【NY市場】株安・ドル安・円高 米政府機関閉鎖のリスクが急速に高まる
きょうのNY為替市場はリスク回避の雰囲気が強まり、株安・ドル安・円高の動きが強まった。前日のFOMCでは、来年は2回の利上げ見通しが示された。9月FOMCの3回からは下方修正されたものの、市場では物足りなかった模様。また、パウエルFRB議長もバランスシート縮小を従来通り続ける方針を示しすなど、全体的にFRBは市場に配慮する姿勢を見せず失望感が強まった。市場では景気の先行き不透明感が強まり、FRBは期待よりもハト派色を強めなかったものの逆にドル売りの反応を見せている。
更に、米政府機関閉鎖の期限が明日に迫る中、米議会では閉鎖回避のため2月8日までの暫定予算案を成立させようとしている。しかし、トランプ大統領は国境の壁建設の予算が盛り込まれなければ、署名しない意向を示すなど、壁建設の予算に固執している。ライアン下院議長は「トランプ大統領は上院通過の暫定予算案に署名しないだろう」と述べていた。ここに来て米政府機関閉鎖のリスクも追い討ちをかけており、市場はリスク回避の雰囲気を一層強めた。
ドル円は下値模索の動きを強め、110円台に下落する場面も見られた。本日の高値から150ポイント超急落。きょうの下げで100日線を完全にブレイクしており一気に、本日110.90円付近に来ている200日線に顔合わせした。
一方、ユーロドルはNY時間にかけて伸び悩む動きも見せていたが、再び買い戻しの動きを強めた。一時1.1485ドル近辺まで上昇。イタリアとEUが予算案で合意したこともユーロを買い易くしているようだったが、景気の先行き不安はユーロ圏経済にもあり、心理的節目の1.15ドルにはなお慎重なようだ。
ポンドドルも買い戻しが優勢となったが、ユーロに比べれば上値が重い印象。きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)が開かれ、全会一致で金利が据え置かれた。ただ、議事要旨ではEU離脱を巡る不透明感が強まったとの認識を示しており、インフレ率は来年1月にも目標の2%を下回る見通しを示している。また、成長見通しも11月時点から弱まったとした。予想通りなのかもしれないが、英中銀は慎重姿勢を強調して来ている。
今回の議事要旨を受けて市場では、来年一杯は利上げがないとの見方まで出ている。ただ、来年に積み残されたEU離脱交渉の行方次第のとろも多分に見られ、もし、メイ英首相が合意を成立させることができれば、利上げについても雰囲気は一変する可能性はありそうだ。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美