【来週の注目材料】前回はサプライズな強さ、米雇用統計に注目
【来週の注目材料】前回はサプライズな強さ、米雇用統計に注目
2日に9月の米雇用統計が発表されます。前回8月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+16.3万人と、市場予想の+5.3万人を大きく上回る好結果となりました。速報時点で予想外の前月比マイナスとなっていた7月分も+2.1万人まで上方修正され、6月分も改定値の+2.0万人から+3.1万人に上方修正となっています。失業率は4.1%で7月から横ばいとなりましたが、労働参加率が61.6%と0.2ポイントの改善となる中での横ばい(一般的に労働参加率が上昇すると、失業率は悪化します)となっており、好印象となりました。また、広義の失業率であるU6失業率が7.7%と7月の7.9%から改善しました。
※U6失業率:正規雇用を望みながらパートタイムに従事している非自発的パートタイマーや、調査期間中に求職活動を行わなかったものの、過去12カ月のうちに求職活動を行っており、労働の意思があるとみられる者を含んだ広義の失業率
非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、直近2カ月続けてマイナスとなり、全体を押し下げていた娯楽・接客部門が+6.2万人と力強さを見せました。飲食業が+5.92万人となり全体を押し上げています。慢性的に人手不足で雇用増が続く介護・ケア部門を含む教育・医療部門は+2.9万人と堅調。7月もプラス圏でしたが+1.2万人と伸びが鈍くなっていました。AIデータセンターの建設ラッシュが続く中、建設業が+2.2万人と好調さを維持。製造業も+1.6万人と堅調で、鉱業を含めた財部門全体で+4.1万人と7月の+2.9万人を上回る伸びとなっています。上下が比較的激しい情報業は-2.3万人と弱く、金融も-1.1万人と7月と同水準の減少となっていますが、全体でみると幅広い業種で伸びを示しています。
続いて関連指標です。週間ベースの新規失業保険申請件数は、基準日である12日を含む週の比較で、8月が20.7万件、9月が19.8万件と、9月がやや好結果となっています。
それ以外の主な関連指標はこれからの発表です。29日23時の9月コンファレンスボード消費者信頼感指数の市場予想は90.1。前回8月分は89.4と市場予想の90.2、および7月分の90.2(90.8から下方修正)を下回る弱さを見せました。内訳のうち期待指数が68.2と前回の74.0から大きく鈍化したことで全体が押し下げられました。一方雇用部門に関しては、職が十分にあるとの回答が27.0と7月の24.4から上昇し、3月以来の高水準となる一方で、職を探すのが困難であるとの回答が19.5と7月の21.7から低下しました。両者の差である雇用機会判断指数は+7.5と7月の+2.7から上昇しています。今回は全体の数字も小幅回復見込み、雇用部門もしっかりした数字を維持すると好印象になります。
同時刻に発表される8月の米雇用動態調査(JOLTS)は注目度の高い求人件数の予想が722.5万件と前回から小幅減少見込みです。前回7月分は727.1万件と、市場予想の730万件を小幅下回りました。6月分は速報の735.9万件から718.2万件へ下方修正されています。その他の項目では解雇率が1.0%に低下。レイオフは歴史的な低水準となっています。採用率は3.2%と6月の3.4%から低下しており、雇用の流動性が低下しているものの、解雇も少なく、低位安定している状況が示されました。今回の数字もやや弱めの見込み。予想からの乖離が大きいことがある指標だけに要注意です。
30日21時15分には9月のADP全米雇用レポートが発表されます。雇用者数の予想は前月比+7.0万人。前回8月分は+3.8万人と市場予想の+4.8万人を下回りました。製造業の雇用減が全体を押し下げましたが、娯楽・接客業が好調。8月の米雇用統計同様にAIデータセンター建設ラッシュもあり建設業も好調となりました。今回はややしっかりした数字になる見込みです。
1日23時には9月のISM製造業景気指数が発表されます。前回8月は54.6と市場予想の55.2を下回りました。7月の55.6からも低下しています。もっとも7月の55.6は2022年5月以来の高水準であり、54.6の水準自体は強いものとなります。内訳をみますと、新規受注が53.7と7月の56.7から低下。雇用部門は51.2と7月の52.8から低下しています。投入価格指数が71.1で横ばいとなっており、価格の高止まり傾向が見られます。今回の予想は55.0と高水準を維持する見込みです。なお、ISM非製造業は5日の発表となります。
こうした状況を踏まえて今回の予想ですが、非農業部門雇用者数が前月比+10.0万人と、前回から伸びが鈍化する見込みです。もっとも直近3カ月の平均+7.1万人を上回る伸びで、ダラス連銀が算出するブレークイーブン雇用者数(失業率を悪化させないために必要な雇用者数)の約3万人もしっかりと上回っており、雇用の堅調さが継続との印象です。失業率は4.1%で維持される見込みとなっています。予想前後であれば、米雇用の安定が意識されることで、米追加利上げのハードルが下がるとして、ドル高につながりそうです。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。