEU副委員長
イタリアとフランスはEU財政規則に従うために直ちに対応する必要はない。
*デギンドスECB副総裁
資産購入プログラム(QE)は近い将来には限界に達しないだろう。
ショルツ独財務相の銀行同盟の提案は正しい方向に踏み出すもの。
(ブルームバーグ)
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《本日予定されている主な経済指標》
【シンガポール】
GDP・確報値(第3四半期)9:00
予想 1.4% 前回 0.6%(前期比)
予想 0.3% 前回 0.1%(前年比)
【日本】
全産業活動指数(9月)13:30
予想 1.5% 前回 0.0%(前月比)
【香港】
消費者物価指数(10月)17:30
予想 3.2% 前回 3.2%(前年比)
【英国】
公共部門ネット負債(10月)18:30
予想 86億ポンド 前回 87億ポンド
【米国】
新規失業保険申請件数(16日までの週)22:30
予想 21.8万件 前回 22.5万件
フィラデルフィア連銀景気指数(11月)22:30
予想 6.0 前回 5.6
景気先行指数(10月)22日0:00
予想 -0.2% 前回 -0.1%(前月比)
中古住宅販売件数(10月)22日0:00
予想 540万件 前回 538万件
【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者信頼感指数・速報値(11月)22日0:00
予想 -7.2 前回 -7.6
【南アフリカ】
南アフリカ中銀政策金利 時刻未定
予想 6.50% 現行 6.50%
執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員