株安が大きく加速、ドル円は一時値を落とすも105円台維持
株安が大きく加速、ドル円は一時値を落とすも105円台維持
ダウ平均一時3000ドルを超える下げ
ドル買いの動きがドル円を除いて一時見られ、ドル円の下げも限定的に
【東京市場】週末の米緊急利下げ
週明け早朝(現地時間15日夕)に米FRBが緊急利下げを実施。
一気に1.0%の利下げを行い政策金利であるFF金利翌日物誘導目標を0.00%-0.25%と、実質ゼロ金利にした。
また2014年10月で終了した量的緩和を再開。
少なくとも国債を5000億、MBSを2000億買い入れるとした。月額のキャップなどは設けずとしている。
この結果ドルは大きく売られて始まった。先週末108円台を付けていたドル円は106円台に。
さらに緊急利下げ後も株安の動きが止まらず米ダウ平均先物がすぐにサーキットブレイカーが発動して取引停止になるなどの状況に、
リスク回避の円買いから105円台を付ける動きも見らえた。
その後FRB、ECB、日銀、BOE、カナダ、スイスの各中銀がドル資金供給での協調を発表。
さらに日銀が12時からの緊急会合の招集を発表して、リスク警戒感が後退。
ドル円は日銀の緩和期待もあり107円台を付ける場面も。
会合が続く中で106円台後半へ落された後、午後2時過ぎに緩和策が発表された。
円資金の潤沢な供給、ETFの買い入れ増額(従来の6兆から12兆円に)、
JREIT、CP、社債などの買い入れ増額、民間企業債務を担保にした資金供給などを発表した。
マイナス金利の深堀見送りもあり106円50銭近辺まで値を落とすも、
ETFの買い入れ増額枠が予想の9兆ではなく12兆までの大きな拡大であったことなどからその後円売りが入り107円ちょうど近辺に。
107円台からの買いは厳しく、その後106円台後半での推移に。
また米国の前にNZ中銀も緊急利下げを実施。一気に0.75%の利下げで0.25%に。
マイナス金利の実施は否定も、量的緩和については必要であれば5月にも準備ができるとチーフエコノミストが示すなど、緩和姿勢を示した。
早朝にNZドル売りが進むも、その後の米国の緊急利下げで逆にNZドル買い米ドル売りに。もっとも、上値も重くその後もみ合い。
【ロンドン市場】ドル円105円台に
東京市場で一時107円台まで戻したドル円であるが、その後ロンドン市場で再び105円台に軟化している。欧州株の急落などが重石に。
日銀が緊急会合を開催してETF購入拡大などを発表したが、購入額が予想よりも大きかったものの、市場の警戒感を崩せず、日経平均は下落して引けた。
中国経済指標がコロナウイルスの影響で急激に悪化したことなども警戒感を誘い、上海・香港株が大幅安となる中で円買いの動きに。
週明けの欧州株も急落。ドル円はロンドン序盤に106円台を割り込むと
その後は105円70銭台まで。
ユーロドルは一時1.1230台も、欧州株の下げでユーロ売りが入り1.11台に戻された。
ベイリー英中銀新総裁が就任したポンドは売りが広がっている。
英中銀に対する追加緩和圧力が強まっていることなどが重石に。
【NY市場】朝方105円10銭台まで
朝方105円10銭台まで値を落とす場面が見られた。
欧州株や米株先の下げなどを米国勢が嫌気した格好。
週末にNZ、米国が緊急利下げ、日銀も緊急会合でETF購入枠拡大などの対応も
市場の警戒感を崩せずリスク相場が続く展開に。
ダウ平均は米株先の下げから売りが予想されていたとはいえ
一時3000ドルをこえる大幅安。
開始早々にサーキットブレイカーで取引停止となったS&Pも大きく水準を下げている。
対円を除くと、ドルキャッシュ需要もあってドルはしっかりでユーロやポンドは対ドルで頭の重い展開に。
特にポンドはロンドン市場から売りが目立ち、一時1.22ちょうど近辺に。
【本日の見通し】リスク警戒の流れ継続へ
米国の緊急利下げ、日本の緊急緩和などをうけても
大幅な株安の流れは変わっておらず、ドル円、クロス円の頭が重い展開。
もっとも、突っ込んだ売りにも慎重。
昨日の株安でも105円台を維持しての推移となるなど、
下値しっかり感が出てきており、一時ほどの円高圧力は見られず。
米債利回りも大きく低下傾向だが
先週初めにパニック的に付けた10年債の0.31%台から見ると倍以上の水準での推移となっている。
株式市場はともかく、その他市場ではリスク警戒の動きが優勢も
過剰な動きが抑えられており、ドル円はじりじりとした下方向への動きとなりそう。
105円割れの場面も十分ありうるが基本は105円-107円レンジか。
【本日の戦略】戻り売り
戻りはまだ売りか
107円に近いところでの売りを意識。
出来ればじっくり売り上げあり108円超えのストップという印象。
ただ、流れがすぐに変わるだけに臨機応変に。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
-+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/16 月曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.29 1.1067 119.06
高値 107.57 1.1237 120.65
安値 105.15 1.1048 117.15
終値 105.83 1.1183 118.47
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/16 月曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 17002.04 -429.01
DOW 20188.52 -2997.10
S&P 2386.13 -324.89
Nasdaq 6904.59 -970.28
FTSE 5151.08 -215.03
DAX 8742.25 -489.83
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/16 月曜日の商品市場》
NY原油先物4月限(WTI)(終値)
1バレル=28.70(-3.03 -9.55%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1486.50(-30.20 -1.99%)
-+—+—+—+—+—+—+—+—+-
《3/16 月曜日に発表された主な経済指標》
【NZ】
NZ中銀政策金利 5:00
結果 0.25%
予想 0.75% 前回 1.00%
【米国】
FRB政策金利 6:13
結果 0.25%
予想 0.75% 前回 1.25%(上限金利)
結果 0.00%
予想 0.50% 前回 1.00%(下限金利)
5000億ドルの国債、2000億ドルのMBSを購入
ニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)21:30
結果 -21.5
予想 4.9 前回 12.9(ニューヨーク連銀製造業景気指数)
対米証券投資(1月)05:00
結果 209億ドル
予想 N/A 前回 856億ドル
【日本】
機械受注(1月)08:50
結果 2.9%
予想 -0.9% 前回 -12.5%(前月比)
結果 -0.3%
予想 -1.1% 前回 -3.5%(前年比)
*日銀政策金利(3月)14:06
結果 -0.1%
予想 -0.1% 前回 -0.1%
【英国】
ライトムーブ住宅価格(3月)9:01
結果 1.0%
予想 N/A 前回 0.8%(前月比)
結果 3.5%
予想 N/A 前回 2.9%(前年比)
【中国】
鉱工業生産指数(2月)11:00
結果 -13.5%
予想 -3.0% 前回 N/A(年初来・前年比)
小売売上高(2月)11:00
結果 -20.5%
予想 -4.0% 前回 N/A(年初来・前年比)
【インド】
卸売物価指数(2月)15:30
結果 2.26%
予想 2.43% 前回 3.10%(前年比)
【韓国】
中銀政策金利(3月)16:50
結果 0.75%
予想 N/A 前回 1.25%(韓国中銀政策金利)
+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《3/16 月曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*日銀
一層潤沢な資金供給の実施
円資金の一層潤沢な供給に務める
米ドル資金については本日カナダ、イングランド、ECB、FRBおよびスイス中銀と
協調して貸付金利を0.25%引き下げるとともに1週間物に加えて3カ月物を週次で実施
企業金融支援のための措置
1)新型コロナウイルスにかかわる企業金融支援特別オペの実施(全員一致)
民間企業債務を担保に最長1年の資金をゼロ金利で供給。2020年9月まで
2)CP/社債の買い入れ増額(全員一致)
ETF/JREITの積極的な買い入れ
それぞれ当面年12兆、年1800億円相当
次回会合までの市場調節は従来を維持
*日銀
FRB、ECB、英中銀、カナダ中銀、スイス中銀とともに、
米ドル・スワップ取り決めを通じた流動性供給を拡充するための協調行動を行う。
各中銀は米ドル・スワップ取り決めに適用される金利を25bp引き下げ、
新たな金利を米ドル・オーバーナイト・インデックス・スワップ・レートに25bp上乗せしたものとすることで合意。
*黒田日銀総裁
6中銀と協調して米ドル資金供給に万全期す。
今回の会合で景気判断引き下げた。
新型コロナ、すでに日本経済に影響みられている。
新型コロナの影響の期間は不確実性高い、内外経済注視。
新型コロナの影響は今後も当面続くと予想。
感染拡大はいずれ収束、緩やかな拡大基調に景気復す。
決定会合の前倒し実施、市場安定確保に早急対応必要と判断。
主要国協調の枠組みで行われた、緩和強化で。
新型コロナ、世界経済・国際金融市場全体に影響。
ETF購入増額、市場のリスクテイク弱くなっているため。
ETF購入増額、リスクプレミアムへの働きかけ大きくなる。
マイナス金利、限界ではなく深掘り可能。
80兆円めどあり、まだまだ必要に応じ国債買える。
政府はコロナ早期収束と財政措置で経済落ち込み防ぐ。
コロナ拡大一時的でも、資金繰りや市場機能に問題生じる、早期対応で。
各地域でコロナ収束すれば、回復は急速といわれている。
金利深堀り、経済拡大にプラスなら金融機関にマイナスでない。
マイナス金利深堀り、金融機関の利ざや圧縮するのは事実。
中国は既にコロナの収束に入ってきて生産も戻ってきている。
中国、第2四半期にはフルに回復してもおかしくない。
日本のコロナ収束、いつかははっきりしない。
日本、コロナ収束すれば需要は回復に向かう。
物価の先行き、マイナスになることはないと思う。
原油大幅安、インフレ予想に影響与え注視。
ETF買い入れ、当面必要ある限り12兆円ペースで買う。
ETF買い入れ、特定の株価水準を前提にしてない。
日銀財務は全体でみる必要、ETF買い入れ増で。
次の一手、具体的に申し上げるのは難しい。
新型コロナ、リーマンショックと全く違う経済・金融ショック。
前倒し会合の実施を決めたのは今日。
ドル資金、日本の金融機関はかなり前広に手当てしている。
今日うんぬんで悲観する必要ない、決定後の株安で。
ETF・REIT増額の「当面」、どれくらいかは市場次第。
資金繰り支援、もし必要なら延長できる。
世界経済全体に一定期間下押し圧力続くことあり得る。
現時点で必要・十分な措置とった。
経済・物価のさらなる下押しなら、躊躇なく追加緩和。
為替はファンダメンタルズ反映し、安定推移が重要。
日銀は為替政策を担当していない。
為替自体は財務省にお任せする。
*菅官房長官
金融市場安定のための適切な対応、日銀決定について。
緊急対応を早急に検討、生活不安への対策で。
*安倍首相
前例にとらわれず、思い切った大胆な覚悟を持って練り上げていきたい。
消費税率の引き下げについても検討していきたい。
(参院予算委員会、4月政府緊急経済対策について)
*安倍首相
何よりも治療薬開発が重要。G7で協力を。
経済対応でG7として力強いメッセージ出すべき。
G7の保健、財務相間で定期的やりとりで一致。
五輪を完全な形で実現することでG7の支持得た。
【米国】
*FOMC
政策金利を0.00-0.25%に下げることを決断。
少なくとも5000億ドルの米国債、2000億ドルのMBS債の購入を行う。
コロナウイルスのアウトブレイクは米国を含む多くの国の社会に害となり経済活動を阻害する。
国際金融状況もまた顕著に影響を受ける。
確認可能な経済データは米経済が力強い足取りでの挑戦期にあると示している。
雇用は1月のFOMC以降も力強さを維持。
コロナウイルスは直近の経済の重石となり、見通しを悪化させる。
政策金利は現状のイベント(新型コロナウイルス)が風化するまで0.0-0.25%で維持される。
委員会は今後も経済見通し、公共の健康、世界経済の成長について注視を続ける。
委員会は流動性をさせ雇用の最大化と物価の安定を支えるためにすべての方向で取れることを行う。
投票は9対1であった。メスター・クリーブランド連銀総裁がより小さな利下げを主張。
今後の経済及び金融市場の動向を注視する
3月18日のFOMCはキャンセル
*トランプ米大統領
国民に向けて、食料品などの買いだめを控えるよう呼びかけ。
買いだめをする必要はない、店舗の商品補充は大変だ。
*デボラ・バークス新型コロナウイルス対策調整官
今後1週間で感染者数が急増するとの見通し。
検査を受けられる人が増え、急増が見られる。
*NY市
ナイトクラブ、映画館、コンサート会場を閉鎖へ。レストラン、バーをテイクアウトと配達に制限へ。
*ロサンゼルス
バー、スポーツジムなど閉鎖へ レストランはテイクアウトのみ
*米銀大手8行、第2四半期まで自社株買いを停止する。
バンクオブアメリカ、BNYメロン、シティ、ゴールドマン、
JPモルガン、モルガンスタンレー、ステートストリート、ウェルズファーゴ。
*トランプ大統領
不要な旅行や外食は自粛を。
米経済はウイルス影響でリセッションに向かう可能性も。
7月、8月までウイルスとの闘い続く可能性も。
現時点で全米の検疫までは考えていない。
軍の展開までは必要ないことを希望。
航空業界を100%支援。
*クドロー米国家経済会議(NEC)委員長
FRBの行動は非常に素晴らしい。
米国は経済支援に4000億ドル保有。
給与税の期間免除は非常に強力な武器。
航空会社の支援は議論の重要なトピック。
全国民に14日間の移動制限の噂は嘘。
【豪州】
*豪中銀
追加の政策対応を19日に発表へ
豪国債を購入する用意がある
【NZ】
*オアNZ中銀総裁
新型コロナウイルスのNZ経済への悪影響が見られ、今後も予想される。
NZ金融システムは良好・流動性を維持。
財政政策と金融政策が協同で働く
すべての金融機関がマイナス金利に備えていない。
現時点ではマイナス金利を考慮していない。
*ホークスビーNZ中銀総裁補
NZ金融機関はマイナス金利の準備ができていないとのメッセージを受け取っている
0.25%で止めたことはゼロもしくはゼロ以下を見ていないというシグナル
非伝統的金融手法の限界についてアナウンスしていない
【中国】
*中国人民銀行
中期貸出ファシリティー(MLF)を通じて市場に1000億元を供給。
1年物TMLF金利は3.15%に据え置いた。
【香港】
*香港金融当局
基準金利を1.50%から0.86%に引き下げ
【韓国】
新型コロナウイルス感染者を新たに74人確認、2日連続で100人を下回った。新たな死者の報告はなし。
【英国】
*ベイリー英中銀新総裁
必要に応じて速やかに追加措置とると約束。
新型コロナウイルスによる経済への長期的打撃を最小化することに注力。
*英首相報道官
ジョンソン英首相は保健当局および科学技術アドバイザーらと新型ウイルスについて協議。
英首相は本日の緊急会議で、高齢者や社会的弱者の隔離措置について協議。
英首相は英中銀総裁、英財務相らと最新の世界市場の状況、昨晩からの協調行動について協議。
EUとは引き続き将来の関係について話し合う。
感染のモデル化およびデータについてすぐに発表する。
【その他】
*G7首脳
必要なら何でもの経済政策」で一致。
中央銀行間の協調継続が望ましい。
金融・財政措置をウイルス対策に活用。
新型ウイルスとの闘い、医療保健の研究で協調へ。
-+—+—+—+—+—+—+–+—+-
《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
鉱工業生産・確報値(1月)13:30
予想 N/A 前回 0.8%(前月比)
予想 N/A 前回 -2.5%(前年比)
【香港】
失業率(2月)17:30
予想 3.6% 前回 3.4%
【英国】
失業率(2月)18:30
予想 N/A 前回 3.4%
ILO失業率(1月)18:30
予想 3.8% 前回 3.8%(3カ月)
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(3月)19:00
予想 -27.2 前回 8.7
【米国】
小売売上高(2月)21:30
予想 0.2% 前回 0.3%(前月比)
予想 0.1% 前回 0.3%(自動車除くコア・前月比)
鉱工業生産(2月)22:15
予想 0.4% 前回 -0.3%(前月比)
設備稼働率(2月)22:15
予想 77.1% 前回 76.8%(前月比)
企業在庫(1月)23:00
予想 -0.1% 前回 0.1%(前月比)
【NZ】
経常収支(第4四半期)18日6:45
予想 -28.33億NZドル 前回 -63.51億NZドル
-☆-★-☆-★-☆-★-☆-
執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員