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とれんど捕物帳 「超高速!景気後退」への期待も

為替 

 今週はいよいよ世界的には第2四半期の入りになった。日本は新年度。第1四半期中にそれなりのポジション調整は終了しているだろう。しかし、相変わらず相場は不安定といったところではある。ドル円に関しては円高・ドル高が相殺し合い、他の通貨ペアと比較すれば、ボラティリティは低めに推移している印象だが、全体的には、ウイルス感染の拡大が一段落するまでは不透明感は払拭できないのであろう。何よりも早期の一段落が待たれるところではあるが、トランプ大統領は今月のイースターまでという目標は今月末に延期し、ひとまず断念した格好となっている。

 ただ、相場は初期の暴落から次のフェーズに移行しているものと思われる。かなりの景気後退は確実だが、それが早期に終了できるかどうかを確認する段階に入っているように思われる。一部からは第2四半期の米成長は前期比年率換算で30%超のマイナス成長も有り得るとの見方も出ている。米失業率も15%まで上昇するという。その一方で、米政府とFRBの大胆かつ迅速な行動が、期待感を高めているようで、第2四半期こそ米成長は急激なマイナスが見込まれるものの、第3四半期にはプラス成長を回復するといった見方や、第3四半期は無理でも第4四半期には回復を取り戻すといった見方が主流になりつつある。

 実に楽観的だ。自宅待機が解除になれば、トランプ大統領の前例のない2.2兆ドル規模の大型景気対策が効いてくると見ているようだ。大統領はさらに2兆ドル規模のインフラ投資まで積み増そうとしている。FRBもクレジット・クランチを起こすまいと果敢に行動している印象。市場の一部からは「米株は既に底をつけている」といった調子に乗った見方が出るのもうなづける。

 秋の米大統領選挙を控える中、過去の経験則が米当局を突き動かしているのであろう。1990年代の日本のバブル崩壊後の政策運営のまずさを反面教師にし、金融危機時の対応、原油安や欧州債務危機などもしっかり教訓としているのであろう。今回の相場暴落はウイルスだけではない。昨年はFRBが保険的利下げを3回も実施するなど、もともと景気後退への警戒感が既に存在し、それがウイルス感染のパンデミックをきかっけに表面化したものと推測する。今回の米国の迅速な対応を見た限りでは、以前からある程度備えていたのかもしれない。

 一方、あまり触れたくはないが、日本の景気対策はいつもの通り迷走しているようだ。もともと上記のように感染前から世界的な景気後退への懸念があった中で、「増税」という実に摩訶不思議な行動を取り、感染前の10-12月期の成長を思いっきりへこませている。「御見事!」としか言いようがない。そのような中、市場も求めているであろう消費税減税には、やはり消極的で、現金給付もハザードを設けようとしている。「しょぼい、けち臭い」といった声が聞こえ来そうで、恐らく市場も「失望」の2文字に包まれるであろう。

 ただ、米経済が上記の楽観的な予想通りに、回復への期待感を市場に抱かせるようであれば、米株高とともに日経平均も連れ高し、ドル円も追随するであろう。むしろ、そちらを期待したい。

 「超高速!参勤交代」という映画があったが、今回は「超高速!景気後退」で乗り切ってほしいところではある。

 さて来週だが、指標はいくつか重要なものが発表されるが、むしろ、4月分以降を見たい意向が強いようで、3月分のデータには反応薄であろう。週間で発表される米新規失業保険申請件数ぐらいかもしれない。それ以上に感染の動向であろう。まだ、来週の段階では拡大が鎮静化するとまでは思われないが、予兆が出るようであれば、それなりの反応はあるかもしれない。また、各国の景気対策の動向も引き続き注目。いずれにしろ、来週も不安定な展開が続きそうだ。

 ただ、ドル高の動きは根強いものと見られ、ドル円は上値は重いものの、底堅い展開を期待したい。想定レンジとしては、107.00~110.00円と広めの値動きを想定。スタンスは「中立」とする。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下から中立へトレンド変化
短期 ↑↑(↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 →(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 →(→)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(↓↓↓)

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次回の配信は4月18日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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