【今週の注目材料】米インフレターゲットの対象指数は弱い伸びを期待=PCE価格指数
【今週の注目材料】米インフレターゲットの対象指数は弱い伸びを期待=PCE価格指数
26日に6月の米PCE(個人消費支出)価格指数が発表されます。
11日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は予想を下回り前月比-0.1%と、2020年5月以来となる前月比マイナスを記録しました。5月と同水準の伸びが見込まれていた食品とエネルギーを除くコアの前月比も予想に反して5月から伸びが鈍化。前年比は+3.0%ともともとの鈍化予想をさらに下回る伸びとなり、コア前年比は+3.3%と前月比同様に5月と同水準の伸び予想を下回って伸びが鈍化する弱いものとなりました。
一方、12日に発表された6月の生産者物価指数(PPI)は、総合、コア共に予想を上回る高い伸びとなり、CPIとは対照的な結果となっています。
こうした状況を受けて今回のPCE価格指数ですが、予想は前月比横ばいと5月と同水準、前年比+2.4%と5月の+2.6%から伸びが鈍化、コア前月比が+0.1%と5月と同水準、コア前年比が+2.5%と5月の+2.6%から伸びが鈍化となっています。CPI同様にやや弱めの数字が見込まれています。
予想通り前年比+2.4%になると、1月と同水準で、アフターコロナでの物価上昇のピーク2022年6月の+6.8%以降で最も低い伸びとなります。インフレターゲットの+2.0%が現実味を帯びてくる水準です。
+2.0%にはまだ少しあるため、今月の利下げ開始は少し早いですが、9月の利下げ開始に向けての印象が強まる可能性があります。予想をさらに下回る鈍化となった場合は、9月に続いて11月の連続利下げ期待が広がり、12月も含め今年中に3回の利下げという見通しにつながる可能性があります。これは大きなドル安材料です。
なお、11月の大統領選を優位に進めるトランプ前大統領は、選挙前の利下げ実施を行わないように警告していますが、中央銀行の独立性を重視するパウエル議長などFRBのメンバーが従う理由はなく、物価の鈍化を受けた利下げサイクルスタートが期待されるところです。
ただ、予想外に強かった場合は要注意です。基本的にCPIと同系統の指標であり、CPIの流れに沿った動きを見せますが、6月のCPIは、PCEと比べて指数全体に占める割合がかなり大きい住居費の伸びが鈍化する一方、PCEのほうがCPIに比べて全体に占める割合がかなり大きい医療費が伸びており、CPIほどの鈍化を見せない可能性があります。PCE価格指数がインフレターゲットの対象となるだけに、CPIが弱い伸びとなったといっても、PCEの鈍化が進まないと利下げへの動きが弱まりますので、一気の上昇もあり得ます。
11日、12日の為替介入以降、ドル高円安の流れに変化が生じ、どちらかというとドル安方向に反応が大きくなりがちとみています。それだけに予想よりも弱い伸びとなった場合のインパクトが大きいと思いますが、強弱どちらの乖離にもしっかり備えておきたいところです。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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