【今週の注目材料】利上げ打ち止め期待も物価への警戒続く=米CPI
【今週の注目材料】利上げ打ち止め期待も物価への警戒続く=米CPI
米物価統計への注目が依然として継続しています。先月27日に発表された米第1四半期GDP速報値は、市場予想を大きく下回る伸びに留まったにもかかわらず、同時に発表されるGDPデフレータとPCEコアデフレータの二つの物価関連指標が予想を超える伸びになったことを受けて、ドル高が一気に強まるという反応を見せました。翌28日に発表された3月の米PCEデフレータは前年比が市場予想を超える伸びとなり、同時に発表された第1四半期雇用コスト指数が予想を上回ったことも合わせて、ドル高となりました
5月2日、3日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、大方の予想通り0.25%の利上げを決定。声明では前回の声明で盛り込まれた「いくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込む」が削除されました。また。パウエル議長の会見では与信のタイト化が経済の重石になる可能性に言及。今後の利上げが停止される可能性を示唆する形となりました。
5日に発表された米雇用統計では予想を超える雇用の伸びが示されました。失業率も予想外に低下しています。ここにきて米中堅銀行などへの懸念が広がっている以上、これ以上利上げを行うハードルがかなり高くなっていますが、物価上昇が止まらない中で雇用が堅調地合いを維持している状況では、利上げを意識する動きが再び強まる可能性があります。
こうした中、物価関連指標の中でも相場に与える影響が特に大きい米消費者物価指数(CPI)(4月)の発表が10日に予定されています。
市場予想は前年比+5.0%と3月と同じ伸び、食品、エネルギーを除くコア前年比は +5.3%と3月の+5.6%から伸びが鈍化する見込みです。
3月は2月の6.0%から大きく鈍化。市場予想の5.1%よりも鈍い伸びとなりました。ただこの伸び鈍化はガソリンが前年比-17.4%と大きくマイナスとなったことが大きな要因となっています。2022年3月はロシアのウクライナへの軍事侵攻が2月に始まった関係で原油価格が急騰しました。2022年2月から3月にかけての原油価格は前月比+19.8%(CPI換算ベース季節調整前)となっています。2023年の2月から3月にかけて原油価格は前月比+1.0%(CPI換算ベース季節調整前)と実は上昇しているのですが、前年比で考えた場合、比較対象元の価格が急騰している関係で大きな鈍化となってしまった形です。
2023年3月から4月にかけてのガソリン価格はEIA調査全米全種平均で+5.0%と大きく伸びているうえに、2022年3月から4月にかけてのガソリン価格が前月比-1.0%(CPI換算ベース季節調整前)と鈍化していることで、伸びが強まります。それだけに全体を支えていると期待されます。
ただ、これまでの利上げを受けての物価上昇圧力の後退、さらには金融不安を受けての景気鈍化懸念からの物価上昇見込みの後退などを受けて、エネルギーと食品を除くコア指数の前年比の伸びは鈍化見込みとなっています。総合もコア部分の鈍化見込みを受けて、ガソリン価格の上昇等を受けても前回並みの伸びにとどまる見込みとなっています。
FOMCでの利上げ打ち止め示唆や、米中小銀行の経営難への警戒からの金融システム不安の継続などから、予想前後の物価の鈍化が見られると、6月のFOMCでの金利据え置き見込みが継続すると見られます。厳しいのは予想よりも物価の伸びが強かった場合です。先週金曜日の米雇用統計が予想を超える強さを見せたこともあり、物価高が続いていた場合、利上げを期待する動きが広がりやすくなっています。ただ金融システム不安が強まる中での利上げ期待の拡大は、想定以上の相場の混乱を招く可能性があるだけに要注意です。
なお、今後の米金融政策については、先週のFOMC以降9月までのFOMCでの利下げ開始期待がそれまでの50%強から75%超えまで上昇する形となっています。今回のCPI結果は、こうした早期利下げ期待にも影響してくると見られます。予想前後であれば影響は限定的と見られますが、総合の伸び鈍化が見られ、心理的な節目である5%を割り込む伸びにとどまった場合、早期利下げ期待が強まりドル売りにつながると期待されます。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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